【米国】主治医起訴

M・ジャクソンさん専属医訴追 ロス検察、過失致死に無罪主張
http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010020901000011.html
>【ニューヨーク共同】米ロサンゼルス郡の検察当局は8日、昨年6月に急死した世界的人気歌手マイケル・ジャクソンさん=当時(50)=に麻酔薬などを投与した専属医のコンラッド・マーレー容疑者(56)を過失致死容疑で訴追したと発表した。
>検察発表によると「犯意はなかったが不法にジャクソン氏を死に至らしめた」疑いで訴追された。今後起訴され、有罪となった場合は最高で禁固4年となる。起訴をめぐり検察と弁護団の攻防が展開される見通し。

マイケル・ジャクソンさんの元主治医、過失致死罪で訴追
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=ax38uK1FRZ30
>クーリー検事は電子メールの発表文で、「悪意なく、非合法的にマイケル・ジョセフ・ジャクソンさんを死に至らしめた」罪で■■■医師(56)を訴追したとしている。

 「故意無き致死結果」だから「マンスレータ」(過失致死)なんで,カルフォルニア州法かな。記憶では連邦法じゃないと思うけど……。ハテ〜。アイブ・フォルガトゥン! こういうときは母源法解釈の原則同様に原典原文に当たるっきゃない。

Jackson’s Doctor Pleads Not Guilty to Manslaughter (Update1)
By Edvard Pettersson  Bloomberg
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601127&sid=aHBGmel6YkvM

Feb. 8 (Bloomberg) -- Michael Jackson’s doctor pleaded not guilty to a charge of involuntary manslaughter in connection with the singer’s death last June.

Dr. Conrad Murray, 56, was charged today with one count alleging that he “did unlawfully, and without malice, kill Michael Joseph Jackson,” according to a statement by Los Angeles County District Attorney Steve Cooley. Murray entered his plea in the airport branch of the county courthouse.

Last Updated: February 8, 2010 17:40 EST

CALIFORNIA PENAL CODE
http://www.leginfo.ca.gov/cgi-bin/calawquery?codesection=pen&codebody=&hits=20
CA PENAL CODE SECTION 187-199
http://www.leginfo.ca.gov/cgi-bin/displaycode?section=pen&group=00001-01000&file=187-199

193. (a) Voluntary manslaughter is punishable by imprisonment in
the state prison for 3, 6, or 11 years.
(b) Involuntary manslaughter is punishable by imprisonment in the state prison for two, three, or four years.

 ということなので,involuntary manslaughter というカルフォルニア州刑法だと思います。*1

*1:こういうときは,帰国子女ってユースフルw(^▽^;)ケケケ

マンスレータ

殺人罪 3.1 英米
出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E7%BD%AA#.E8.8B.B1.E7.B1.B3.E6.B3.95
英米の伝統的コモン・ローにおいては包括的概念としての殺人行為(homicide)があり、そのうち犯罪行為にあたる行為が、Murder(謀殺)、Manslaughter(故殺、過失致死)に分類されている。主として被告人の主観的要件に着目して分類されており、日本法にはない区分も存する。陪審制の下、事実審すなわち適用法規(構成要件の該当性)の決定権は陪審にあり、量刑を行う職業裁判官の裁量の余地を残さないよう細分化されている。
>具体的な要件は州法によって定められており、州によって若干の差異がみられるが、一般的なコモン・ロー下の分類は以下の通りである。
>第三級謀殺(Third-degree murder)とも称される。日本法においては、過失致死罪は殺人罪と別の類型であるが、Manslaughterはその双方を含む概念である。 
>Voluntary manslaughter
喧嘩における殺人、挑発行為に対する逆上時における殺人など、殺人の故意はあるが計画性のないもの。これに謀殺を加えたものが日本法の殺人罪に相当する。
>Involuntary manslaughter
日本語でいう過失致死に近い(negligent homicide)が、死の結果について認識がある場合(認識ある過失)に適用される。

 英米法のテキストを和訳するのがかったるいので(。_・☆\ ベキバキ,wikiさんの助けを借りました。m(_ _)m

法的思考

 マンスレータのネタを詳しく引用したのは,「傷害致死が難しいなら業過致死」という思考過程に違和感や異論や疑問を唱える医療従事者が多いのに驚いたからだ。*1 両者の罪質が全く違うというように理解されて「おかしい」と考える方もいる。確かに,一般論として,医療の故意(悪意・犯意)とヒューマンエラーは別物に見えるだろう。
 しかし,日本では,殺意の証拠が弱ければ傷害致死傷害致死の加害の故意の証拠がなければ過失致死という訴因構成で,一段下げて起訴する例は少なくないそうだ。*2
 英米法では,第三級忙殺罪謀殺罪を見ればわかるとおり,「故意無き殺人罪」とときに訳されるマンスレータという罪名・罪質があり,これには,殺人罪傷害致死罪・過失致死罪まで広く含む概念である。沿革的に見ても,19世紀くらいになって,VoluntaryとInvoluntaryとに分化したようだ。規範的違法性以前の結果的違法性という前近代的残滓なのかもしれないが。
 それに,コモン・ロー*3の影響で,殺意や傷害の故意という主観的故意要件を検察官が立証する必要が無く,被告人や弁護人が「不存在」を立証すべき挙証責任を負うから*4,また,事実認定は陪審員の専権で裁判官にないから……という種々の実質的理由かも知れない。米法だと司法取引(バーゲニング)が理由に加算されるのかも知れない。

【かすかな記憶・私の頭の中の残滓】
(シーン1)
 米国のとある警察署で,カーボーイハットをかぶった刑事と弁護士の会話
刑事「大将どうだい。二級殺人を認めんのか。」
弁護士「いや,検事と交渉して三級殺人罪なら認めると申し入れてきた。」
刑事「ドン・ビー・ファックニー!」*5
(シーン2)
 その警察署の弁護士被疑者面会室で,被疑者と弁護士の会話
弁護士「検事には三級殺人なら認めるとバーゲンしてきた。」
被疑者「で,先生,どうだった。」
弁護士「だめだ。『二級殺人ならコンプロマイズしてもいい』と笑ってた。」
被疑者「ファッキン・バスタルド!」*6
弁護士「どうする。別件殺人のイミュニティ(刑事免責*7 )でネゴるか?」
被疑者「別件も,マンスレータで交渉してくれ。あれは暴発事故なんだ。」

 このように現代法文化では当然のことであっても,故意と過失を明確に区分して,「過失=ヒューマンエラー」と限定的(それ以上でもそれ以下でもない)に理解すれば,故意犯罪を過失犯で処罰するのは,不届き千万・ダーティーワークに見えるのかもしれない。集合論で言えば,現行刑法理論では,故意犯は,ほぼ過失犯に包摂される構成要件的要素で責任要素でもあるのだが……。*8
 「タガーナイフを公衆の面前で振り回し突き出すなら通行人に接触しないように注意して振り回したり突き出す注意義務があるのにこれを怠り,通行人に頓着せず振り回して次々と刺突した過失により,通行人十数名を死傷させた。」というように。いわば大罪で処罰できないなら一段下がった中罪で処罰するようなものである。法学部に入ったばかりの私にも技巧的な違和感が払拭し切れてないが,「オール・オア・ノッシングよりセカンド・ベスト」という英米文化のプラグマティズムに基づくのであろう。*9 *10

*1:例えば「ある町医者」先生;「傷害致死、あるいは殺人罪で捜査しろ、逮捕しろ。業務上過失致死傷罪など使うな。そう言うべきだと思います。」>http://d.hatena.ne.jp/DrPooh/20100208/1265579286#c1265678639

*2:業界用語で「歩留まり起訴」と言うらしい??「真偽不明」??

*3:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC

*4:これは自白強要を防止するためと教科書的に説明されている。自白が証拠の王では自白強要や拷問が防げないので,訴追側に自白の立証を不要としたプラグマティックな制度ということになる。内心の自由の不可侵から理由付けもなされている(ウイグモア)

*5:テキサス訛りの蜚語?

*6:エスニック訛りの蜚語?

*7:司法取引の一種;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B8%E6%B3%95%E5%8F%96%E5%BC%95

*8:言うまでもないが,(業務上)過失致死罪,失火罪……などの過失犯がある罪質に限られるけど

*9:これには,広範な裁量を有する「検察官の訴因設定権限(質的一部不起訴・部分起訴;訴追裁量権)」や裁判所の「縮小認定の法理」という刑訴法上の理論的概念や実務概念(事実認定技法)が入ってくるので,統一的体系的に理解するには刑法と刑訴法の基本をマスターする必要があるはずだ。メイビー

*10:クラウゼビッツを気取るつもりはないけれど,ミリヲタ(軍事オタク)として言えば,「戦争or全面降伏(ナチスドイツ)」「玉砕or無条件降伏(どこぞの国)」よりも「ギリギリで停戦協定&最大限有利な和平交渉(フィンランディア)」というセカンドベストが真のベストである。もっとも大好きなフランス外人部隊のテーゼはなぜか英語の「前進か死か(マーチorダイ)」であるらしいが

PV1万突破

 なぜかうれしくないザッツ・オール……じゃなくて,ディス・イズ・イット。
 スリラーm(_ _)mマイケルよ永遠に!黙祷
 天国で亡父をバックダンサーで使ってやってください。m(_ _)m「クックロビンオンド」なるコミックダンシングを英語でやれるから……。ファザコン娘からのたってのオネダリですw
(追記)  ( ゚人゚)ダーレガ( σ。。)σコロシタ ( ゚人゚)クック( σ。。)σロビン