『翻訳教室』『翻訳夜話』

翻訳教室

翻訳教室

一章ずつ訳して、本文を参考にチェックして、修正訳をつくる、という手順で進めてみた。一番面白かったのはカルヴィーノ『見えない都市』だったんだけど、アメリカ文学じゃなくてイタリア語からの英訳。もしかして現代米文学、そんなに好きじゃないの? またしても自分の幸先に不安を覚えたよ……。課題はやはり誤訳が多いこと。救いはまあ、柴田先生のアドバイスに近い訳語の選び方をしてたことかなぁ。道のりは遠い。

翻訳夜話2 サリンジャー戦記 (文春新書)

翻訳夜話2 サリンジャー戦記 (文春新書)

サリンジャーについての対談も読んでみた。ライ麦畑はこれまで敬遠してきて未読だけど、「NY地獄めぐり」と言われると面白そうな気がしてきた。主人公が片端から俗物をこきおろしてカッカきてるのは、「坊っちゃん」みたいな構図。作者のセルフセラピー小説、という指摘にナルホドと思いました。

サリンジャー選集(3) 倒錯の森〈短編集2〉

サリンジャー選集(3) 倒錯の森〈短編集2〉

キャッチャー・イン・ザ・ライ」の前身、「マディソン街のはずれの小さな反抗」が収められている。読んでみたら面白かった。映画の一場面みたい。帽子とか電話とか、トイレのラジエーターとか、小道具の使い方がうまい!

『夜想曲』

夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

カズオ・イシグロの短編集。音楽がテーマの5編が収録されている。50歳前後の夫婦の危機だとか、才能についての警句なども散りばめられて、コンパクトにまとまっていた。面白く読めたが、イシグロ氏に求めてる作風より、ちょっとカルい気がした……。