2011-08-14
海外データローミングの代わりにIDEOSと前払い(プリペイド)SIMで過ごしてみた
背景
私が使っているスマートフォンはSIMロックされている。解除することは不可能ではないが、そうするといろいろ面倒なのでやっていない。海外でのデータローミングが1日1480円だったときに1週間余りの海外滞在中にデータローミングを使ったら総額1万円を優に超えてしまった。便利だとはいえ、それはちと高い。そして今は1日2980円になってしまった。
目標
そこで今回、イギリスと合衆国に滞在するにあたり、データローミングは使わずに、携帯型Wi-Fiホットスポット装置に現地の前払い(プリペイド)SIMを入れて使い、スマートフォンでのデータ通信はもっぱら、そのホットスポット経由で行おうと思った。
ホットスポット装置選択
ホットスポット装置として以下のものを考慮した。
- Novatel Wireless MiFi 2372, 2352
- Buffalo DWR-PG(SIMロック解除のためにファームウェア変更が必要)
- Huawei E583, E585
できれば、アジア・ヨーロッパ・北米どこでも使える使えるものが望ましい。そしてできるだけ安くあって欲しい。DWR-PGSは合衆国で使えたという報告はあるが、ヨーロッパでは不明。Novatel・Huaweiのものはヨーロッパ用と北米用が別のように思えた。
一方、日本通信がIDEOSというAndroid 2.2搭載のスマートフォンをSIMロックなしで販売していて、これはホットスポットとして使える。世界各地で販売されているので、いろいろな国で使えそうに思える。2011年7月上旬の時点ではAmazon.co.jpで2万6000円ほどだった。Amazon.co.jpでは日本通信版のほか香港版が1万6000円ほどで販売されていた。現時点(2011年8月中旬)では円高の影響でそれぞれ2万4173 円、1万2800円となっている。海外での利用を考えてのことなので香港版を購入した。型番号はIDEOS U8510-Bである。
動作確認
海外に行く前に国内で動作確認を行っておきたかった。でないと海外でうまく動かないときに困るだろうから。そこで日本通信(b-mobile)のU300というSIMを買った。香港版IDEOSでは、そのSIMは使えない。
しかし、Vodafon Italyのファームウェアに入れ替えれば使えるようになるということなので、ファームウェアファイルをインターネットで検索してダウンロードし、Micro SDカードにコピーし、Micro SDカードをIDEOSに装着し、電源を入れる際に、通話終了ボタンと音量を上げるボタン両方を押しておくことでファームウェア入れ替えを行った。その結果、動作確認を行うことができた。
イギリス
現地の知人から「3」という会社(three.co.uk)の前払いSIMを買うとよいと聞いていた。ヒースロー空港にはSIMの自動販売機があり、1Gバイトまでデータ通信が行えるSIMが20ポンドで売っていた。ロンドン市街へ向かう電車の中でそのSIMをIDEOSに入れたところ、何も設定しなくても使えた。
そのSIMは、買った時点では電話を懸けたりSMSを送ったりはできないが、データ通信専用というわけではなく、電話を受けたり、SMSを受信したりはできた。通話料金やSMS料金をチャージすることもできる。
7日間の滞在中、主に仕事ばかりで出歩いたわけではなく、またホテルではWi-Fiを使っていたこともあり、行ったデータ通信の総量は100Mバイトほどであった。そのうちのかなりの部分を仕事のためのPDFファイル転送が占めているはずである。
合衆国
事前に知人からAT&Tの前払いSIM(Pay as You Goと呼ばれている)を譲り受けていた。611にダイアルすることで、チャージができるとのこと。譲り受けた時点でデータ通信・通話・SMSともに空の状態であった。ニューヨークのJFK空港ではSIMは売っていなかった。買うのであれば街中のAT&Tのお店で買うのであろう。繁華街なら結構いたるところにあったように思う。
ホテルにチェックインしてから、そのSIMをIDEOSに入れ、611に電話を懸けた。自動音声(英語かスペイン語)に従って、クレジットカードでチャージが行える。日本のクレジットカードだと自動音声だけでは本人確認ができず、最終的にオペレーターと話さなければならない。データ通信のチャージは15ドルで100Mバイトか25ドルで500Mバイトの2種類。なんとなく15ドルにしてしまい、ちょっと後悔した。2週間の滞在の最後のほうで足りなくなりそうで15ドル追加したからである。
イギリスの場合と同様、IDEOSに何も設定をしなくてもデータ通信が行えた。
2週間の滞在中のデータ通信の総量は結局100Mバイトで収まってしまった。あまり出歩かなかったし、仕事ではほとんど使わなかったし、ホテルではWi-Fiを使っていたし、レストランでもWi-Fiを提供しているところが結構あったので。最も多くデータ通信を使ったのは、不案内なとこでの移動の際で、地図アプリを使ったり、行き方を調べたり、道中の写真をアップロードしたりで、1回の移動で25Mバイトほど消費した。
制限事項
少なくともiPhoneでは@softbank.ne.jp宛てのメールはiPhone自身がデータ通信を行っていないと受け取れない。それ以外の制限は感じなかった。iPhoneのアプリケーションはどれもIDEOS経由で問題なく使えた。
IDEOSの電池はあまり持たない。Wi-Fiホットスポットにして使っていると満タン充電から数時間も持たない感じである。なので、1日中使うのであれば電源対策が必要になる。電池を長持ちさせるために使わないときは機内モードにしておくことことは有効である。起動に時間がかからないのであれば、電源のon/offで対応すればいいのだが、IDEOSは起動に1分ほど必要なので。
IDEOS等の電話機がMiFi等のホットスポット専用装置に勝っている点
IDEOSはまがりなりにもスマートフォンなので、タッチスクリーンを見ながら操作できる。SIMさえ対応してれば、音声通話もSMSも可能である。キャリアがSMSでいといろ伝えてくることがあるので、SMSの受信はできたほうがいい。
感想
海外滞在中にIDEOSを使って満足している。ただし、今回の滞在で、本当にデータ通信が必要になったのは見知らぬ土地を移動した2回だけで、それに対応するだけであれば特別な準備は何もせず、必要なときにだけデータローミングを使うというのが安かったと思う。ただそれは、振り返って言えることであって、やはり費用がそれほどかからないデータ通信の手段は持っていたほうが安心である。
前払いSIMでのデータ通信がイギリスでは1Gバイト20ポンド(約2500円)、合衆国では500Mバイト25ドル(約1900円)と比べると、日本通信の前払いSIMはU300でも短期滞在で使うには割高に感じる。U300で通信速度が制限されていてるのはいいとして、音声通話もSMSも受けることさえできないというのは不便であるとともに海外の人には意外に感じられることだろう。
2011-07-17
Google+はひょっとすると文字コミュニケーションの革命かも知れない
既に同様の指摘をしている人はおられますが・・・
Google+はSNSの新種と基本的に理解されていると思いますが、ひょっとすると個人の文字コミュニケーション(メール・SNS・ツイッター・ブログ)をすべて統合してしまうのかも知れないと思いはじめました。
Google+ではメッセージ送る際に「share」する相手を選びます。相手を個人にすればメールになり、サークルを指定すればSNS、publicを指定すればツイッターあるいはブログとなります。
これらすべての使い方に対して返答とか応答とかが同様な形で行えますし。
普通のメールやブログに比べると自由度は小さくなります。現在のところプレーンテキストだけで、文字の大きさや色を変えたりはできないからです。そのうちそういう機能が実現されるかも知れませんし、そういう機能はなくてもなんとかなります。
Google+ではツイッターのように140文字の制限はないし、送ったあとで編集ができます。これはブログと似ています。メールを送ったあとや、つぶやいたあとで誤字に気が付いても修正できません。あまりひどければ、前回のものを取り消して再送することになります。前言撤回が簡単にできてしまうので、それが不都合なこともあるでしょうが、そのうち変更履歴も見られるようになることでしょう。
Facebookはメールを取り込もうとしています。それよりGoogle+のほうがエレガントな気がします。
2011-03-19
バートランド・ラッセルによる自由人の十戒
バートランド・ラッセルのA Liberal Decalogueの和訳がバートランド・ラッセルのポータルサイトの自由人の十戒に掲載されているのだが、正確さに欠けるように思う。そこで、その訳を読んだあとではあるが、私が原文だけを見て訳したのが以下である。
- いかなることも絶対に確実だと思ってはならない。
- 証拠を隠すことにより信用させてはならない。証拠は必ず明るみに出るのだから。
人が考えることを妨げてはならない。あなたは必ず勝利するのだから。自分の勝利が確実だからと言って、考えることを緩めてはならない。- 反対にあったら、それが家族からであっても、自分の権威ではなく議論によって克服するよう努力せよ。権威による勝利は幻想なのだから。
- 他の人の権威に対して敬意を払ってはならない。権威者には常に、その反対の意見を唱える権威者がいるのだから。
- 有害と思える考えを力で抑えてはならない。抑えようとすれば、その有害と思える考えがあなたを抑えようとするだろう。
- 自分の考えが常識はずれであることを恐れてはならない。現在受け入れられているあらゆる考えは、最初は常識はずれだったのだから。
- 安易に同意することではなく、知性的に異議を唱えることに喜びを感じるようにせよ。知性は尊ぶべきであり、前者より後者のほうが知性を尊ぶことにつながる。
- 真実が不都合なものであっても真実に対して実直でなければならない。真実を隠そうとすると、より不都合な結果を招くのだから。
- 愚か者の楽園に住む者が幸福でも、それを羨んではならない。愚か者のみが、それを幸福と感じるのだから。
2011-01-23
広島と長崎で二重被爆した山口彊さんのBBCの番組での扱いはやはり不適切
新聞やテレビで報道されているこの件について、一次情報を見てみようと、1月23日にYouTubeで検索したらみつかった。12月13日に投稿され、多くのコメントが付いていた。そして、日本語字幕が付いた動画もみつかった。しかし、24日に再び見ようとしたらどちらも見えなくなっていた。そこで再度YouTubeで「bbc qi unluckiest man」で検索したら別の人がアップロードした動画が見つかった。字幕なしも字幕付きも。その映像を見たい方には、YouTubeで検索してみることをお勧めする。
問題の番組はBBCのQIという番組で、番組のウェブページで以下のように紹介されている。
Comedy quiz show full of quirky facts, in which contestants are rewarded more if their answers are 'quite interesting'.
[実際にあった変なことが満載のお笑いクイズ番組。出演者は答えが『興味深い』と高得点を獲得]
出演者はコメディアンのようだ。問題の放送の中で「ヤマグチという名前からどこの国の人かわかるでしょう」と司会者が言うと出演者の一人が「オランダか?」とぼけたりしている。
番組の問題の部分は、山口さんを笑いものにしているわけではない。それでも、映像を見れば不適切なものと感じる人が多いと思う。ポルノや下品さを言葉で定義することは難しいが見れば分かることと似ている。番組のその部分の言葉のやり取りを文字にしたものも見かけるが、文字にしたものを見て不適切に感じないからといって、不適切でないことにはならない。
そもそも番組の性格からして、この番組で第二次大戦中のロンドン空襲や911テロ、ナチスの虐殺などの犠牲者が取り上げられるとは考えにくい。
BBCは1月22日付で謝罪を表明しているが、この内容が企画され、撮影され、放送された事実は変えられない。多くのイギリス人にとって、やはり日本人は遠い存在なのだろう。ロンドン空襲の被災者に対する思いと同様の思いを日本の被爆者には感じられないほどに。
ところで、MSN産経ニュースのこの記事には以下のように書かれている。
番組プロデューサーが18日に「不快にさせて大変残念」と電子メールで謝罪。一方、第二次大戦中の欧米人の悲惨な経験も「同様に取り上げてきた」とも訴えた。[強調は筆者]
しかし、英語と日本語の他の報道では「第二次大戦中の欧米人の悲惨な経験」に関する記述は見られない。電子メール原本があればいいのだが。また、ロンドン空襲(London bombing, London blitz)で検索してもQIの動画はみつからなかった。
2010-08-18
大学の教科書はむしろ電子化した方が売れるのかも
IT ConversationsでLaw Is Not a Business Solutionという講演がが配信されていて、そこで大学の教科書を電子化して売り上げを伸ばそうとしているマクミラン(Macmillan)という出版社の取り組みを紹介していました。
同社は教科書を大学の先生が自由に改変できるようにして、電子版をPCやiPhone、iPad向けに販売しています。例えば心理学の教科書の紙版が134ドル29セントに対して電子版が48ドル76セントと電子版を大幅に安くしています。これは、教科書の中古が買われて新書があまり売れないという状況への対応として考えられたとのこと。先生が改変した教科書を講義で使うのであれば、中古の教科書で間に合わせるというのはいやですし、電子化されて安くなった教科書なら生徒も買う気が起こるだろうというわけです。
冒頭に掲げたように講演の題名は「規制強化は商売上の問題の解決にならない」(Law Is Not a Business Solution)で、上記のマクミラン社の事例は、講演の最後に主題に沿った具体例として紹介されたものです。
2010-07-08
中国のインターネット事情
上海に10日ほど滞在して感じたことです。普通に使うと・・・
- よく言知られていると思いますが、twitter.com, facebook.com, youtube.com, blogspot.com (Blogger) はまったく繋がらない。
- Google MailとGoogle Calendar、Google Map、Google Readerは使えるが、Google Docsは使えない。
- amebloやfc2blogのブログで繋がらないものがあった。
- ウィキペディアは日本語・英語ともに見られるが、書き込みはできないのかも。表示に不自然に時間がかかる。画像は見えない。
- asahi.com、watch.impress.co.jpは普通に見えた。
- Google検索は強制的にセーフサーチ強になり、解除しようとしてもできなかった。でもURLに&safe=offと付けたら回避できた。
- Google検索のキャッシュにはアクセスできない。
- *.bing.comに行くとcn.bing.comに飛ばされる。
- Al Jazeeraにもアクセスできない。
Torは最初は使えましたが、しばらくしたら使えなくなりました。安心して動かしっぱなしにしていたのがいけなかったのかも。必要最低限のとどめていたらずっと使えていたかも知れません。
中国で生まれ育った人で技術に明るい人に、インターネットのアクセス制限についてどう思っているか聞いたところ、特に不自由は感じていないとのこと。制限を回避するのは違法ではないとのことでしたが。まあ、中国国内でいろいろそろっていますからね。ユーザーも大量にいますし。その人は海外在住の経験はないからかも知れません。
外国人で長期滞在している人の中には、出身国とか香港とかにサーバーをレンタルしてそこで自前プロクシーを動かし、そこまではSSH等で繋いでいるという人がいました。結構な期間そうやって使い続けているようです。
CISCO関係者から直接聞いたところでは、CISCOの製品が中国政府に使われていると同時に、CISCOの優秀な技術者がかなり中国政府に雇われているとのこと。これも良く知られたことでしょうが。
2009-12-24
2009年12月22日に見つかった沖縄核密約の文書は議事録ではなく覚書
「AGREED MINUTE TO JOINT COMMUNIQUE OF UNITED STATES PRESIDENT NIXON AND JAPANESE PRIME MINISTER SATO ISSUED ON NOVEMBER 21, 1969」と題する文書が見つかり、報道されています。そして朝日新聞・読売新聞はこれを「合意議事録」と呼んでいるのですが、誤訳だと思います。minutesと複数であれば議事録なのですが、単数でminuteとした場合は、覚書です。そもそも文書の内容からして、議事録ではなく覚書です。その密約文書の全文は例えば、ウィキペディアの「日米核持ち込み密約問題」のページに掲載されています。
朝日新聞・読売新聞ともに社内に議事録はminutesと複数形になるということを知る人がいないとは思えません。そして、あの文書を議事録と呼ぶのに違和感を覚える人がいないとも思えません。しかるに、12月23日付けの社説でも朝日新聞・読売新聞ともに「合意議事録」と呼んでいます。報道機関は事実確認を行っていると思うのですが、外国語がからむとそれが弱くなってしまうということなのでしょうか。そして/または「合意議事録」という言葉がニュースの出所から発せられてそれを朝日も読売もそのまま使ってしまったということなのでしょうか。
2009年12月25日追記
Compact Oxford Dictionary, 11th Editionでminute(3)の語義は以下のようになっています。
- (minutes) a summarized record of the points discussed at a meeting.
- an official memorandum.
他の辞書でも議事録の意味では必ず複数形になっています。