秋の美術鑑賞第2弾

 本当は今日は行く予定だったんですが事前の天気予報であまり天気が良くなかったので昨日(11日)に行ってきました。が、しかし、おかげで少し寒かったり歩いたら暑くなって汗をかいたりで、風邪を引いてしまいました(泣)。今日になったら特に天気も悪くなかったし・・・。まぁ、世の中そんなこともあるということでしょう(笑)

京都国立近代美術館「上村松園展」

 まずは、春の「長谷川等伯」の次に今年楽しみにしていた展覧会「上村松園」展を見てきました。さすがは上村松園。よくどこかで展覧会が開かれる人気の画家ですが、今回は大規模な展覧会ということもあって結構な人が訪れていました。
 で、結論を最初にいいますと、かなり良かったです。昨年「上村松園・松篁・淳之 三代展」を大阪高島屋で見て以来、今度「上村松園」展をやるときは必ず見に行こうと決めていました。その思いもあったと思うのですが、これを実際に見てみると、思っていた以上にその凄さに圧倒されました。
 着物や人物描写の極めて細かく精巧なこと、驚くほどの集中力で描かれた見事な髪や着物の線、そしてなにより、人物の一瞬を切り取った画面ながら、その人物の内面性、精神面の強さ、不安感、希望、凛とした自信を持った姿を見事に描ききっているそのすばらしさはやはりさすがであると感じました。
 今回、代表作

  • 「花がたみ」(←かなわぬ恋に狂い発狂してしまった女性の話を題材としているが、実際に当時の精神病院へ取材に行き、表情やしぐさ一つ一つまでつぶさに観察し描き上げたもの)
  • 「序の舞」(←画家本人が「私が理想とする女性」と語っている作品。実は、松園の息子、松篁の奥様そっくりの顔なので、奥様をモデルとしていると思うと孫の日本画家の上村淳之さんが「日曜美術館」で語っていました)

などなどいくつも見ることが出来たのですが、それ以外で興味深かったのは、スケッチの数々でした。これまで色々な展覧会を見てきましたが、古今東西問わず、基本はスケッチにあるというのを学んできたつもりでしたが、この上村松園のスケッチには驚きました。例えば、舞を踊る舞妓のスケッチ一つとっても、あらゆる角度や高さから最低でも一つの用紙に15通り程度のスケッチが描かれており、何枚も描くことによって、あのわずかな「しぐさ」や「表情」で凛とした女性を描ききっていたというのに感嘆すると同時に、まだまだ自分自身も観察することが出来ていないなーと悟りました(別に絵描きじゃないですが(笑))。
 残念だったのは、代表作の一つ「焔」が後期の展示となっていたため見ることが出来なかったこと。今度機会があればぜひ見たい作品です。

西本願寺・特別公開「飛雲閣」

 事前にネットを見ていますと、「飛雲閣」特別公開の情報が載っていたので、祖父と祖母の納骨に来て以来の訪問となる西本願寺に行きました。この「飛雲閣」歴史が好きな人ならば知っている人も多いと思いますが、歴史の教科書には必ず載っている建物で、秀吉の聚楽第の遺構として有名ですが、通常は非公開の建物のため、普段は見ることが出来ないんですね。私自身、この「飛雲閣」の存在は高校生のときから知っていたんですが、今回念願かなって見ることが出来ました。
 入り口から見事な庭園となっており、興味深かったんですが、その「飛雲閣」建物のなんとも奇妙な左右非対称ながら調和が取れた不思議さは面白かったです。で、鐘楼も近くにあったのですが、解説によれば「親鸞聖人350回忌」を記念して作られた重要文化財とのことでした(ちなみに、飛雲閣は国宝です)。来年が親鸞聖人850回忌なんで、鐘楼一つだけでも驚きでした。
 そのあと、前回納骨の時にはまだ工事中であった御影堂(親鸞聖人の木像がある)とこれは前回も訪れた阿弥陀堂に参拝したあと、もう一つの特別公開の「経堂」を見ました。そもそも、前回来た時はこんな建物自体あったのを知りませんでしたが、要するにお経を全面に貼り付けたドラム状のものを一回転させると全てのお経を読んだことにしてもらえるというものなんですが、ここの彫刻が非常に精巧で素晴らしいものでした。
 我が家のお寺の本山という認識だけでしたが、なかなか奥の深い西本願寺であると同時に、以前に読んだ「本願寺 井上鋭夫 講談社学術文庫」にあるように、当初は新興宗教であり、時の政権から弾圧を受け極貧の状態であった教団が、これほどの巨大なお寺として現在にまで至っている歴史から学ぶことは数多いと再度感じました。

京都府京都文化博物館「カポディモンテ美術館展」

 最後に京都府京都文化博物館「カポディモンテ美術館展」を見に行ってきました、この京都府京都文化博物館なんですが、元々日本銀行京都支店の建物を使用していることもあり、レンガ造りの重厚な建物でした。和歌山ってこんな近代の建物についてはあまりイメージが無いなとふと思いました。
 で、肝心の「カポディモンテ美術館展」ですが、結論をいいますと、まぁまぁといった感じでした。
 カラバッジョが「尊敬に値する画家」として名前を挙げたレーニの大作など、良作もいくつかあったのでよかったんですが、そもそも、バロック時代の作品群であり日本人(私自身)にはなじみにくい部分が影響していると思います。しかし、カラバッジョが活躍した時代の作品は明らかにカラバッジョに影響を受けたナポリのカラバッジョ派の作品群が今回展示されており、当時のプロテスタントに対抗するためカトリック復興運動に連動した「リアル」と「信仰」を結び合わせるという、今の私達が見てもすんなりと見やすいものが展示されていました。画面から突き出す効果や光と闇を強烈に使った絵を見ていると、いつかカラバッジョ展が開かれた際には必ず見たいと改めて心に決めました。

秋の美術鑑賞第2弾「その他」

 今回の「その他」に感じたこととしては、

  1. 和歌山や大阪ではマフラー着用の人は少なかったんですが、京都では朝夕は結構な人数の人がマフラーをしていました。これは、今の時期が京都においては初冬に当たるからかもしれません。
  2. 上村松園展」の入場者が多かったには少し驚いたんですが、年齢層がちょうど私(29歳)と同じ程度の人から年配の方が多かった。逆に言えば、私よりも年齢が低い人は見当たらなかった。これは、春の「長谷川等伯」との違いでした。
  3. 「カポディモンテ美術館展」では入場者が時間帯も夕方ごろだったのでスカスカ状態でした。じっくりと見ることが出来たのはよかったんですが・・・。あと、常設展示室は、よくある公共の博物館の展示でした。和歌山のものと比べると、展示方法なんかは特に変わらないんですが、建物自体が大きいので非常に大きな展示コーナーになっていました。(そもそも、建物自体が7階建てだったのは驚きました)
  4. おみやげに鶴屋寿で「桜餅」を買っている際にふと横を見るとレジ横にカゴに入れて「期間限定・栗羊羹」とあるではないですか!初めて見た商品だったので思わず購入してしまいました。うまいこと買ってしまったわけです(笑)

さて、次回は、第三弾(今年最終)として「ウフィツィ美術館展」と「ルーシーリー展」を見に行きたいと思います。