週刊文春今週号

相変わらず「表現の自由」大安売りの原稿で一杯です。
憲法上の権利である「表現の自由」を今回の記事内容で争われるならば、上級裁判所では販売差し止め命令が必要とは思われないという判断が下されるのは誰もが妥当と考えるように思われます。
以前にも書きましたが、今回の販売差し止め命令は、どんどん歯止めが効かなくなってきている人権無視の記事掲載に対するおしおきのようなものだと考えています。
その意味では、高裁の判断は「表現の自由」を民主主義の根幹として守るべきものと規定した上で、今回の記事の公益性・公共性を否定してみせたバランスのとれた判断です。
でも、そんな配慮は驕り高ぶった週刊文春には伝わらなかったようです。
今週号の記事には高裁の判断は反映されていませんが、既に公共性・公益性の判断基準についての反省や検証などは影も形もありません。
原稿を寄せてくれた識者たちの殆んども、記事の公益性・公共性に疑問を呈しているにもかかわらずです。
で、高裁の判断が出た後の反応に至っては、まるで凱旋将軍かのごときはしゃぎっぷり。
高裁の判断を勝利と捉えるにしても、その勝利は文春が勝ち取ったものではありません。水戸黄門の印籠のように憲法をかざして、相手方に丁重に退却願ったあとに、敵陣に乗り込んだ文春が旗を立てて喜んでいるだけのことです。
もはや、マスコミに人権に対する配慮を期待することは無理なのかもしれません。そういった醒めた目でマスコミを見つめている市民が多いことにも気付いてほしいものです。

そして、他の記事に関する謝罪文が掲載されているのですが、
http://d.hatena.ne.jp/tetsuto/20040402#p3
とんでもない誤報に対する謝罪文がたったこれだけで、本当に傷つけられた名誉が回復するものでしょうか?
自己正当化の記事ばかりでなく、このような名誉毀損記事掲載に対する検証と反省こそがいま文春に求められているものではないでしょうか。