今後の被曝量の見積もり(呼吸による内部被曝)

一昨日の外部被曝、昨日の飲食物による内部被曝に続けて、呼吸による内部被曝を考えてみます。
呼吸による被曝の計算には大気中の浮遊塵(ダスト)に含まれる放射性物質の測定値が必要なのですが、茨城県では測定していないようです。(追記7月18日 KEK で測定していましたが、未検出か極々微量です。下記リンクに記載済み)
そこで東電事故原発に近い学校等で測定しているデータを下にリンクしました。測定値を見ると、ほぼ全て不検出(N.D.)です。
事故原発に近く、空間線量も高い地域で未検出なのであれば、常総市で測定したとしても不検出になるでしょう。
もちろん不検出はゼロと同じ意味ではありませんが、浮遊塵による人体への影響をことさらに考えるのは難しいのではないでしょうか。


なお、地上に積もっている放射性物質が、風で舞うという話もあります。
しかし、降下物の測定結果も不検出が続いています。http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305495.htm 定時降下物のモニタリング:文部科学省
また、空間線量を測定するモニタリングポストは、放射線治療を受けた患者さんが近くを散歩しているだけで感知するほど高性能だそうですが、風の強い日に空間線量が上がるということは無さそうです。
さらに、放射性物質が飛散した3月14日〜4月11日の約1ヶ月間(実際に大量に浮遊していたのは2日間、セシウムは最大124Bq/m3)に東京で住んでいた成人の呼吸による被曝量は、約21マイクロシーベルト(0.021mSv/月)という計算が出来るようです。http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i14 東日本大震災関連情報
呼吸による被曝は、外部被曝や飲食物からの被曝に比べて非常に少なく、たとえ風で放射性物質が舞い上がったとしても、人体への影響は算定できないくらいの微小ということになるかと思います。


それでも気になる場合でも、マスクのようなもので、かなり防ぐことが出来るようです。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09030302/03.gif

ダストサンプリングの測定結果へのリンク

http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1304315.htm 電気事業連合会(関係各社)によるダストサンプリング等の測定結果:文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1304006.htm 東京電力株式会社福島第1及び第2原子力発電所周辺のダストサンプリング、環境試料及び土壌モニタリングの測定結果:文部科学省
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/05/12/1305995_0512_4.pdf 学校等におけるダストサンプリング及び土壌調査の結果及び今後の追加調査の実施要領(平成23年5月12日) (PDF:265KB)
http://www.kek.jp/quake/radmonitor/GeMonitor10.html 空気中の放射能の測定結果(10) - 環境放射線 - KEK | 高エネルギー加速器研究機構
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思い返して笑える日は、多分、来ない

「あの時は色々、大変だったけど,何も無くてよかったね」と笑い合える日を迎えられるように、今、放射線対策を要求している方もいらっしゃるようです。
でも、残念ながら、そういう日が来ることは無いのではないでしょうか。
きわめて単純な計算をすると、年間1ミリシーベルトの被曝量でも 0.005%の致死性のガンが発病するそうですので、人口約6万5千人(年間死者数約650人)の常総市では毎年毎年3人強が放射線によるガンで死亡し続けることになります。
(ただし、高い放射線量の死者数を元に低い放射線量の死者数を算定することは無理があるようなので、そんなに簡単な計算をしてはいけないようです)
他の死因が多いとはいえ、誰かが発病したとき「原発事故がなければ病気にならなかったのに」という気持ちを拭い去ることは出来ないでしょう。
誰かを敵視したり、何かを要求しているだけでは、そういう気持ちに対処することは出来ないと思います。どうすればよいのかは分かりませんが。