福島の子供の甲状腺機能に変化が有ったというニュース

(このエントリーは、他の項目の追記として書いていたのですが、長くなったので独立させました)
おととい、子供の甲状腺に変化が有ったというニュースがあり、ネットでは「大変なことだ」というような騒ぎになったようです。テレビやラジオでも取り上げられたようです。

http://www.shinmai.co.jp/news/20111004/KT111003ATI090018000.html 信濃毎日新聞[信毎web] 10人の甲状腺機能に変化 福島の子130人健康調査
今回の調査で1人が甲状腺ホルモンが基準値を下回り、7人が甲状腺刺激ホルモンが基準値を上回った。甲状腺機能低下症と診断された例はなかった。


当然、ツイッター上でも話題になり、次のようにまとめられていました。またブログを書かれた方もいらっしゃいます。
全部も読むのは大変ですが、要約すれば、全く被曝していない子供を測定しても同じような結果になると考えられるため、今回の調査結果からは、何も言えないということです。(但し、基準値を超えている子供は、放射線によるものかどうかは不明だが何かの病気の前兆である可能性はあるため経過観察は必要)


http://togetter.com/li/196452 「福島の子ども10人、甲状腺機能に変化」報道への反応まとめ - Togetter
http://togetter.com/li/196659 福島のこどもの甲状腺検査結果の報道をめぐって - Togetter
http://togetter.com/li/196954 甲状腺機能異常の報道について放射線科医の見解 - Togetter
http://d.hatena.ne.jp/akatibarati/20111005 2011-10-05 - アカチバラチの日記

http://twitter.com/#!/tomokity/status/121368295541706752 もそもあのニュースは見方を変えれば『福島県の子供130人を調べても、一人も「甲状腺機能低下症」の発症者は見つからなかった』という報道でもあるので、「数値に異常があった7.7%」という数値が「福島特有のものではない」ことさえ証明できれば、むしろ安心できるニュースに変わりますよね。


福島民友福島県の地方新聞のようです)には、下記のような記事が載ったようです。

http://twitter.com/#!/nabeyasu1124/status/121836066054483968
長野の団体の独自検査で130人中10人の甲状腺に異常があるかのように発表され、原発事故と関連づけてテレ朝やフジの番組が騒いだ問題で、福島民友紙が「10人のデータは一般の健康診断で測定される範囲内」と特報。団体と信州大も「基準値からの変動はあるが甲状腺異常ではない」。空騒ぎの極み。

10月7日追記
上記の福島民友の記事をアップされた方が居ましたのでリンクしておきます。http://twitpic.com/6vxnbk/full 福島民友 10 / 6 記事 〜 長野に避難 子供10人、甲状腺異常なしの見出し -
追記
上記で紹介したものは、スキャナ取り込みのためにレイアウトを変更しているようです(内容の変更はしていないようですが)。カメラで撮影したものは、こちら。
http://twitter.com/#!/heart8255/status/121958022938505217/photo/1


また、こちらの記事によると、今回の調査を行った JCF(日本チェルノブイリ連帯基金。鎌田實さんが理事長)の事務局長は、下記のように言われています。

http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20111005/CK2011100502000113.html 中日新聞:福島の子、経過観察が必要 JCFが健康調査:長野(CHUNICHI Web)
しかし、JCFの神谷さだ子事務局長は「福島県の親は子どもの健康にすごく神経質になっている。まずはその不安を解消させたかった」と、調査をした理由を説明する。

不安を解消させたいという思いで、調査をし、それを裏付ける結果を出したのに、ネット上などでは「やっぱり子供に異常!!」「避難させなかったから」などのような言葉が飛び交っていました。
それは調査したJCFと、保護者の気持ちを踏みにじる行為でしょう。


追記 10月9日

http://twitter.com/#!/kouenji_tomioka/status/122861109916073984
10/8日福島の子供の甲状腺を検査した日本チェルノブイリ連帯基金の事務局員がラジオ福島に出演し、検査結果は甲状腺の異常を示すものではないし、まして病気では全くないと言っていた。武田氏はどうするのか。

http://twitter.com/#!/kouenji_tomioka/status/122863342367940609
彼女(チェルノブイリ連帯基金の担当者)は、福島の皆様に迷惑をかけて申し訳ないという趣旨の発言もしていた。できれば、何らかの形でそれを公にしてもらいたいのだが。

何で長野県で?と思っていましたが、こういうことだったようです。

http://blog.livedoor.jp/aryu1225/archives/51969918.html いわき日和:「事実を知らせる」ということ
「検査を受けた子どもたちは、長野県に避難している子どもたちではなく、夏休みの間、短期滞在していたサマーキャンプなどの参加者です」と説明した。

追記10月13日

長野県において福島県から避難している子どもの甲状腺検査に変化がみられたとする報道に関しての学会声明(PDF)http://jspe.umin.jp/pdf/statement20111012.pdf
検討の結果、今回の検診でえられた「検査値の基準範囲からの逸脱」はいずれもわずかな程度であり、一般的な小児の検査値でもときにみられる範囲のものと判断しました。なお、これらの検査結果を放射線被ばくと結びつけて考慮すべき積極的な理由はないものと考えます。

追記10月28日
http://www.j-cast.com/2011/10/26111303.html?p=all 「子どもの甲状腺機能に異常」報道は行き過ぎ 専門医学会が「原発と結びつける理由なし」 : J-CASTニュース


参考リンク
http://jcf.ne.jp/ 日本チェルノブイリ連帯基金
http://jcf.ne.jp/cp-bin/blog/index.php?eid=178 JCF mail::10月4日 信濃毎日新聞記事
http://www.j-tajiri.or.jp/source/translation/a/08.html 甲状腺機能低下症


全く別の話ですが、ついでに。
(今回の子供に限らず)今後、何からの健康被害が出ても、全て「放射線との因果関係は不明」ということになると思います。
それは当然のことで、放射線による病気は、たとえ放射線が無くても同じ病気になる人も居るため、(殆どの場合)因果関係を明らかにすることはできないからです。
たとえば通常なら300人程度しか発病しない病気なのに、東電原発事故後に500人の発病があったら、放射線による影響と考えられますが、500人のうちの誰が放射線によるかの判断は出来ません。
東電などに賠償を求めるのであれば、上記の例では200人分の医療費や慰謝料を請求することになるのでしょう。
しかし、個別の因果関係を追及することは不可能なのですから、個人に支払うのではなく、健康診断を増やして早期の発見を増やすとか、医療費を値下げするなどのように、国民全員の健康・医療の向上に使うことになるのではないでしょうか。
放射線の影響の可能性が少しでも考えられれば500人全員の損害を認めるというのは、現実的は無いし、公平でも無いと思います。