年次総会

物故者法要・刷毛供養

今日は兵庫県表具内装組合連合会 年次総会 でした。今年の総会は、組合発足35周年という事もあり、総会に先立ち、神戸市兵庫区五宮町にある臨済宗妙心寺派天門山祥福寺にて物故者供養と刷毛供養が執り行われました。祥福寺は雲水の修養道場として知られる戒律の厳しい禅寺です。

精進料理

法要が終わり、精進料理が出ました。祥福寺は精進料理が美味しいのでも有名です。
食事の際に出された箸袋に一日不作一日不喰(いちにちなさざれば いちにちくらわず)と書かれていました。今日、僕はこの料理をいただくに値する事をしたのでしょうか? また、箸袋の内側には「食事五観文」が書かれていました。ちょっと紹介しておきますね。

食事五観文
  • 一つには、功の多少を計り、彼の来処を量る。
  • 二つには、己が徳行の全欠をはかつて供に応ず。
  • 三つには、瞋を防ぎ、過貪等を離るるを宗とす。
  • 四つには、正に良薬を事とするは形枯を療ぜんが為なり。
  • 五つには、道行を成ぜんが為に、當にこの食をうくべし。

お料理は、噂通りとても美味しかったです。

総会

食事の後、お寺の広間を借りて総会が行われましたが、僕は組合の正会員ではないので総会には出席せず、一足先に祥福寺を後にしました。

表具と佛教

我々の仕事(表具)は、佛画や経典の保存、修復技術として大陸から伝わり、茶道、華道、墨蹟といった禅文化と共に独自の発展をしてきました。ですから、表具を学ぶ事は佛教を学ぶ事であり、佛教の理解なくしてはその真髄を極める事は無理と言えるでしょう。表具を含む日本の伝統文化は、佛教抜きでは語れないのです。
中でも、最も繋がりの深い禅は、「不立文字(ふりゅうもんじ)教外別伝(きょうげべつでん)」という考えが根底にありますので、文献による知識だけでは身につける事が出来ません。なぜなら、一度言葉で説明してしまうと、それはもはや禅ではなくなってしまうからです。

表具をならうというは、自己をならうなり*1

心を学ぶと言う事は日常の暮らしの中で自然に身に付けるしかありませんから、表具師の修業も一生続き、これでおしまいという事がないのです。

*1:どうやら道元禅師(曹洞宗)の「正法眼蔵」のパクリらしいです。(笑)