何の為の発言だったか
本日の衆議院予算委員会で南京市と名古屋市の問題が議題に上り、野田総理が両市間で解決される事を期待したいという答弁をしたようだ。
南京からは「関係の一時停止」と通告を受けているわけで、これは正直言って「河村市長のままでは関係修復はできませんよ」ということだろう。
おっと、この文章を書いているところに懸念されていた「SKE48南京公演」も中止の一方が入ってきた。
南京のSKE48公演取りやめ 虐殺否定で日本週間中止 2012年3月1日 19:10
【重慶共同】名古屋市の河村たかし市長による「南京大虐殺」否定発言に対する中国国内での批判の高まりを受け、名古屋が拠点の人気アイドルグループ「SKE48」の公演を目玉に、9日から11日まで江蘇省南京市で開催予定だった日中共催の文化イベント「南京ジャパンウイーク」を中止する方針が1日、固まった。日中関係筋が共同通信に明らかにした。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/289647
もう、この問題はツッコミどころが満載で、よくもここまで状況を悪くできるもんだと思いますが、いままで「政治的な勘は凄い」と河村氏を見ていた人も判ったでしょう。結局、彼は運が良かっただけですよ。
2月27日の市長会見で、「私の『いわゆる南京事件はなかったのではないか』という発言が、メディア、報道により『南京大虐殺はなかったとする持論を展開』とのテロップになり、私の発言の趣旨が南京ではあたかも何もなかったと誤解され(略)」と報道の問題であるように語られたのを受けて、メ〜テレが取材時の素材を全て公表している。
「河村たかし名古屋市長の南京事件を巡る発言」(メ〜テレ)えらい!以前、ある問題ではメ〜テレを批判したがこの問題では見直した。
・・・それにしても。
後ほど述べるが、言う必要がない、または言ってはいけない事を何の勝算も無く発する。その理由が判らない。(結局、ただのガキってこと?)
外から見ると最低のタイミングで発せられた問題
日本国内で見ていると判らないが、実はこの問題、最低のタイミングで発せられた可能性がある。
木語:「30万人説」広めただけ=金子秀敏
(略)タイミングも間違えている。ネットで2月23日付米国メディアCNNの書きぶりを検索してみたらいい。
(略)
次が「事件は最近クリスチャン・ベール主演の映画『ザ・フラワーズ・オブ・ウォー(戦争の花)』で描かれた」。ここが問題だ。この映画の中国語タイトルは「金陵十三釵(チンリンシーサンチャイ)」。金陵とは南京、釵はかんざし。女性たちが米国人牧師のいる教会に逃げ込んだ。日本軍が女性を差し出すよう迫る。女学生を救うために売春婦たちが進んで犠牲になるという戦争美談だ。中国映画としては史上最高の約70億円をかけ、張芸謀(チャンイーモウ)監督がメガホンをとった。昨年12月13日、わざわざ「南京大虐殺記念日」を選んで、北京で封切りのセレモニーが行われた。同じ日に、南京の記念館では反日運動団体が5000人集会を開いた。危ういことに映画の売り込みと反日運動が連動している。
大ヒットしている。映画館を出てくる中国人は興奮して「尖閣諸島を奪回せよ」と叫んでいるという。30万人が正しいかどうか、中国人が冷静に語りあえる時ではない。
http://mainichi.jp/select/opinion/kaneko/news/20120301ddm003070059000c.html
(略)
結局、河村発言でなにがどうなったのか。CNNが張芸謀映画を宣伝し、30万人説がいよいよ世界に広まった。この結果について河村氏は責任を感じているだろうか。(専門編集委員)
記事で触れられているCNNの報道はこちら。
Fury over Japanese politician's Nanjing Massacre denial - CNN
そして、クリスチャン・ベール主演の映画「The Flowers Of War (金陵十三釵) 」のトレイラーはこちらになる。
中国におけるジャパンウィークと言うタイミングでもあったわけだが、同時にこの映画の良い宣伝を買って出たような形になっているのではないか?
ざっと聞いているところでは、中国においても南京の記憶は失われつつあるということだ。そういった機運が逆に映画を作ろうという事につながったんだろうけど。そうやって段々と、冷静な議論が展開されていく中で、数字の見直しも行われていくということになるのだろうに。そして、この数字の見直しと言うのは東京裁判や南京軍事裁判の見直しを意味するのであって、単純に「南京大虐殺問題」だけの話ではないのに。
こういった両国間のしこりをほぐそうという行為に水を差すのが、こういった馬鹿者の存在だ。
河村市長の行政責任というか、大人としての当たり前の責任を問う
名古屋市政や河村市長の言動を見ていると明確に判ることがある。
「何もしていない」
河村市長は市議会リコールの際に市議会議員は何もしていない、活動が何も見えないというような事を言っていて、市民を煽ったが、実は河村市長こそ何もしていない。
全てにわたって「言うだけ首長」「口先首長」ということになっている。
思いつきで語った政策らしきものも何も進んでいないし「やる」といった事もやっていない。(リコールの調査も区長公選も待機児童対策のプレハブもアレもコレも)
この南京問題が発生する前。1月31日「外務省の口上書問題」が報じられ、TBSの報道に対して河村市長は「(外務省に)聞いてみます」と答えた。
ところが2月6日、13日の市長会見において一言の説明も報告も無かった。(参照:市長記者会見)
2月19日の「名城住宅跡地利用を考える地元集会」においても一言も触れられなかった。*1
名古屋市に確認してみると、最初「TBSの報道に『聞いてみます』と応えたのは政治家河村たかしであって市長としての見解ではないので名古屋市はあずかり知らぬ」という回答が帰ってきた。
実は、国際交流課において、外務省へ確認を取っていたようで、これをもって「名古屋市は対応した」と回答が変わった。
更に、「この調査の指示は市長の発言を受けて」という回答を得たが、そうであるならば外務省から名古屋市に寄せられた回答について報告、説明があってしかるべきで、今に至るもなんら公開されていないとするならば、1月31日の「市長の発言」を受けて、名古屋市の予算(人件費)を使って調べた報告を名古屋市が握りつぶしている事になる。
また、あの発言が「政治家河村たかしの個人的発言」だとすると、コヤツはテレビカメラの前で語った事柄を放置している事になる。
私が去年の6月20日、アートピアホールで切れた事と同じ事をしている。
更に、実を言うと。
先ほど紹介したメ〜テレの動画を見ていただくと判るのですが、河村市長は南京の訪問団に「在名古屋中国総領事館移転問題」の話題を出している。
一体何のため?
何かプラスがあるの?
というよりも、素人が見たって外交儀礼的に筋違いだし、失礼も甚だしい事ではない?
もう、こうなってくると、ちょっとした電波ですな。
政治家や市長として云々ではない。大人として何か欠落している。
この問題について、河村市長は本当に自分で決着を付けるのでしょうか?
その行動(いつ、誰に、どのような指示をした。何を言った)を名古屋市は逐一市民に公開する義務があるのではないか?
いい加減、この口ばかりで何もせぬ人間の不作為で、無用の混乱ばかりを起こすのは勘弁願いたい。そして、このような人物を市長に担ぎ上げた人々に、いい加減、責任を感じて欲しい。君達のいい加減な態度が、実社会で困難や苦悩を抱える人々を生み出しているんだ。
地方政治と外交
名古屋市会2月定例会における個人質問の内容が判りました。この南京問題に触れるのは、初日(3月5日)最初に質問する共産党の山口市議と午後一番で立つ民主党のうかい市議の二名のようです。
そもそも地方議会で扱えるような問題ではありません。
また、民主党や自民党と言った党には、この問題に対するスタンスを取る人が幅広く居て、党内議論もなかなかまとまらないようです。民主党のうかい市議には民主党内でも議論があったようですし(その影響で、質問通告の題名が「未来志向の友好都市交流について」と「南京」という言葉を避けています)
また、自民党も党内議論がまとまらずに、今回はこの問題に関しては「敢えて触れず」とするようです。
「南京問題」や「東京裁判史観」は日本国内においても様々な意見があって中々まとまりません。更に、この問題はえてして感情的な対立まで引き起こします。
地方政治や、地方自治。地域コミュニティーにおいても、こういった問題に対して、様々な意見を持っている人は居る事でしょう。しかし、それらの意見の相違から、町内で人々がギスギスする事が真っ当な事とは思えません。
地域コミュニティーとは、そういった政治的スタンスを一旦、横において生活を共にしていく場なのですから、要らぬ対立や亀裂は邪魔でしかないのです。
それを「市長」という立場もわきまえずペラペラと軽口の如くに語り散らすこの態度。
最低の人物と言うしかない。
(けれども、以前語ったように、敬称を付ける事は続けましょう)
追記:映画「The Flowers Of War (金陵十三釵) 」の公開時の模様を示す画像素材が送られてきた。
考えてみると、12月公開の映画なので、3月の今になって話題になって公開に影響するのか良くわかりませんが。(リバイバルとか有り得るのかな?)
*1:本日3月1日、地元住民代表が河村市長に要望書を手渡して、報道陣を入れて河村市長はこれを受取ったがやはり「何もしない」ことだろう。そうでないのであれば、工程を示してそれを公表すべきだ。