ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

ミーチャ@DSCH(7)

昨日の終わりに書いたCD3枚の件ですが、これまたショスタコーヴィチ・シリーズなのです。対比のために、プロコフィエフも添えています。
これからの季節は、ショスタコーヴィチの音楽がふさわしいかもしれません。ただし、正直なところ、あまり広くお勧めできる音楽ではないですね。私自身は好きなのですが、親しみやすさという点ではノーです。初めての方には、ちょっと重過ぎます。また、自曲や他の作曲家の引用によって皮肉や風刺やパロディを含意しており、リズムもテンポも調も目まぐるしく変わる特徴があるため、音楽理論音楽史を知らないと、(なんだこれは?)という印象を持たれるかもしれません。
プロコフィエフの方が、その点、もっと洗練されていて高雅な印象を与えます。「ピーターと狼」に代表される子ども向けの曲もありますしね。

1.“Shostakovich・ the 2 violin concertosDmitri Kogan (Violin)/Maxim Shostakovich (Conductor), Tchaikovsky Symphony Orchestra, Concerto for violin No.1 in A minor, op.77/Concerto for violin No.2 in C-sharp minor, op.129

2.“Dmitry Shostakovich Quartetto No.8 in D minor, op.110, Orchestra d’Archi Italiana diretta da Mario Brunello

3.“Sergey Prokofiev, Complete Works for ViolinFrank Peter Zimmermann (violin), Lorin Maazel & Mariss Jansons (conductors), Alexander Lonquich (piano), Berliner Philpharmoniker,Violin Concerto No.1 in D, op.19/Violin Concerto No.2 in G minor, op.63/Sonata for violin solo in D, op.115/Sonata for 2 violins in C, op.56/Violin Sonata No.2 in D, op.94a/Violin Sonata No.1 in F minor, op.80/Cinq Melodies, op.35b.

1は、ドミートリ・ショスタコーヴィチのご子息マクシム氏が、お父様と同じ名前を持つコーガン氏のヴァイオリンの指揮をとられています。中村紘子氏の噂によれば、ご子息はあまりできがよろしくなかったようで、お父様の心配の種だったとか。(参考:中村紘子ピアニストという蛮族がいる文春文庫(1995年)pp.72-73)。中村紘子氏は、著作の中で、おもしろおかしく大袈裟な表現を用いるので、事の真偽について、あまり当てにはなりませんが。ともかく、他の人には決して踏み込めない格別な思い入れがある演奏なのだろうと思われます。
第1番の方は、ゆったりとしたテンポで重厚な仕上がりとなっています。第2番は、作曲家が晩年に、ヴァイオリニストのオイストラフの還暦祝いとして書かれたそうです。オイストラフといえば、辻久子さんに助言を与えた師としても有名ですね。どこかで聞き覚えのあるさまざまな旋律がそこかしこに散りばめてあり、いかにもといった感じの曲です。玄人向けというのか、大人の作品ですね。若い奏者が、技術面はともかく、精神的に無理やり背伸びして演奏する曲ではなさそうに思われます。

2は、ショスタコーヴィチの有名な弦楽四重奏曲第8番です。完成当時、「僕自身を記念する作品を、たった今書き上げたよ」と家族に告げたというエピソード付で有名な(参考:『わが父ショスタコーヴィチ:初めて語られる大作曲家の素顔音楽之友社 p. 175)、何とも複雑な心境が表現された小難しい曲です。フレーズのあちらこちらに、ヴァイオリン協奏曲第1番でも用いられた旋律が見え隠れしています。実は、ショスタコーヴィチの他の数曲の部分旋律が組み合わされて埋め込まれているのですが。
3はオール・プロコフィエフで、これだけ続けて集中して聴けば、だいたいの雰囲気はつかめるかと思って買い求めた次第です。