小説 TRIPPER (トリッパー) 2006年 夏季号 [雑誌]

キリンのアップは怖いなぁ。
巻頭の江國香織×古川日出男の対談が興味深い。古川日出男とその作品の関係性がちょっとわかった気がする。
大森望氏の評論「新人文学賞と最新事情と注目の若手作家10人」も面白かったな。注目作家10人は、名前は知ってても読んだことがない人の方が多かった。ちなみにその10人とは、絲山秋子金原ひとみ朱川湊人谷川流日日日有川浩道尾秀介辻村深月森見登美彦山本幸久。もう新人と呼んでは悪い人も入ってはいるけど、”新人賞勝ち組”ということらしい。読んだことがあるのは、絲山秋子朱川湊人有川浩山本幸久のみだな。というわけで、それ以外の人の作品を読んでみることにしました。

太陽の塔 (新潮文庫)(森見登美彦)★★★★

太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)

というわけでさっそく挑戦。

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

あぁ、これは面白かったなぁ。わたしも京都で学生時代を過ごしたので、余計に楽しめた気がする。京大(理系)の人たちってまさにこういうイメージだったし(笑)。自虐的なユーモアをたっぷり織り交ぜながら、大学時代に誰もが感じる、出口の見えない閉塞感もしっかりと描かれていて。他の作品もぜひ読んでみたい。

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)(谷川流)★★★★

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

というわけでさっそく挑戦その2。

「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」。入学早々、ぶっ飛んだ挨拶をかましてくれた涼宮ハルヒ。そんなSF小説じゃあるまいし…と誰でも思うよな。俺も思ったよ。だけどハルヒは心の底から真剣だったんだ。それに気づいたときには俺の日常は、もうすでに超常になっていた―。第8回スニーカー大賞大賞受賞作。

このシリーズの名前はあちこちで見かけるので知ってたけど、読むのは初めて。読み始めたときは、米澤穂信の<古典部>シリーズみたいに、変な女の子に振り回されるクールな男の子の物語なのかなぁ、と思ったのだけど、いやはや、途中からとんでもない展開の連続でぶっ飛びました。ただひたすら楽しめた。文体にクセもないし、視点であるキョンがあまりに普通であるためか、違和感なく物語の世界に入っていけた。これは続々出てるシリーズも全部読みたいかも。ちなみに長門有希キョンに貸したSF小説はやっぱ『ハイペリオン』ですかね?