弁護士が見つからないので、仕方なく本人訴訟で今日東京地裁へ訴状を提出してきた。建物内には随分喫煙室があったが、国立公立の建物内に喫煙室を設けるのは違法だと主張している淡路島のおかしな医者は、東京地裁・高裁も提訴したのだろうか。「提訴されました」と、まるでそれが勝訴ででもあるかのように言い立てるマッド禁煙ティストどもがいるなら、私も提訴するまでだ。
 以下訴状である。


                 訴  状
                        平成18年1月16日
東京地方裁判所民事部御中
          原告 小谷野敦(略)

  被告
 〒100−0013 東京都千代田区霞ケ関一丁目1番1号
               国
      代表者法務大臣  杉 浦  正 健
損害賠償請求事件
訴訟物の価額  金10万円
貼用印紙額  金1000円
請求の趣旨
1.被告国は、原告に対し、金10万円を支払え。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
 との判決並びに仮執行の宣言を求める。                 

請求の原因

1、国会議員による差別発言

 平成17年12月7日付朝日新聞朝刊東京版報道によると、衆議院議員杉村太蔵は、前日、国会内で開かれたたばこ増税をめぐる意見交換会で「多くの若者にとって、たばこは汚い、くさい、カネがかかるの3K」と発言したとある。北海道新聞同日朝刊、時事通信でも同趣旨の発言が報道され、また共同通信では「臭い、汚い、格好悪い、カネがかかる、などとの言葉を『3K』として、若者が喫煙を敬遠するようなイメージ戦略を進めてはどうか」と発言したことになっている。たばこは法で認められた嗜好品である。国会議員がこのような発言をなし、それが報道されることは、喫煙者、たばこ農家、たばこ製造、販売に携わる人々への差別を促すものであり、国家による特定集団への差別として人権侵害に当たる。また遺憾ながら、その場にいた他の議員たちのみならず、報道もまた、これが差別発言であるという指摘ないし批判を行わなかった。
 原告は、12月7日夕刻、杉村宛電子メールを送り、発言の事実を確認したが、回答が得られなかったため、12月14日配達証明内容証明郵便で抗議文を送り、喫煙者の一人として厳重に抗議し、一週間の期限を設けて、公の場での撤回および謝罪を要求したが、何の回答も得られず、撤回も謝罪も得られなかった。この発言によって、喫煙者である原告らは屈辱を味わい、回答が得られなかったこと、撤回も謝罪もなかったことでさらなる苦痛を味わった。
 杉村は国会議員であるから、憲法51条によって議院内での発言は責任を問われないことになっているため、判例に鑑み、この屈辱と苦痛に対して、国家賠償法による国の賠償を求めるものである。    

2、健康増進法第25条の違憲的解釈に対する国の責任

 次に、平成15年5月1日に施行された健康増進法第25条が、公共機関等において、日本国憲法第14条に違反し、平等を侵害する解釈をなされており、国はこれに対して適正な行政指導を行ってこなかった。この点において、国の責任を問うものである。
 健康増進法は、その第25章に、受動喫煙の防止を掲げ、公共の場における喫煙を制限するよう各施設の管理者に努力を求めている。しかし、第一に受動喫煙の害なるものが、法令によって自由を侵害するほどの緊急性を持つものかどうかについて科学的な結論は出ていない。第二に、他人に害を及ぼすという点で受動喫煙に比べ遙かに巨大な破壊力を持つ自動車、大型自動車二輪車等の走行に関して、国はしかるべき規制を行っていない。これは、喫煙者と自動車等運転者間における差別であり、憲法第14条(法の下の平等)に違反している。また、煙草と並び嗜好品とされる酒・アルコールについて、この健康増進法の趣旨に反し、何らの規制も謳われていないのは疑問であり、現時点における日本国の酒・アルコールの販売についての規制は諸外国に比べても極めて貧弱、あるいはほとんどなされておらず、野放し状態である。たばこ規制枠組条約に基づいて、煙草の箱には、健康を害する旨の大きな警告文が掲げられるようになったが、酒・アルコールの入れ物にそのような表示はまったくない。飲酒者もまた、時に重大な危害を他者に加えるものであり、これを放置して喫煙のみを狙い撃ちするかのごとき行政措置は、憲法第14条に違反するものである。
 健康増進法第25条そのものは、罰則なしで配慮義務を謳っただけのものであるから、それ自体違憲ということは難しい。だが、この条文を口実として、たとえば首都圏の私鉄は「健康増進法の施行に伴い」として駅構内を全面禁煙とするなど、喫煙者を差別する措置が取られており、即ち同条文は広く憲法違反の解釈をなされており、国はこの誤解を正す努力を怠り、むしろ誤解を助長する動きをしていることが、本訴訟の原因の一つである杉村発言に如実に現れている。

3、裁判官の差別的意見
 平成17年12月20日、東京地方裁判所で、タクシー運転手らが「車内の喫煙を防止する措置を国が怠ったことで健康被害や精神的苦痛を受けた」として国に対して起こした損害賠償裁判の判決で、裁判長柴田寛之は、タクシーを「全面禁煙化しても支障は生じない。禁煙を望む利用者の立場に立つと、全面禁煙化が望ましい」と附帯意見を述べた。しかし同意見は、喫煙者の立場を無視したものであり、しかもたばこの煙を嫌がる運転手、利用者が起こした裁判であるから、このような意見を裁判長が述べることは越権行為であり職権濫用に相当する。かつ喫煙者に対する差別的な、また個人的な見解であって、憲法14条に違反している。この意見によって原告は喫煙者として精神的苦痛を受けた。よって、公務員たる裁判官の公的発言に対し、国の賠償を求めるものである。

結論

よって原告は請求の趣旨の通り、被告に対し、原告に対して金10万円の慰謝料の支払いを求めて本訴に及んだ次第である。