beatleg vol.67発売中

k_turner2005-12-28



 今月もbeatleg誌が発売されました。巻頭特集はビートルズの「未だ発掘されない音源」。どこにも流出していないけれど、「実在するはず」の音源を各種資料から検証し、36ページに亘りまとめたもの。こんな特集が実現できるのはbeatlegだけだろうし、対象がビートルズだからこそでしょう。
 ある意味今月号のもうひとつの目玉はランディ・ジョンソンのインタビュー。そう、あのニューヨーク・ヤンキースランディ・ジョンソンである。何故彼のインタビューがbeatleg誌に掲載されたのかというと、ランディ・ジョンソンはブートCDのハード・コレクターだから。お忍びで来日しては西新宿界隈に出没していたことは一部ではよく知られたことで、去る11月中旬に来日した際にその情報をbeatlegスタッフがキャッチし、ショップ内で突撃インタビューを敢行、何とランディはbeatlegの愛読者でもあったそうで、無事掲載されたという次第。こんな記事はスポーツ誌でも読めないだろう。
 記事にはなっていないけどその場に立ち会ったスタッフから聞いた話。西新宿を探索し尽くしたランディに「他に品揃えの良い店はないか」と尋ねられたので、「新幹線で1時間ちょっとかかるけど…」と浜松の某ショップを教えたら、「1時間ならすぐじゃないか」と本当に浜松まで出向いたそう。確かにメジャーリーガーの感覚では1時間程度の移動なんてどうってことないのでしょうな。
 今月も私は無記名でプライベート盤のレヴューを書いています。ちょうど入院していた時期に発売されたため、ここで告知するのを忘れていたけど、先月号でも書いているのでよろしく。

 飽くなき欲望



 本当はTotちゃんの日記にコメントしようと思ったのだが、長くなりそうだったのでこちらに書く。ということでできればTotちゃんの日記をまず読んでいただきたい。
 何の話かというと、ブルース・スプリングスティーンの『明日なき暴走 30周年ボックス』の件。何ヶ月か前にあのボックスの発売を知った時は、75年のライヴ映像、しかもコンサートのほぼ全貌を収録したDVDが入ることに、まず色めき立った。現物を手にしてみて、その映像は確かに歴史的にも、音楽的にも圧巻と言う他ない代物だったのだが、やはり映像は一度見てしまうと、その感動が回を追う毎に増幅するということはまずないし、当然のことながら画面と対峙していないと鑑賞できないので、繰り返し見返すということは少ない。
 その点本編のアルバムの素晴らしさは褪せることなく、何度も味わえることに気が付いた。以前もこの日記で書いた記憶があるが、私が今年最も良く聴いたアルバムはこの『明日なき暴走』なのだ。原稿執筆のために数年ぶりに聴き直したのを切っ掛けに、改めてこの作品の完成度の高さに打ちのめされ、当初の目的である原稿を書き上げた後も繰り返し、繰り返し聴いたのだ。
 今回のボックスのセールスポイントのひとつである、初のデジタルリマスターの効果はいかほどのものだろうかと確認してみると、スペクターサウンドを標榜したせいで、やや霧のかかったような音像がクリアーになり、また各パートがよりきらびやかに生き生きと鳴っており、小躍りして喜んだ。99年版のCDと聴き比べてみると、その違いはよりはっきりした。以前のCDでは各パートの音が痩せていて、どうしても聴き劣りしてしまう。私が持っている日本盤LP(多分オリジナルではなく、リイシューされたもの)は99年版CDよりはファットな音だったが、それでも今回のボックス版とは勝負にならない。
 元より内容は非の打ち所のない傑作。それも1曲どころか、1音たりとも無駄が無い完璧な作品であって、何回聴いても飽きるということがない。その上音質がグレードアップしているとあっては、何の不満があるだろう。ということで私はこのボックスを入手して以来、本編CDは折に触れ聴き返しているのである。一生モンよ、一生モン。
 ところでザ・バンドのボックスについては、Totちゃんの意見に近いのだが、正規盤を散々聴き倒した後に手を出すべきだと思う。アマゾンで輸入盤が7,300円ぐらいまで下がった時に思わず買ってしまったが、そういう事情で私はまだラックの肥やしにしている。何しろ『カフーツ』『ムーンドッグ・マチネー』『アイランド』の3枚に関してはボーナストラック付きリマスター盤を持っていない程なのだから。ボックスは老後の楽しみで良いだろう。
 因みにアマゾンは今でも7,700円で買える。日本盤は16,000円だから、半額以下だ。
 おっと、『明日なき暴走 30周年ボックス』日本盤は先週は15%引きだったのに今見たら20%引きになっているではないか!!
ローリング・ストーンズ来日公演正式発表
 もう知ってるだろうけど。とりあえず東京ドームの2公演のみ。懸念されていたチケット代は、4段階に分かれ、最高のS席は18,000円。一番安いC席でも9,000円。う〜む、アリーナ最前列も、2階スタンド後方も同じ料金に設定していたウドーよりは評価できるとはいえ、いざ正式に発表されると高いなあというのが正直な感想。これでもアメリカ公演よりは安いけどね。
 スタジアム公演でこの料金だと、仙台やさいたまのアリーナ公演は3万円を超えるかも。ストーンズの来日公演は90年の初来日から毎回欠かさず見てきたけど、今回は華麗にスルーしても後悔しないかな。私は前回のLICKS TOURが見納めだと思っていたので、03年は関東4公演を見に行ったし。実際に見に行けば盛り上がるだろうし、それなりに楽しめるのだろうことも分かっているが、貧乏人のおっさんがストーンズのライヴを見に行かない選択以外何ができるんだ?とサー・ミック・ジャガーに聞いてみたいものだ。今まで行っていない地方公演の予定が組まれているということは、ストーンズ側もこれで最後という意識がある可能性は高いけれど。
ストーンズ、デッカ/ロンドン時代のアルバムが紙ジャケ化
 さあさあ、来日が決まった途端便乗する商売も活気付くわけだ。以前リマスター、デジパック仕様で発売されていたデッカ/ロンドン時代の各アルバムが紙ジャケで再発売される。今のところSACD対応仕様かどうかは不明。
 このニュースはサンケイスポーツでも取り上げられている。

 世界に誇る“紙ジャケ大国・日本”がまた大偉業だ。70年代以降の音源はストーンズ自ら管理しており、94年以降、度々紙ジャケCD化されている。だが、米アブコ社が管理する60年代ものは、世界中からのオファーが、全て断られてきた。
 その壁を世界で初めて崩したのが、ユニバーサル・ミュージックの原田実氏(40)。原田氏も「アブコは2002年に全22作をデジパックで再販したので、『それでいいだろ、紙製なんだから』という対応でした」と、最初は断られた。
 しかし、レコード・ジャケットの質感、デザインを完全再現した紙ジャケと、プラスチック・トレーに紙を貼っただけのデジパックは全く似て非なるもの。原田氏は過去に作った数々の紙ジャケを送るなど、3年越しの交渉で、ついにアブコ社を承諾させた。

 なるほど、紙ジャケなんてチマチマしたものを愛でる文化はやはり日本人のメンタリティなのだな。例えばイーグルスなどが日本の紙ジャケを評価して、本国でも発売したという例外はあるものの、上記のアブコ(というかアレン・クライン?)の対応が象徴するように、「同じ紙製だから」という発想が海外製の粗雑な紙ジャケ(ビートルズのキャピトル箱とか)を生むのだろう。