大河渡 『神舟』 (スーパーダッシュ文庫)

神舟 (集英社スーパーダッシュ文庫)

神舟 (集英社スーパーダッシュ文庫)

明治初頭を舞台にした伝奇風物語.新人レベルとしては完成度は高いのは間違いない(ちなみに投稿暦8年にしてこれがデビュー作とのこと).氷紗の迷いや神舟をめぐる争いはよくまとまっていると思う.氷紗と修羅と巴の誤解や三角関係のドロドロも悪くない.ただ個人的にはそんなに強く惹かれなかった.ひとつひとつの要素がライトノベルの線上を大きく外れなかったせいかなぁ.悪い意味で教科書的な.氷紗と修羅が出会って惹かれ合うようになる過程が若干拙速だったせいか,そこから生じる悲劇性の強いラストにも心動かされるようなことも無かった.可も不可も無く,が私の感想.ただ読むひとによって印象が大きく変わりそうではあると思った.

赤井紅介 『ゼロ・イクステンド』 (スーパーダッシュ文庫)

ゼロ・イクステンド (集英社スーパーダッシュ文庫)

ゼロ・イクステンド (集英社スーパーダッシュ文庫)

セカイ系ボーイミーツガール.友情とか裏切りとか,友人や敵の行動がどうにも理に適っているように見えない.薄っぺらい御都合主義にしか.情に訴えるにしても弱いし,……歳とって共感できなくなっているだけだと言われりゃそうかもしれないけどさぁ.先週似たようなの読んだばっかりなのにまたこういうのかと.『扉の外』よりも物語として成立している(きちんと締めたし)のは間違いないんだけど,重心が人間描写から異能バトルへ少しずれているから粗が目立たない,というレベル.そのバトルシーンもわかりやすいとは言えず.ポジティヴな感想は持てなかった.