「東日本大震災と民俗芸能」のお薦め情報

三陸復興カレンダー
三陸復興カレンダー2013(SAVE IWATE(セーブ イワテ))が発行されました。
昨年にも増して素晴らしいです! 岩手の豊かな民俗(郷土)芸能が震災からの復興の心の支えになっていることがよくわかります。
鹿子踊りのお子さんの笑顔を表紙にしたのは納得です。
早速注文いたしました。皆様にもお勧めいたします。
三陸復興カレンダー - sviwatecal ページ!

●記憶をつなぐ─津波災害と文化遺産

https://www.senri-f.or.jp/FS-Shop/wwb/item/199-168337.html
こちらは、東北の民俗芸能と震災の記録と意味を追い続けるAさんとH先生に教えていただきようやく入手した良書(残念ながら書店にはでていないようです)。マスコミに散発的にしか報じられていない世界が本になった意義は大きい。
【本書より】
小谷竜介氏「震災後、多くの祭礼行事の再開の場に立ち会う機会を得たが、一つだけ共通することがある。皆、やってよかった、という感想と参加しているひとたちの笑顔があることである。」
同感。

名振のおめつき 2012.1.24 - JIEN記

橋本裕之氏「表裏一体の関係に置かれた信仰と娯楽を共存させている釜石虎舞の存在形態は、岩手県沿岸部の民俗芸能に関して端的にみられる特徴である」
言い方は難しいけど経験的に納得です。


              (釜石まつり201210.21門打ち asapro)
「百聞は一見にしかず」のために精力的に映像記録を撮り続けているすごい方
阿部武司氏「村の習俗や生活様式には、為政者の歴史とは異なる日本社会を支えるベースが潜んでいる。近代はあらゆる都市の供給源となり慢性的な問題をは内包しながら歩んでいる東北、今回の震災でその矛盾が爆発的に露呈した。
民俗芸能の映像記録は、芸能が機能する社会構造の影にも光を当て21世紀を切り取る作業でもあろう」
アーティスト・インタビュー:阿部武司(東北文化財映像研究所) | Performing Arts Network Japan


(釜石まつり虎舞フェスティバル2012.10.20)
日高真吾氏(編者)「無形文化遺産の復興支援では、芸能の形式だけを復活させるのではなく、運営する人や演じる人、さらにはそれらを見に来る人びとが集う「場」の再生から地域の復興がはじまると考えるのである。」
・本書、小谷氏の文に登場する戸倉の貴重な民俗資料『波伝谷の民俗』
波伝谷の民俗(東北歴史博物館)


虎舞に見入るこどもたち(釜石まつり2012)

「民俗芸能にかかわっている人たちは無形民俗文化財であるとか伝統文化であるとか、あえていえばそんなくだらない理由ではなくて、
自分たちがそこにいるために欠かせないアイテムとして民俗芸能を捉えていたわけである。」「今後の課題をあげるとしたら(中略)
民俗芸能が培われてきた場じたいをどう守っていくのかを考えることだろうと思われる。」(橋本裕之氏)

●Cutivate no.39─文化による復興


こちらは一般には出回っていない雑誌だが赤坂憲雄氏の鮮明な主張が出色。
・「民俗芸能が復活したのは、我々日本人の中に「命」「生と死」「生きることとは何か」という問いのまわりで宗教が復活したのだと感じました。」
・「生きとし生けるものは等しく供養されなければいけない、そういう思想、哲学、あるいは宗教的なものはもう一度取り戻したほうがいいのかもしれません。」
・「世代を越えた共生の感覚を取り戻さないといけないのです。そういう感覚の中から明日の社会をどうデザインしていくのかという問いかけが共有されていくべきです。目の前の経済的な利益や金儲けだけで、危険な選択をすることなど、私はあり得ないことだと思っています。」


 (大川小学校近くの魚貝類供養塔by藤田象観)

(魚貝類供養塔位置(左上)グーグルアース)大川小学校の今─震災から11か月 - JIEN記


文化遺産保全と復興の哲学』『三陸ジオパークを』(早稲田大学ブックレット)
恥ずかしいことに三陸の民俗と地形について基礎知識がなかったのでこの本で少し勉強した。いづれも940円で購入することができる。
できうれば両者を重ね合わせることで復興できればいいなぁと思っています。
文化遺産の保全と復興の哲学
三陸にジオパークを 未来のいのちを守るために | 早稲田大学出版部

(追記121101)
ところで無料のユーチューブで提供されるasaproabeさんの「民俗(郷土)芸能復活」を記録するエネルギーは、ほんとにすごい!
3,11東日本大震災以降の岩手沿岸民俗芸能の現状

3.11大津波にさらわれた東北地方沿岸部は、今、祭りや芸能とともに復興しつつある。


このような流れを地元で牽引したお三方の発表(東京文化財研究所10.26)

第7回無形民俗文化財研究協議会「記憶・記録を伝承する ―災害と無形の民俗文化―」
3.11東日本大震災を乗り越えて─「岩手・宮城沿岸部の民俗芸能 復興と現状」DVD - JIEN記

ラストは
Homeland

Homeland

Homeland

三陸(大槌町)の若き(中学生!)歌姫
東日本大震災後、仮設住宅などでの慰問活動で見いだされた才能。 
海の盆in釜石で歌声を聴いて..購入しました。
ぜひ 聞いてみてください。


 (臼澤みさきさん120811三陸海の盆in釜石)

「故郷(ふるさと)」はじめ全曲いいのですが、会場で特によかったのは「外山節」 「Amzing Grace〜赤とんぼ」「友輝」そして「風のとおり道」でした。
CDで聞いても同じでした。しかし毎日聴いていると「みさき節」に元氣づけられてくるのは本物です。3.11震災から復興を体現する若き歌手です。
臼澤みさき/故郷 ~Blue Sky Homeland~ - YouTube
臼澤みさき[プロフィール] / TEICHIKU RECORDS


                       (名取市北釜 2012 風の日)

「風のとおり道」(作詞作曲 江崎とし子)

指先からこぼれ落ちた
幸せの種 一つ
手を振る暇もなく
君は旅立っていった

姿 形は見えぬとも
風を感じるごとく
記憶の中 この胸ん中
君は生き続けます

果たせなかった 君の想いよ
夢やぶれ 悔しかろう
風よ 風よ 強く吹きつけて
この涙 乾きますように
  (中略)
果たせなかった 君の想いよ
夢やぶれ 悔しかろう
風よ 風よ 強く吹きつけて
この涙 乾きますように

何故ゆえに人は生まれ出でる
叶うなら 嬉しかろう
生きて 生きて 願い届くまで
この涙 微笑む時まで
この涙 微笑む時まで