高校生のための読書ガイド

という名の、おれの読書感想にっき。小並感/ネタバレ有で

うそつきリリィ #7,8

うそつきリリィ 7 (マーガレットコミックス)

うそつきリリィ 7 (マーガレットコミックス)

あーおもしろい……みんな読んだらいいのに

GUNSLINGER GIRL #1

GUNSLINGER GIRL 1 (電撃コミックス)

GUNSLINGER GIRL 1 (電撃コミックス)

洗脳と義体と銃を与えられ、人殺しをさせられる、寄る辺なく見捨てられた少女たち、それとタッグを組む担当官との心の交流……なんとまあのっけから悪趣味なわけだが読んでてもそこが鼻につかないのは作者が本当に描きたいのはその悪趣味さではないということか。そもそも悪趣味ではないのだろうか。
そうそう、俺はアンチ・マイナーなところがあって、いや、アンチ・メジャーなのかもしれないが、この作品のことはずっと知っていたけれど、けっと思って、読んでなかったのだった。

上弦の月を喰べる獅子

上弦の月を喰べる獅子 上 (ハヤカワ文庫 JA ユ 1-5)

上弦の月を喰べる獅子 上 (ハヤカワ文庫 JA ユ 1-5)

螺旋収集家と、詩人が合一し、異世界を旅する、旅するだけの間に、螺旋をキーワードに宇宙を語っていく物語。おれは宗教的なフレーバーのある小説はアナロジーやこじつけにより風呂敷がどんどん拡がっていくような感じが好きなのだが、そういうところが不思議とないのは、ずっと同じこと、螺旋、問いと答えについて、などなど、への言及を繰り返しているからだろうか。解説にもあるがあくまで仏教的に、天について語った、広義の SF といえる。巻末に作者自身による解説が添えられているのだえけど、これが非常に実直な印象で、えらいなあというか、こんな風に思って書いたんですよとか言われると、ずるいような気もするけれど、まあよかった。
俺は詩をうまく読めなくて、あまりこれというのに出会ったことはないのだけれど、宮沢賢治春と修羅』を読んだときには丁度心が感じやすかったのか、それだけはいい印象がある。たびたび引用されているので先に読んでおくのがいい。
ページの下半分が白いので、頁数は多いがすらすら読める。

倒立する塔の殺人

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)

何かで皆川博子に言及されていて、調べていたところ、いつか読むリストにこれが何故か入っていたので買ったというなんかよく出自のわからない動機なんだが、このタイトルはかっこいい。
終戦直後*1のミッション系の女子校、お姉さま、とか言っちゃったりするような少女たちのいる学校を舞台に、「倒立する塔の殺人」とタイトルをつけられた白紙の本を手渡された登場人物たちによって、順番に小説が書かれていく——という、つまり作中作があって、加えて書きつけられている彼女たちの手記から読者はことの全貌を把握しようとする、ミステリになっている。設定がおもしろいだけにいろいろと妄想が先行してしまうなあと思う。信頼できない語り手とか、順番に回していくことによる情報の落差とか。

*1:である必要がどのくらいあったのかは分からんのだが