・「中国人とアメリカ人は肌があうのも、お互い拝金主義であるからだ!」

・「バスコ・ダ・ガマが、新しい航路を発見して、西洋にとって大航海時代を拓いたといっても、大昔からアラブの船乗りが知っていた航路を、辿っただけのことだった」
・「サウジアラビアでは三千人の王族が国の富を独占して、専制政治を行っている」
・「中国では太子党共青団の三百ファミリーが特権を独占し、中国の富の大部分を握って、独裁政治を行っている。中国は『サウド家のアラビア(サウジアラビア)』のように、『三百ファミリーの中国』と、国名を変えた方が良い」
・子供を学校に送り出す時「日本では『みんなと仲良くしなさい』言う。韓国では『負けるな』「一番になりなさい」と言う。中国では『騙されないように』と言う」
・「中国人とアメリカ人は肌があうのも、お互い拝金主義であるからだ!」











〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
書評「アメリカ、中国、中東は、どうなってゆくのか」   
宮崎正広  2015.12.27
■世界情勢のゆくえを大局的に俯瞰しながらも 日本人の知らない、気がつかない逸話と諧謔を挿入した傑作集
加瀬英明加瀬英明著作選集第一巻 アメリカ、中国、中東は、どうなってゆくのか』(勉誠出版)>

眼がテンになり、それでいて清流のような諧謔がちりばめられて、読後感も爽やかである。 その上、本書には有益な情報が満載、大いに啓発された。
加瀬氏の特徴はといえば、難解な課題を書いても、つねにユーモラスな文章空間のなかに、毒舌を包み込んで上品な諧謔とする。その技量は日本一で、名文家としても知られる加瀬さんの面目躍如の一冊。
選集の初巻にふさわしく、世界情勢を俯瞰するように、やさしい語り口で、論敵さえ納得がゆくように複雑な情勢が説明される。
半世紀以上、日本の外交を評論してきた著者は、作家でもあり、若き日に書かれた小説も面白く読んだ。 加瀬さんは評者(宮崎正広)の兄貴分だが、すでに知り合って四十年余、いつも適切な解説を、独特な切り口と、瞠目するべき諧謔がみちた会話を愉しませて貰った。
 この著作集は米国、中東そして中国を論じているが、並の解説を越えて、つねに日本の将来を見据えた憂国の論理に立脚している。
 そして随所にさりげなく、初めて聞くような逸話が挿入されている。

 たとえば、アラファト議長と会見した折、夫人から『禿げているかどうか、確かめてきた』と言われ、加瀬さんはインタビューの最後に「記念に、いま被っているスカーフをいただきたい」と言った。
 すると、アラファトは別室で違うスカーフと変え、もどってきた。
加瀬さんの感想。「(アラファトの出自は)商人だから、駆け引きと、人を喜ばせることに長けている」

 トルコのエルドアン大統領が酒を飲まないこと、爾来、トルコ航空では機内でアルコールのサービスがなくなった(評者の経験では国際線にはあるが、缶ビールをあけて小さなコップに入れてから呉れる)。

バスコ・ダ・ガマが、新しい航路を発見して、西洋にとって大航海時代を拓いたといっても、大昔からアラブの船乗りが知っていた航路を、辿っただけのことだった」

サウジアラビアでは三千人の王族が国の富を独占して、専制政治を行っている。中国では太子党共青団の三百ファミリーが特権を独占し、中国の富の大部分を握って、独裁政治を行っている。中国は『サウド家のアラビア(サウジアラビア)』のように、『三百ファミリーの中国』と、国名を変えた方が良い」などの表現は意表を突かれる。

「中国では食が何よりも重大事であるから、人間関係、経済活動、対外政策まで、あらゆるものが、中華料理の脂っこい臭いを、発している。食は胃の問題だから、こころよりも胃が上のほうに置かれている」 
 つまり「宰相」とは皇帝につかえる台所の支配人という意味であるという指摘もある。

 さらに面白かったのは次の視点からの日本人、中国人、韓国人比較だ。
「日本では『みんなと仲良くしなさい』と言って、子供を学校に送り出す。韓国では『負けるな』「一番になりなさい」と言って送り出す。(中略)中国では『騙されないように』と言うそうである」

脱線だが、幼稚園、保育園はともかくとして中国では小学生の送り迎え、とくに迎えにおじいちゃんおばあちゃんが校門で待っている。最初、目撃したとき「嗚呼、これほど小皇帝甘やかせているのか」と評者は考えていたが、あれは誘拐防止策なのである。
 こうした諧謔ばかりに目をやっていると、本書の肯綮を見逃してしまう懼れがあるが、オバマが信じられないほどの無能であり、比べてプーチン大統領の辣腕とその外交的センスを正確に冷静に評価しているあたり、はたと納得しながら読んだ。
中国人とアメリカ人は肌があうのも、お互い拝金主義であるからだという指摘にも、ナルホドその通りと合点がいった。本書をおおいに愉しんで読了となった。