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クロスシート

(一般)
くろすしーと

定義

鉄道で、列車の進行方向または進行方向の逆側を向いている座席のこと。クロス(cross)は「横の」の意。ロングシートの対義語。

用途

ロングシートよりも個人の空間が確保されやすく、落ち着けるというメリットがある。そのため、特急など長距離列車用の車両やグリーン車では必ず使用される。一方で通路や立席を確保しづらいため、混雑の激しい通勤列車には適さない。

形態・機能

単純なのは固定式のものだが、座席の向きを変えられる可動式のものもある。座席の向きを変える方式には、転換式(転換クロスシート)と回転式(回転クロスシート)がある。

転換式
座ぶとんの位置は固定して、座席の背もたれを前後に移動することで前後向きの両用とするもの。背もたれは両面を使う。
回転式
座席全体を鉛直方向の軸回りに回させるもの。背もたれは片面のみ使う。従って、背もたれの裏面にはテーブルやポケットを装備できる。回転させるための半径を確保しなければならないので、座席の横幅に比べて座席の前後間隔が狭い場合は設置できない。

座席の向きを変える以外の装備としては、リクライニングが可能なものがあり、リクライニングシートと呼ぶ。

配置

1. オールクロスシートとセミクロスシート

各車両をみると、全ての座席をクロスシートとしたもの(オールクロスシート)のほか、セミクロスシートといって、クロスシートとロングシートを組み合わせた配置とする例もしばしば見られる。
セミクロスシートの場合、いわゆる「近郊型」車両にみられるような、人の移動が多い出入り口の脇にはロングシート、出入り口間にはクロスシートを配置するという構成が最も一般的である。

2. ボックスシートとロマンスシート

鉄道車両のクロスシートは、中央の通路を挟んで右側に2人分、左側にも2人分という配置になることが多いが、このとき、2人掛けの座席を前後向かい合わせに配置して(実装上は、背中合わせの4人分を一つの座席として製作されることも多い)、4人が向き合うような形にしたものを、ボックスシートと呼ぶ。
逆に座席を同じ方向に並べることで2人ずつの空間を確保するものを、ロマンスシートと呼ぶことがある。

3. 固定式座席の配置方法

飛行機やバスのように一方向にしか運行しない乗り物の場合は、全ての座席を前向きに配置することができるが、前後どちら向きにも運行する鉄道車両の場合は、可動式の座席を使用しない限り、これは困難である。そのため、固定式座席を使用せざるを得ない場合、その配置方法が問題になる。
このとき、通常用いられる手法としては、以下のものがある。

(1) 全ての座席を一方向に揃えて配置する。

終端駅で車両ごと転回させない限り、逆方向の列車ではすべての乗客が後ろを向いているという状況になるので、採用例は少ない。

(2) 前向き・後ろ向きの座席を交互に配置する。

結果として多数のボックスシートが出現することになる。日本で最も一般的な方式であるが、4人が膝を付き合わせる形になるボックスシートはグループ客以外には使い勝手の良いものではなく、近年新製される車両ではあまり目にしなくなった。(固定式クロスシートの採用例自体が少ない)

(3) 中央部にボックスシートを作り、他の座席は中央を向けて配置する。

俗に「集団見合式」という。日本では採用例は少なく、京急2000形やJR719系(後者は3扉車なので、扉間の中央をそれぞれボックスとしている)などにみられる程度だが、海外、特にヨーロッパではこの方式が主流と言ってよいほど普及している。TGVなどの1等車ですら、集団見合式である。

(4) 車体中央の座席を背中合わせに配置し、他の座席は車端向きとする。

俗に「集団離反式」という。日本では新幹線の3人がけ座席が一時期この方式を採用していたほか、いくつかの採用例がある。新幹線の場合、開業当初は普通車の全席が転換式だったが、後に背面にテーブルを装備したリクライニングシートを採用するにあたり、座席間隔の制約から回転式とすることができず、3人がけ席に限って集団離反式の固定座席となったもの。これは後に座席間隔の改善や回転機構の刷新(両端の肘掛を残して中央部だけ回転させる)などにより、回転式に取って代わられた。

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