響きと怒り (講談社文芸文庫) 作者:ウィリアム・フォークナー 講談社 Amazon 『響きと怒り』は複数の長短編が同一の舞台や作中人物を共有する一群の小説群ヨクナパトーファ・サーガを構成する一篇。旧家没落の話だというので、年代記風のストーリーを想像していたが、全くちがった。コンプソン家の兄妹たちのたった四日間の話だ。フォークナーは「意識の流れ」の手法を駆使し、その四日間に作中人物の過去と現在、出来事と意識を複雑に交錯させるので、ストーリーがたどりにくい。「それにしても、この小説は晦渋であり、難解である」(本書「解説」)と訳者(高橋正雄)が言うほどだ。 『響きと怒り』は以下のような四つの章から…