承前 しおかぜ町から~追憶編1 - しおかぜ町から しおかぜ町から~追憶編2 - しおかぜ町から 夏休み、私たちはライブハウスに出演するようになった。島田がオファーを取り付けてきた。 彼は関係者からも評価されていて、顔が利いたのだ。バンド名は、「京都烏丸ブルースバンド」。 ライブハウスのオーナーが名付け親だ。 あご髭が三十センチくらいある。地元の有名人。 「かっこええやん」島田も大物の意見は聞く。「『京都烏丸ブルーズバンド』だ」 彼は、なぜか「ブルーズ」という発音にこだわっていた。自分の主張を付け加えることは忘れない。 オーナーが苦笑していた。 「キャンディ、咥えとけよ」私には相変わらず偉そう…