小説家。 1920年、旧満州新義州生まれ。2002年没。 1970年に、終戦後の収容所体験を基にした『プレオー8の夜明け』で第63回芥川賞を受賞。 代表作に『セミの追憶』(新潮社)、『断作戦』『龍陵会戦』『フーコン戦記』(文春文庫)、『妻の部屋』『二十三の戦争短編小説』『兵隊蟻が歩いた』(文芸春秋)他多数。 戦後25年を経て50歳に至っての実質作家デビュー、徹底した一兵卒の視点、と、異色ながら貴重な戦争文学者である。
妻の部屋 遺作十二篇 (文春文庫) 作者:古山 高麗雄 文藝春秋 Amazon 『妻の部屋 遺作十二篇』古山高麗雄著を読む 四十歳を過ぎたあたりからだろうか。結婚式よりも、葬式に出る方が多くなったのは。今は年賀状だけのやり取りだけになってしまった学生時代の友人や昔の会社の上司や同僚から喪中欠礼が届くなんて、つい先だってまで考えたこともなかった。 大学生の時分、心理学の教授から戦前の青春を聞かされてなんだか羨ましいと思ったことがある。カフェの可愛い女給に入りびたったり、クラシック音楽やアメリカ映画にうつつを抜かしたり、玉の井の女性とねんごろになったり。大学も駅弁大学(by大宅壮一)と呼ばれる今よ…
本日は午前のうちに京都へ移動することになりです。着替えとお土産と車中て読む文庫本だけを持参です。京阪で出町柳まで行って、叡電に乗りかえて岩倉までです。乗り換えがスムーズにいきまして、思ったよりも早くに目的地につきました。 今回のお楽しみは、近くに新しく開業した小さな古本屋さんを訪ねることでありました。岩倉に着いてから、一休みしているうちに、雨となりましたが、傘をさして訪問しましました。先日は、京都で古い歴史の古本屋さんが、閉店したと話題になっていましたが、新しく開業される方もいらして、うまくいってほしいものとおもいました。 若い店主さんは、生田さんといわれて、あの愛書狂生田さんのお孫さんとのこ…
河合隼雄(1928―2007)が、国際会議に出席するために北京に行った時、日本人女性の留学生から一通の手紙を受け取った。手紙は、彼女の苦悩を伝えていた。 「私は中国人の学生と親しくなるにつれて、率直な意見を聴くようになりました。 『あなたと親しい間柄だから言うけれど、なぜ日本人はあのような残虐行為ができたの?』 そう言って、日本が中国を侵略した時の具体的な残虐行為を詳細に聞かされ、私は、いたたまれない気持ちになります。先生、どう応えたらいいですか。教えてください。」 河合隼雄はこの手紙を読んで、自分もこの問いを引き受けていかねばならないと思う。 大江健三郎は、この手紙にこう応えた。 「このよう…
私小説家=正直な人? 日本文藝家協会編『新茶とアカシア』(光村図書出版、2001年)を、拾い読みしました。 本書はおかしなタイトルですが、2001年に発表されたエッセイの中から優れたものを日本文藝家協会が選りすぐったもの。著者は、阿川弘之、金重明、岩橋邦枝、高橋昌男、嵐山光三郎、古山高麗雄、坂上弘、庄野潤三、吉川潮、別役実、司修、高田宏、山崎正和、山本道子、小林恭二、松本健一、清水邦夫、佐伯一麦、大岡信、有吉玉青、又吉栄喜、原田康子、養老孟司、野田秀樹、三浦哲郎、水木しげる、川西政明、大庭みな子、石毛直道、中野孝次、リービ英雄、増田みず子、原研哉、阿部牧郎、古井由吉、なだいなだ、川村湊、林京子…
ぼくらの戦争なんだぜ (朝日新書)作者:高橋源一郎朝日新聞出版Amazon 戦争(主に第二次世界大戦)について書かれた詩や小説、教科書などを読みながら、戦争について考える本。 第一章「戦争の教科書」。日本の現代の教科書と第二次大戦中の教科書、近年のドイツやフランスや韓国の歴史教科書を読み、国家について考える。 第二章「『大きなことば』と『小さなことば』」。広島で原爆投下を免れた著者の母が晩年に書いた自伝。映画『この世界の片隅に』。古市憲寿『誰も戦争を教えられない』。昭和19年に出版され高村光太郎が序文を書いた戦争賛美の『詩集 大東亜』。中国大陸に出征した兵士6人による詩を集めと昭和17年刊行『…
❝USA第51州の実態(024)戦時体制の諸事回顧及び補遺❞ ❝【日本という怪しいシステムに関する一見解】❞(初稿1999.10.29)❝平成15年5月16日改定 岡山県井原医師会鳥越恵治郎(H26年4月17日一部改定)http://www.ibaraisikai.or.jp/information/iitaihoudai/houdai37.html 第37話「日本という怪しいシステムに関する一見解」 この記事は一冊の本になるような長文の論文です。学校教育では日本の近現代史は尻切れトンボ傾向のようですが、今日に繋がる20世紀の日本の赤裸々な史実を通して日本の権力構造を解明しています。❞ 今回は…
❝USA第51州の実態(023)昭和20年(1945年)【以下、順不同に悪魔の所業を書き出しておく】の続き❞ ❝【日本という怪しいシステムに関する一見解】❞(初稿1999.10.29)❝平成15年5月16日改定 岡山県井原医師会鳥越恵治郎(H26年4月17日一部改定)http://www.ibaraisikai.or.jp/information/iitaihoudai/houdai37.html 第37話「日本という怪しいシステムに関する一見解」 この記事は一冊の本になるような長文の論文です。学校教育では日本の近現代史は尻切れトンボ傾向のようですが、今日に繋がる20世紀の日本の赤裸々な史実を…
❝USA第51州の実態(022)昭和20年(1945年)原爆・ソ連参戦・終戦❞ ❝【日本という怪しいシステムに関する一見解】❞(初稿1999.10.29)❝平成15年5月16日改定 岡山県井原医師会鳥越恵治郎(H26年4月17日一部改定)http://www.ibaraisikai.or.jp/information/iitaihoudai/houdai37.html 第37話「日本という怪しいシステムに関する一見解」 この記事は一冊の本になるような長文の論文です。学校教育では日本の近現代史は尻切れトンボ傾向のようですが、今日に繋がる20世紀の日本の赤裸々な史実を通して日本の権力構造を解明して…
❝【日本という怪しいシステムに関する一見解】❞(初稿1999.10.29) ❝平成15年5月16日改定 岡山県井原医師会鳥越恵治郎(H26年4月17日一部改定)http://www.ibaraisikai.or.jp/information/iitaihoudai/houdai37.html 第37話「日本という怪しいシステムに関する一見解」この記事は一冊の本になるような長文の論文です。学校教育では日本の近現代史は尻切れトンボ傾向のようですが、今日に繋がる20世紀の日本の赤裸々な史実を通して日本の権力構造を解明しています。❞ プロローグ ❝ ※筆者は日本人でありながら、どうしても昭和以後のこの…
❝【日本という怪しいシステムに関する一見解】❞ (初稿1999.10.29) ❝平成15年5月16日改定 岡山県井原医師会鳥越恵治郎(H26年4月17日一部改定)http://www.ibaraisikai.or.jp/information/iitaihoudai/houdai37.html 第37話「日本という怪しいシステムに関する一見解」 この記事は一冊の本になるような長文の論文です。学校教育では日本の近現代史は尻切れトンボ傾向のようですが、今日に繋がる20世紀の日本の赤裸々な史実を通して日本の権力構造を解明しています。❞ 今回はプロローグは省略します。今後プロローグは数回に1度記載しま…
❝【日本という怪しいシステムに関する一見解】❞(初稿1999.10.29)❝平成15年5月16日改定 岡山県井原医師会鳥越恵治郎(H26年4月17日一部改定)http://www.ibaraisikai.or.jp/information/iitaihoudai/houdai37.html 第37話「日本という怪しいシステムに関する一見解」 この記事は一冊の本になるような長文の論文です。学校教育では日本の近現代史は尻切れトンボ傾向のようですが、今日に繋がる20世紀の日本の赤裸々な史実を通して日本の権力構造を解明しています。❞ プロローグ ❝ ※筆者は日本人でありながら、どうしても昭和以後のこの…
⬛️ 江藤淳が、《父親》や《 母親 》、あるいは《 家族》について語る言葉には、奇妙な魅力と危険な魔力がひそんでいるようにみえる。中には、そういう言葉を、生理的に毛嫌いする人もいるだろうが、それは、あまりにも人間存在の本質をついているためではないのか。少なくとも、私は、江藤淳の、こういう《身内》に関する言葉を、自慢話や愚痴や泣き言の一種としてでなく、貴重な《 文学の言葉》として聞いた。江藤淳は言う。《 文学が「 正義」を語り得ると錯覚したとき、作家は盲目になった。それがいわゆる「 戦後文学」のおかした誤りである。(『 戦後と私』) 私は、ここで 、《 それがいわゆる「 戦後文学」のおかした誤り…
⬛️『江藤淳とその時代』7月号ー《立国は私なり、公にあらざるなり》(福澤諭吉)について 。⑴もう何回も書いたが、アメリカ留学から帰国後の江藤淳が、主に取り組んだのは、『アメリカと私』という留学体験記を別にすれば、日米関係論でも反米愛国主義的な政治言論でもなく、もっぱら 、《私とは何か》《父親とは何か》《 母親と何はか》《家族とは何か》・・・というような、きわめて個人的な、反社会的な、要するに、文学的、実存的な問題だった。意外に思われるかもしれないが、そんなことはない。江藤淳は、政治評論家でも社会問題をあつかう社会問題評論家でもなく、あくまでも、一人の《 文学者》であり、《 文芸評論家》だった。…
❝USA第51州の実態(001)日本の近代戦争 平成15年5月16日改定 岡山県井原医師会鳥越恵治郎(H26年4月17日一部改定)http://www.ibaraisikai.or.jp/information/iitaihoudai/houdai37.html ※この記事は一冊の本になるような長文の論文です。今日に繋がる20世紀の日本の赤裸々な史実を通して日本の権力構造を解明しています。 【日本という怪しいシステムに関する一見解】(初稿1999.10.29) USA第51州の実態(001)日本の近代戦争 目次※筆者は日本人でありながら、どうしても昭和以後のこの国が好きになれない。※日本の「戦…
■今日買った本。計8600円。 a)おひさまゆうびん舎通販にて。 1・大石トロンボ『新古書ファイター真吾』皓星社 ¥1540 2・夏目漱石、ラフカディオ・ハーン、平井呈一訳、正岡子規『百年文庫31 灯』ポプラ社 ¥7060/13 3・ナサニエル・ホーソーン、坂下昇訳、夢野久作、ドナチアン・アルフォンス・フランソワ・ド・サド、澁澤龍彥訳『百年文庫32 黒』ポプラ社 ¥7060/13 4・アルフレート・ポルガー、池内紀訳、三島由紀夫、アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ、高見浩訳『百年文庫42 夢』ポプラ社 ¥7060/13 5・樋口一葉、国木田独歩、森鷗外『百年文庫46 宵』ポプラ社 ¥7060/…
フーコン戦記作者:古山 高麗雄文藝春秋Amazon フーコンというビルマの地名を知る人が、今この日本にどれだけいるだろう。インパールと並ぶ、必敗の愚かな戦いだった。歳月を経て、最後の兵士が淡々と声低く語り尽くす、戦争の真実。『文学界』連載の単行本化。 三部作の最終作。戦後半世紀近くなっていて、主人公の傷痍軍人も70歳をこえており、孫に戦争の話をしたら自慢話と言われて語る気がなくなる。フーコンで夫を亡くした未亡人、同じ戦場から帰還した戦友との交遊も書かれている。これが書かれたころからさらに20年以上たっている今、このように従軍経験を語れる人はもうほとんどいなくなってしまっている。