某氏へのメールの返信を書いていたところ、中江兆民という名前が出てきた。たしかに、ルソー→カント→ヘーゲルというラインを強調するわたしの立場が、中江兆民の議論を評価しなければならないというのは自然だ。残念ながら兆民の原文が手もとに無いので、ひとまず『近代思想案内』をざっと捲ってみる。 近代日本思想案内 (岩波文庫 別冊 14) 作者:鹿野 政直 岩波書店 Amazon たとえば。 こうした議論の立て方に、根源的で普遍的な価値を求めようとする姿勢が窺われます。こんな姿勢が、兆民の議論を、文体を含めていわゆる通俗とは遠いものとしました。その意味で彼は、「理」=論理・原理を追求しつづけました。「哲学」…