カール・テオドア・ドライヤー監督による1928年『裁かるゝジャンヌ』について。 システムとしての体制、人間としてのジャンヌ ジャンヌを神の啓示を受けた19歳の少女とする。そのジャンヌが体制にひたすら蹂躙されるように命と信仰のどちらをとるかを試される。尋問が長引くにつれ葛藤も長引き、精神的に弱っていく。その過程で怒り、絶望、希望、諦め、死の受容と拒否を経験し、その結果として最後の決断がある。その精神的な葛藤の過程をひたすら映す映画。 ジャンヌに対してシステムとしての体制が置かれる。劇中に拷問の歯車が現れるが、体制側の全員があたかもそれと同様にシステムのパーツの一つのように、制度の上に沿って運動す…