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社会的排除

(社会)
しゃかいてきはいじょ

(social exclusion、ソーシャル・エクスクルージョン)⇔社会的包含ソーシャル・インクルージョン
社会で活躍できないように排除すること。

小沢修司氏 『福祉社会と社会保障改革―ベーシック・インカム構想の新地平』 p.142 より*1

なかでも放置できないのは、安定雇用のない長期失業者たち(そこには多くの青年が含まれる)が労働市場から排除されるだけではなく、社会生活から次第に遠ざけられることであった。 ・・・【中略】・・・長期に亘って労働の機会から遠ざけられることは、無為な日常、強度の不安のもと自らを「価値ある社会的存在」とは自覚しえなくなることを意味する。 こうして、社会生活からの排除は人間の尊厳をも失わせ、アノミー状態に陥った社会からは連帯の条件は喪失してしまうこととなる。
こうして、社会的排除とは、「元気な青年・成人たちをつかみ、失業または不安定雇用を出発点として、生活の不安定化、住宅状況や健康の弱化、社会的地位の劣化・低下、さらには家族関係や私的援助、社会的紐帯の切断、そして社会(人間の共同社会)そのものから脱落という全過程を把握する概念」なのである。




樋口明彦氏 「現代社会における社会的排除のメカニズム」*2 より

1994年に開始された社会的排除に対する本格的な国際比較調査であるヨーロッパ共同体世帯パネル調査によって、【「社会的排除」という概念への*3】収斂傾向は大きく進展する。 所得状況や基本ニーズだけでなく、住居・教育・労働市場・健康・社会関係・社会参加など多面的指標の採用によって、社会的排除は、所得、労働市場における地位、金銭以外の社会的指標という3要素の組合せとして理解されるようになったのである。 さらに、合同調査の実施とともに、社会的排除はEU共通の政治的課題として取り上げられるようになっていく。 1999年のアムステルダム条約136条では、「社会的排除に対する戦い」がヨーロッパ社会政策の目標の1つとして明示されるに至り、さらに2000年12月のニース欧州理事会では、EU加盟国に2ヵ年におよぶ「社会的排除に対する国別行動計画」の作成が義務づけられた。 国民国家からEUへとその舞台を移しながら、社会的排除アプローチはヨーロッパ共通の枠組みへと進化していったのである。

「社会的排除という概念が登場したのは、1970年代のフランスであった」とのこと。



*1:強調は引用者。

*2:『社会学評論』(217)掲載 PDF: http://slowlearner.oops.jp/paperarchives/higuchi_akihiko_social_exclusion_2004.pdf

*3:引用者注

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