前回の補遺として、少し書く。 引用元にさせてもらった武藤山治の『思ふまま』とは、彼が時事新報に連載していた同名のコラムをすぐって(・・・・)一書にまとめたモノだ。 なんといっても毎号欠かさずの執筆という驚異的な代物のため、その記事数は相当以上の多きに及び、選定だけでもかなりの労力を要しただろう。 これについては出版元たるダイヤモンド社創業の雄・石山賢吉その人も、 武藤氏の事業に対する熱度は、非常なものであった。時事新報の受持記事は、どんな事があっても必ず書く。風邪を引いても、旅行をしても、毎日担当の受持記事は必ず書く。『思ふまゝ』の一覧は決して休まない。其の上、一週間に一度宛社説まで書くのであ…