車で国道398号を通って女川町へ向かう途中に「沢田(さわだ)」という地区がある。 山と万石浦に挟まれた場所であるため広い集落ではない。通称では、万石浦側を「表沢田」山の反対側を「裏沢田」と呼ぶ。 私の母方の祖父母達が戦後この辺に移り住んで来たのは、親戚に沢田駅の駅長をやっていた人がいたからだと聞いている。この駅は昭和35年に無人駅になってしまったが、かつては小荷物を取り扱ったりしていて、かなり活気があったという。 江戸時代、この沢田地区に高野長英の母方のいとこが住んでいた。名を遠藤養林という。この人は沢田で代々医業を営んでいた家の4代目で、母親は高野長英の母の妹である。養林の母の名は古農と言っ…