芸術の秋、オタクの秋

今日から 3日間に渡って、悪の秘密結社ゴルコムの集会に参加。ジュネーブ在住のチコリ総統閣下が一時帰国、仕事で 1年間シアトルに滞在していたナビゲータさんが帰国、アリア総司令閣下&どんたれさんが上京するということで、最先任下士官である私、奇妙愛軍曹も気合いを入れて臨まねばなるまい。

つーことで年休を取得して、まずはアリア総司令閣下を空港までお出迎え。閣下が宿泊するホテルで荷物を預けた後、乃木坂にある国立新美術館へ。ここでは現在、「フェルメール『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展」が開催されており、フェルメール好きな私と閣下としては、あまり混まない (であろう) 平日に見ようと考えたわけである。

ところで、どうでもいい話だが、展覧会の公式サイトのURLが「http://milkmaid.jp/」なのはいかがなものか。いやまあ、家政婦さんが牛乳を注いでる絵を展示するのだから、何一つ間違ってはいないのだが、「ミルクメイド」って言われちゃうと「それ、なんてメイドカフェって思っちゃうよな。つーか、むしろメイド風俗?みたいな感じで。私なんか、参加者に URLを知らせた数日後に改めて見て、「オレ、なんかとんでもないサイトの URLを貼っちゃった?」とか思っちゃったもん。← バカ

まあ、それはさておき。国立新美術館は、東京メトロ千代田線の乃木坂駅に直結していてアクセスは良好。全面ガラス張りで波打った壁面と、逆円錐型の構造物 (上はレストランやカフェになっている) が印象的だ。建築デザイナーの自己主張がやや激しいかなとも思うが、展示室が多数あって、空調や照明にも様々な配慮がなされているのはイイ感じだと思う。

 

 

 

 

んで、お目当ての絵画展だが、フェルメールは1枚だけで順路の最後に展示されているので、まずは他の画家たちの作品を鑑賞。新教 (プロテスタント) の国であるオランダの風俗画ということもあって、派手な絵はなく、家政婦や物売りと言った働く女性たちの日常を描いた絵が多い。興味深いのは、人物の顔や肌がわりととラフに描かれているのに対して、衣服の布や鍋釜といった道具類がやけにリアルに描かれていること。また、描かれている女性たちも、イタリア絵画みたいに理想化された美女ではなく、どこにでもいそうな普通の女の人ばかりである。

かと言って、描かれた内容が真面目一辺倒かと言うと、そうではない。例えば、やたらに酒場の絵が多いのだが、そのほぼすべてにセクハラ親父が登場しているのだ。酔っぱらってだらしなく笑いながら、酒場の給仕女や女将の腰に抱きついたり、胸元に手を入れたりとやりたい放題な親父たち。女性の方は「まったくしょうがないね、このスケベ親父は」みたいな表情を浮かべている。他にも、酔い潰れた男女を猫が「なんだかにゃー」って顔で見てる絵とか、「乳搾りの後で」ってタイトルで、男女の使用人が意味深な視線を交わし合ってる絵とか、そんなのがてんこ盛り。なんつーか妙に生々しくて、リアクションに困るぞ

一応は、風刺とか「こんな風になっちゃダメだよ」という教訓を描いてるらしいんだけど、それだけでは済まないような、マニアックな熱意を感じてしまう私であったよ。まあ、単に受け手である私が、マニアックなエロオヤジなだけかも知れませんけどね、ええ。

そうこうしてる内に、いよいよフェルメールの「牛乳を注ぐ女」とご対面。「画家とアトリエ」もそうだったけど、やっぱりケタが違う。材質の違いまで見て取れるような布地の表現、思わず手にとって食べたくなるほど美味そうなパン、顔と腕で質感の異なる肌、考え抜かれた構図、完璧な配色、そして圧倒的な立体感。一見、単なる写実のように見えるが、その実、巧みに「現実」を取捨選択し、絵として最も美しくなるように描いている。何でもない光景を、ここまで美しく描けるってのは、やっぱ凄いとしか言いようがないっす。見に行って良かった。

フェルメールを満喫した後は、美術館内にある「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」というフレンチレストランで昼食。前菜・メインディッシュ・デザートという、シンプルなコースだったのだが、これが実に美味かった。特に前菜で出た鴨のテリーヌが絶品。濃厚な旨味があるのにしつこくなく、口の中が桃源郷と化す美味さ。しかもこれが赤ワインにムチャクチャ合うんだわ。昼食でなければ絶対おかわりしてたぞ。

鶏肉や海老のメインディッシュも、絶妙な味わいのソースと、それに負けない素材を使っていてナイス。思わずパンをおかわりして、ソースを一滴残らずなすって食べちゃいましたよ私は。2,500円という価格を見て最初は高いと思ったけど、食べたら考えが変わったっすよ。正しい意味でリーズナブルな価格設定だと思うぞ。もしこの美術館に行く機会があったら、多少待ってでもここで食事をすべき。お勧めっす。

目と舌の両方を満足させて、しばらく時間を潰した後に、今度は東京駅へ。八重洲北口側の構内にある「オールドステーション」というビアレストランで、司祭さん、どんたれさん、ナビさん、監察官さんと合流し、あれこれ飲み食いしながらオタ談義。新劇場版ヱヴァ「序」の素晴らしさを語りつつ、庵野さんだから油断しちゃいけないと、お互い戒めあったりとか、まあそんなノリ。

 

 

どんたれさんに頂いたポルトガルワインのミニボトル
 

ナビさんは元々、ゴルコム随一のマンガ&アニメ好きだったので、1年間のアメリカ生活はなかなか大変だった模様。しかし、アメリカで行われているアニメ関連のコンベンションに積極的に参加したり、日本のオタクカルチャー専門誌である「OTAKU USA」 (編集長は、映画秘宝でもお馴染みのパトリック・マシアス) を手に入れたりしてる辺りはさすが。日米のコンベンション運営者&参加者のスタンスの違いとか、米国コスプレ事情など、いろいろ興味深い話を聞かせてもらった。

一方、ゴルコム随一のヒーロー&スーパーロボット好きである監察官さんも、奥さんがオタ属性皆無という逆境 (オイ) にもめげず、現役オタとして頑張ってるご様子。彼が愛してやまない息子さん (もうすぐ4歳) も、順調にヒーロー物にハマっているようで何より。しかし、戦隊の女性メンバーが攻撃されるシーンが好きってのは、3歳児にしていきなりマニアックな道に踏み込んでますな。ぜひそのままスクスクと成長していただきたいものである。スクスクと言うよりズブズブって気もしますが。

とまあ、そんな感じで、11時近くまでゴリゴリと語り倒して初日はお開き。明日は総統閣下も加わって、さらに盛り上がることと思われる。楽しみであるな。