明日はきっと。

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ハヤテのごとく!116話感想まとめ

ということで、ここ数日予告していた、今週のハヤテのごとく!の通称「西沢エンド?」にまつわる感想まとめです。肯定的・好意的にとらえている感想と否定的あるいは残念だ、としている感想とに分かれていたので…。一応、僕が巡回している範囲での感想をまとめたものになります。「すべて」ではないと思います…。長いです。長いうえに引用も多いです。
一応構成は

  • 残念…という感想
  • 肯定的な感想

のあとで

  • 98話と116話との対比
  • まとめ

となっています。
今回のエントリは考察の考察です。はてなリング サービス終了のお知らせ登録サイトをはじめ多くの感想ブログを読ませていただいたから書くことができました。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。なお、116話の感想とトラックバックがかぶるなあ…と思ったので、トラックバックは控えました。が、後で方針転換するかもしれません。
では、続きからどうぞ。
見出し→引用→考察の順です。

残念…という感想

さて読後感ですが、どうにも消化不良という想いが拭いきれません。
(中略)
つまり、西沢さんは不遇な片想いキャラとして描写されてきました。それがいきなり「もう、十分もらったから」では読者として納得がいきません。西沢さんがその結論に至った過程が一切スッ飛ばされているのですから。回想シーンでは「ただ想いを伝えたいだけだから」と言っており、それが果たされたから満足だという流れなのですが……それが恋愛というのなら少し軽すぎます。

Moon of Samurai ハヤテのごとく! 第116話

桂ヒナギクが主人公だった場合の結末が九十八話だったのに対して、西沢さんとハヤテの二人が主人公だった場合の結末が今回の話です。

そう、結末です。過程の無い、結末だけ。

http://kurubata.blog58.fc2.com/blog-entry-270.html

ハム沢さんはこの作品の中で最もハヤテを想う時間が長い人なのでそれだけハヤテに対する想いも大きいと思うんです。
それなのに自己完結をして現状に満足してしまっているというのはあまり読者として納得できる事じゃないんですよね。

http://kokubo6third.blog53.fc2.com/blog-entry-520.html

ここで引用させていただいた3つの感想については、今回の西沢さんの結論「もう、十分…もらったから。」という部分について、それまでの過程が描かれていない、あるいは描かれているものが作中で描かれたたかだか2、3ヶ月の部分のみであるということで納得できないというのが共通しているように思います。特にMoon of Samurai様の感想の「片思い故にネタにされ続けたキャラクタなのに報われた部分がほとんどない」→「十分もらったからでは納得できない」というのは大変納得のいくものです。確かに、欠落している。また、私の生き様様の引用していない部分の後半、98話との対比の部分は、言われてみれば確かに…という点です。98話との対比については後半で取り上げたいと思います。

肯定的な感想

西沢さんが本当に欲しかったものとは何だったのでしょう?
はっきりとは描かれていませんが、きっと、ハヤテと心から笑いあえるような、ハヤテと一緒にいられる時間だったのではないでしょうか。

少なくとも今の西沢さんは心から笑っているように思えます。
ハヤテのこともまだあきらめた訳ではないでしょうし。

「ハヤテのごとく!」2度目の見開き - ぷらずまだっしゅ!

二人で自転車に乗って笑って話せたのは何よりも充実した時間のはず。
「いらないよ。もういらないの。だって…もう、十分…もらったから。」
桜舞い散る中、ハヤテの後ろで両手を広げる彼女の笑顔が印象的です。

http://haru.sakurasaku.chu.jp/?eid=618487

この結論、はっきりと書かれていたわけではないんですが、多分、
ハヤテと一緒にいること
のように感じました。

お返しはハヤテと過ごせた日々で十分だと言うことですね。

現実、時々理想。 | ハヤテのごとく! 116話 「夢の中より夢のよう」

好意的な感想には、主に「西沢さんがほしかったもの」=「ハヤテと一緒にいること」という図式があるようです。前述の「過程の欠落」に関する言及はあまりなく、「ハヤテと今こうして二人で笑える“今”をもらった」こと、そしてこれがハヤテのごとく!における西沢歩の物語の本当のスタートである、という見方が多いようです。(参考として、僭越ながら僕の感想エントリ第116話「夢の中より夢のよう」…でした。 - 明日はきっと。をあげておきます)

98話と116話との対比

116話は、極端に見開きの少ないハヤテのごとく!において見開きが使われた稀少な存在です。この話以外には、いわゆる「ヒナギクエンド」、98話(10巻2話)しか見開きは存在しません。また、98話と116話には、サブヒロインの最終回的色彩を帯びている、という共通点もあります。そして、98話は多くの読者に(ヒナギク好きでない人にさえ)感動をもたらしまた。また、そのこともあって、また、この最初の見開きが収録された10巻発売直後に掲載されたため、比較されやすい状態でした。では、実際比較するとどうなのでしょう。
98話は、桂ヒナギクという少女の物語の終焉であり、ハヤテのごとく!全体の物語における桂ヒナギクの始まりでした。この話でヒナギクは、ハヤテの言葉で親に借金を押しつけられて路頭に迷った過去と「決別」し、結果ハヤテへの恋を自覚しました。それは、「側にあったのに…怖くて見れなかったなんて…」というヒナギクのセリフに象徴される、「気づくこと」。そしてヒナギクは本当の意味でのハヤテのごとく!の登場人物になりました。
ひるがえって116話はどうだったのか。全編*1ハヤテとヒナギクの二人で紡がれた98話に対して、ハヤテと西沢さんの二人の話は半分の8ページほど。しかも2人きりの時間は最初から予定されていたものではなく、ライバルのナギとヒナギクのアシストによって偶然訪れた時間でした。また、2人きりの時にしても、ヒナギクのように過去に大きな出来事があったわけではなく、ハヤテに「ハヤテにしか言えない」言葉を言われたわけでもありません。98話では決定的な一言を放ったハヤテですが、116話のハヤテは108話のことを切り出して欲しいものを問いかける以外に何の行動もしていないのです。状況はだいぶ違います。しかし、ハヤテの問いかけによって、それまで気づかなかったことに初めて「気づいた」という意味で98話との共通性が出てきます。

西沢歩の「気づいた」こと

ハヤテのごとく!の物語が始まったときは、西沢さんにとって好きな人が自分の手の届くところから離れていったときでした。だからこそ初登場のとき、西沢さんはお別れしたくないから告白をしました。付き合うことができれば、「付き合っている」という形に安心することができる。最も、そのときはフラれてしまったけれど、ひょんなことからまた出会えて、そして同じ学校に通っていたときよりもちょっとずつ仲を深めていけた。そして116話で、その「前よりちょっと仲良くなった」ことに「気づいた」のです。その気づきこそが西沢さんの欲しかった幸せで、その気づくきっかけとちょっと近づくまでの2、3ヶ月の思い出をハヤテがくれたから「もう十分もらった」というセリフにつながったのではないでしょうか。

98話との大きな違い

九十八話との違いは、ヒナギクがあの一話で変化した(大切なものに気づいた)のと違って、同じ変化を西沢さんは作中二ヶ月の時間をかけてゆっくりとしていたこと。

http://kurubata.blog58.fc2.com/blog-entry-272.html

この解釈はまったくその通りだと思います。116話の感想が割れた理由はまさにここなんじゃないかな、と思っています。98話と116話が、どちらもヒロインが「気づく」話でかつ見開きを印象的に使っているため、先行の98話と同じようにこの1話(あるいはこの伊豆旅行シリーズ)でのみ判断できそうな気がするんですよ。でも、そう読もうとすると違和感が残る。
本当に、このくるくるばたばた様のコメント以上のものは書けないですよ。やってみたけどダメでしたw

まとめ:116話はすごい

今回の話はゾクッとしました。
98話よりも自分は今回の話の方が好きです。
理由は自分でも分かりませんが・・・

ハヤテのごとく!第116話「夢の中より夢のよう」感想 | 萌えを得たオタのごとく!3

日記部分にも書いたように朝読んでしまいました。意表をつかれた。でも感動はしなかった。お茶飲みながら読み返した。あれ?じわっとくるぞ???俺、泣きそうじゃん。ってか、ちょっと泣いてる?なんでだろ????…………………

スーパーハイブリッドコミック『ハヤテのごとく!』116話感想 - tanabeebanatの日記

今週は傑作

第116話 Real Love - 架空の杜

こうして考察記事の考察(wを書いて、読み直していると98話もすごいが116話もすごいぞ、という風に思えてきます。架空の杜様から引用させていただいたのは小見出しですが、この小見出しはほんとぴったりだと思います。
また、tanabeebanatの日記様の、「ハヤテのごとく!は時間を描くマンガ」という言葉がこれほどまでにしっくりくる話はなかったです。西沢さんが今まで積み重ねた時間が、116話でハヤテのごとく!という物語に積み重なる瞬間がまさに今週だったと思います。本当にすごい話です。しかも「ヒナギクの選択」という伏線もしっかり張っている。これが16ページのマンガなんですか?

おしまいに

皆さん誤解しているようですが今回の話でハム沢さんの話が終わる訳ではありません。これは読めば分かると思います。ホワイトデーのお返しはいらないと、言っているだけです。ただ、1つの区切りがついたことは確かでしょう。

http://d.hatena.ne.jp/amnk1t/20070222/1172074423

あ…確かに……。

*1:最初の追想シーンとラストページは除きます。