アニメ「侍ジャイアンツ」

原作は『巨人の星』で著名な梶原一騎。監督は同じく『巨人の星』『ベルサイユのばら』『超電磁ロボ コン・バトラーV』をはじめとする「長浜ロマンロボシリーズ」で有名な長浜忠夫
作画監督はアニメーションの父と言っても過言ではない、大塚康生である。


世間的な観点からもっとも語るべきは大塚康生の仕事であるということ。1話の原画に宮崎駿が参加しているということであるが、若くしてなくなった長浜忠夫の知られざる代表作として、非常に優れた作品であろう。
梶原原作のアニメとしても『巨人の星』『あしたのジョー』『タイガーマスク』等と比較すれば知名度こそ低いもののその完成度は高く、他作品と比べても勝るに劣らないといえる。


作劇としては特に序盤はまるで大河モノのように一続きでダレさせることなく楽しませてくれる。
決して奇をてらった展開ではないのだが、まさしく長浜流ともいうべきそのストーリーテリングの上手さだけで30分毎回見せてしまう、その手腕には今見ても驚かされる。
後半、ドラマが魔球開発のストーリーにシフトチェンジし、前述の要素とは異なる展開を見せるのだが、とはいえ前述した言葉運びの上手さなどは変わらず、大衆としての視聴者を離さない作品作りを心がけていたように思う。
野球もので少年誌原作ではあるのだが、堅苦しい要素もなく老若男女楽しめ、誰しもが見始めると止まらない傑作であると筆者は思っている。