温暖化抑止体制前進か

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070802i301.htm
これが実現すれば、参加国については今までで最も地球温暖化に対して抑止する可能性を持ちうる会議となる。世界で一位二位の排出国はアメリカと中国であり、しかしながら両国とも京都議定書への批准を拒んでいた。
それを今更になってアメリカが主導で会議を立ち上げるのは何か腹づもりがあるのではないかと訝しいが、単にアメリカは中国を巻き込まなくては会議に出たくないということだけだったのかもしれない。
一方で、中国も先進諸国の列に加わろうとするなら、そろそろ環境への配慮を示さなくてはならないという思惑があるのだろう。中国の大気汚染の影響は確実に国境を越えて日本に波及しており、これに対しても対策が打てるというのは日本にとっては画期的ではなかろうか。
ただ、思うのは今までで最も実効性のありそうな会議を立ち上げたのはもはや日本ではないということだ。京都議定書で世界の環境対策の先陣を切ってきた日本が、そのパイオニアから引き下ろされるタームなのかもしれない。日本がそこから退くことは、残念でもあり、一方で背負いきれない重責でもあったので、それから解放されるのもいいのではないかという気もする。もしアメリカがリーダーシップを取るのなら、日本は先任としての経験と手腕を巧くアピールすることもできる。
ちなみに、地球温暖化抑止に関して言うと、たしか6月号の「ニュートン」にCO2削減目標の大半は炭素固定化技術によって達成されるであろうと書かれていた。この点は環境活動家の人々も重々承知しておいて良いのではないかと思う。

サルコジ路線はド=ゴール主義の再来か

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070802i415.htm
世界の主要国でありながら、外交では独自路線を突っ走るフランスの姿が快く見える。
シラク時代が独仏協調によるヨーロッパ主義の拡大であったと見るならば、フランスが再び外交でのアイデンティティを獲得する先駆けとしてみるべきなのだろうか。
それにしても、「地中海連合構想」か。
古代ローマ崩壊以後、ローマと同じく地中海世界を「われらが海」としようとした大国は無数に存在した。勃興期のイスラームと戦ったフランク王国から、イタリア政策を唱えた神聖ローマ、十字軍を興したバチカンと諸王たちの思惑を超えて現在に至るまで、その構想は様々に形を変えて現在に受け継がれている。植民地時代に最も多くの植民地をアフリカに獲得していたフランスが、再び地中海を「われらが海」としようとするこの壮大な構想には、フランス独りの思惑を超えて、歴史的な壮大さを感じさせる。
果たしてド=ゴール主義の復活かと見えるサルコジの外交構想は、いかなる地中海をイメージするのだろうか。欧州憲法を否決したのがフランスであったことは何か関連があるかもしれない。これからはヨーロッパも面白くなりそうだ。