シコふんじゃった。がために、失われた10年?

出版業界の危機と社会構造

出版業界の危機と社会構造

 出版流通に関しては、この人の歯に衣を着せぬクールな分析に一目も二目も置いているのですが、とうとう、ネット配信を始めましたねぇ、論創社出版状況クロニクル 1小田光雄さんです。毎月更新するとのことです。紅屋さんから知ったのです。
 しかし、小田さんの新刊は必ず読んでいたのに、『出版業界の危機と社会構造』は、読んでいなかったのです(汗)。多分、僕のどこかに、出版流通業界に対して、僕自身最早、当事者ではない。にもかかわらず、「新聞・本の再販維持制度」を考えるのミクシィのコミュを立たわけですが、管理人の僕のチカラのなさもあるのですが、結局、現場にいない傍観者ではないか、マットウに相手にする必要もないと思われたのかw、殆ど動きのない静けさです。そんな流れで、投げやりな気分になったのでしょう。
 しかし、小田さんの『出版業界の危機と社会構造』のネット続編とも言うべき「出版状況クリニクル」で、メモ4の「公取委、流通実態ヒアリング開始。再販制廃止の方向にあると伝えられる。」、小田さんのコメント「『出版業界の危機と社会構造』の影響か」と書いており、小田さんって、『さらば財務省!』の高橋洋一かと思ってしまい、ちょっぴり火がついた感じです。もっと当事者の方々がネットを通してもいいから声をあげて欲しいです。先日の紅屋さんのエントリーで出版流通に関心を持っている方々がこんなに沢山いらっしゃるのだと再認識しましたよ。
 参照:id:leleleさんが、小田光雄さんのコメントに追記でコメントしている。
 再版維持制度廃止というシコを踏む決断をしなくっちゃあいけない事態が迫って来ていることは間違いない。
 今日、久しぶりに京都の府立図書館に行ったら、一昨日読んだ『シコふんじゃった。』のDVDがあったので、ボックスに入って見たのですが、試合の決着が小説とちょっと違っていた。まあ、小説の映画も別々のものとして楽しめばいいわけで、この小説の出版が1991年で映画は1992年公開で、マイミクさんが言っていたけれど、バブル崩壊、失われた10年の始まりの分水嶺の年だったわけです。多分、秋平君はギリギリ、バブルの恩恵を受けた最後の年だったのでしょう。だけど、どうやら相撲部の存続のために留年するみたい。
 と言うことは主人公の山本秋平(本木雅弘)は、「シコふんじゃった。」ために、折角、コネで一流企業に就職したのに、「失われた10年代」に多分、就職を余儀なくされ、秋平君は、就職氷河期の選別を受け、とうとうフリーターの道を行かざるを得なくなる、そんな物語の始まりの予感もありますねぇ。まあ、今の時点から過去を見取って勝手なことを言うのですが、周坊正行監督に『ロスジェネ』の旗手として闘う『続・シコふんじゃった。』のような映画をとってもらいたいですねぇ。不自然ではない。