ザ・ラストバンカー(ジャケ買いならずジャケ読み)
- 作者: 西川善文
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/10/14
- メディア: 単行本
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住友銀行頭取,日本郵政社長をつとめられた西川善文氏の回顧録です。
1970年代の安宅産業問題については,オイルショックだけでなくこんなことも日本経済の危機としてあったのだなと興味深く読みました。
最後の第7章「裏切りの郵政民営化」では,当時の総務相鳩山邦夫氏に”裏切られた”ことが苦々しさあふれる言葉でつづられています。
いやはやなんとも。
pp.292-293
いずれの事業にしても,かんぽの宿の譲渡契約と同じように,日本郵政にとって有利な条件を提示してくれるビジネスライクな判断で提携先を選んでいる。現代において最も経験のあるアドバイス会社を従え,最も妥当とされる手法で,最も優れたノウハウを持つ会社に参加を促し,そして最も有利な提案をしてくれた会社を選ぶ。先生方がおっしゃる利益誘導とはいかなるものか。私たちはすべての対象会社に同じ条件を提示し,それに対する最も有利な提案を受け入れているに過ぎないのだ。
言葉を換えれば,自分たちの出身母体に利益誘導をしようなどというケチな発想などまったくなく,そういうことをすれば結果的に市場の評価を得られないのだと散々に思い知らされてきた面々が取り組んでいるのである。
(”議員先生”たちは)自らが「出身母体に利益誘導」するような行動パターンを持っているからではないのか?
人は自分自身を鏡にして他人の行動を判断するからね。