- 作者: 二宮清純
- 出版社/メーカー: 廣済堂出版
- 発売日: 2004/12/13
- メディア: 文庫
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
アマチュアで脚光を浴び、大志を抱いてプロ野球界に飛び込んでくる選手たち。しかし、その先にあるのは、平均在籍年数5年以下と言われる過酷な世界。スターにはスターの、雑草には雑草の挫折と苦悩ともがきがある。運命に翻弄されながらも、生き残りを懸け、道を切り拓こうとする者たちのつぶやきを、もの言わぬ姿を人気スポーツ・ジャーナリスト・二宮清純が描くノンフィクション。
特に面白いのが、「野球は天職ではない」と言った二人の天才〜今年2000本安打を達成した広島の前田智徳と54年ぶりの日本一になった中日・落合博満監督が冒頭に載っている点だ。2003年前の本なのに…、まるで今年の活躍を予言しているよう。\(◎o◎)/
かつて落合博満がこう語ったことがある。「今の日本のプロ野球選手の中で"天才"といえるバッターは、松井でもなければイチローでもない。広島の前田だよ」。
前田のバッティングの特徴は、どんなピッチャーと対戦しても、決して自らのフォームを崩さないことにある。まるで、「武蔵対小次郎」といった真剣勝負にこだわっているのだ。
−いままで自分が打った打球でもっとも満足することができたのはどんな打球だった?
「…ファウルならありますけど」 …ひえ〜!なんちゅう答えや〜!(>_<)
−野球というスポーツをどういうものだと考えているの?
「バッティングは好きですけど、野球そのものは嫌いです。そもそもぼく自身は守ることもあまり好きではないですから」
−そうすると団体競技そのものが性に合わないということ?
「ええ、好きじゃないです。あくまでも個人プレーのゴルフが好きです。正直言って道を間違えたと思っています。」
95年にアキレス腱の故障をしたとき、「俺の野球人生は終わった」「前田智徳という打者はもう死にました」「プレーしているのは僕じゃなく、僕の弟です」という名言が…。(@_@;)
オープン戦でバットを振らずに三球三振。「あんなのプロの球じゃない。打つ気にならない。」
また、前田はあるインタビューで、イチローについて「あんまり内野安打は打って欲しくないですね。僕の場合、打ち損じたり、相手ピッチャーに打たされて内野安打にでもなろうものなら、この世が終わったんじゃないかというくらいのショックですよ。そんな時はわざとゆっくり走りたい気分になりますよ」
一方、落合博満。野球は選択肢のひとつでしかなかったという。かつてヤクルトのエース・尾花高夫は、「普通の人が"点"でとらえるのに対して、落合さんは打球を"線"でとらえているんですね。落合さんのホームランが怖いから、ライト前ヒットで終わったらホッとしたものです」
元阪急の中沢伸二。「確か三冠王をとった年でピッチャーは山田久志。一死満塁でダブルプレーを取りたくて、インコース低めのシンカーが見事に決まり、『よし!』と思った直後、僕は『ウワッ!』と声を出してしまった。落合の振り出すタイミングとバットの軌道がシンカーの沈む位置にピタリと合って、打球はレフトスタンドへ。長年野球をやっていて、振り出す瞬間にやられたとおもったのは、後にも先にも落合ひとりだけだね」
落合は、2000本安打を達成しているが、それぞれ節目となる500本目、1000本目、1500本目、2000本目はすべてホームランである。さらに、1000 試合出場、2000試合出場の時にもホームランを打っている。落合は取材に来たテレビカメラに打撃練習の打球を狙って当てた事もあるほどのバットコントロールの持ち主であり、おそらくは節目を狙って意図的にホームランにしたのだと思われる。すごっ!\(◎o◎)/!
落合「この世界で、たいした努力もなしで一流になった人なんて一人もいないよ。オレだってどれだけバットを振ったことか。オレよりもバットを振った人なんて王さんだけだと思う。」
さすがプロ!私は彼らに比べたら平凡だなあ…。(@_@;)さすが選ばれし人!研ぎ澄まされている…。