「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「西郷隆盛と明治維新」(坂野潤治)

維新の三傑西郷隆盛。もし、西郷さんがいなかったら明治維新はなかったと言われる。歴史を振り返って思う疑問のが、なぜ西郷さんは亡くならなければならなかったのか?なぜ下野したのか?だ。


さて、この本は、「日本近代史の第一人者が、日本を近代国家に導いた人物を描き出す!征韓論西南戦争……、「軍部独裁と侵略戦争の元祖」はつくられた虚像だった!幕末期に「議会制」を構想し、封建制の打破に尽力し、江華島事件を卑劣と非難した、幕末維新の巨人の実像に迫る一冊」そのエッセンスを紹介しよう。


アーネスト・サトウの回顧と勝田孫弥の西郷伝の記述をあわせると、西郷は「攘夷」論にあまり関心を持たない「国民議会」論者であったことになる。明治維新後の1983年に「征韓論」を唱えて政府を去った西郷像とはあまりにも違う姿を、サトウと勝田は描いているのである。幕末から明治維新にかけてわれわれが漠然と抱いてきた西郷像は、まったくの虚像だったのである。西郷隆盛の実像を再現することが、本書の目的である。


・留守政府を預かる筆頭参議兼近衛都督の西郷を苦しめたのは、廃藩置県という大革命を達成してしまった「革命軍」の目的喪失であった。何故に最後まで、自らの渡韓しての対韓交渉に拘って、参議を辞任してしまったのだろうか。近衛兵すなわち革命軍という「破裂弾」の上に「昼寝」していた西郷にとって、樺太・台湾・朝鮮問題のどれも採り上げないという選択は、ありえなかった。


・すなわち、西郷は「征韓」を唱えたのではなく、朝鮮への「使節派遣」を求めたにすぎず、自分が全権使節として訪韓して「暴殺」されれば「征韓」の口実ができると西郷が主張したのが、本当の「征韓」論者だった土佐出身の参議板垣退助の説得であった。


・西郷には内乱にまで訴えて実現しなければならないような「目的」は、もはや残されていなかった。幕府を倒し、大名を倒し、近代的な中央集権国家を樹立するという西郷の夢はすべて果たされてしまったのである。西南戦争は、西郷にとっては、大義なき内戦だったのである。


王政復古、戊辰戦争廃藩置県という近代日本最大の変革の主導力であった西郷隆盛と薩摩軍団が、他ならぬ近代国家の最大の障害物となってきたのである。このような革命の力学は、中央政府大久保利通がいくら西郷との正面衝突を避けようとしても、また西郷がいくら私学校の軍人の鎮撫につとめても、抑えようのないものだった


その他、「統治体験の欠如」「西郷頼りの欧米使節団」「なぜ西南戦争は起きたのか」など。もし、西郷さんが長生きしていたとしたら、歴史は変わっていただろうね。オススメです。(・∀・)



西郷さん本はこれもオススメです。(・∀・)

「西郷の貌(かお)」(加治将一)