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luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

憲法記念日に、悲しい記事。人としての生活の危機、国の暴力装置を考察しない「改憲論」。

5/3 公開予定だったエントリー。5/4 の記事としました。

色々な処で書いていますし、twitter 等でも時々ツイートしていますので、分かると思いますが、私は現在の改憲論には明確に反対の立場です。改憲内容については概要*1、と総論*2を読んでみてください。
元々の立場としては、9条の改正*3、新しい人権への配慮等、微妙な憲法修正*4はあっても良い、とは考えていました。
しかし、状況は変わりました。自民党改憲*5が出てきたときに、肝を潰してしまったからです。さらに、現在の政治的状況下から、改憲も可能な政治状況*6になっているため、現実的な脅威になっている事も一因です。またさらに、最近の話題では、改正条文の改正(96条改正)も話題となり、危機感はいっそう増しました。
その後、産経新聞が同様の噴飯物改憲*7を出したりして、改憲論争については、私は気分最悪な感じだ。
おまけに、憲法論になると、何故か法律に関して激しく知識不足と思われる論客が、感情的な偏見を吐き散らすシーンも多く、この話題に関する「困っちゃった感」を醸し出していて、かなり不快な話題となった*8
なお、色々突っ込みどころ満載の自民党改憲草案について、細かくは論じない。自民党憲法草案の条文解説 - 全文対照表、改正の概要、法的分析 のようなサイトを読んでもらった方が情報が正確であるし、私が論じるよりわかり易くなるだろうから。私は元々憲法論はあまり細かく分析していない*9ので。
...今回書くのは、多分、改憲論者もあまり触れない懸念について、です。


元々、憲法が各法律の上位にあって、国家への制約事項の法律として存在している*10のは、国家が強大な権力を有し、時に暴走した事に対しての教訓でした。
第二次世界大戦時の日本、またはドイツ、今ですと中国、シリア、北朝鮮*11などが、国家的権威を基に自国民や、他国民に関しての大きな脅威となりました。憲法論でよく言われている事で、立憲主義憲法創生の話でもよく出てきますが、フランス革命等もそうですね。
大きなものは上記ですが、現在の日本に於いても国家が大きな権力で人を制し、実際の被害も出ているのは明らかで、刑事事件の冤罪などを思い浮かべてもらえば、容易に分かると思います。多数の意志の総和が、時に少数の意志をないがしろにする事が出来る国家は、現在に於いても危険な「暴力装置」なのです*12
不思議なのは、今の話題の改憲案に、この考察がない事*13ですね。この草案を起草した人達は、まさか、その法律が自分たちに及ばない、とでも考えているのでしょうか?
実際には違います。国内法に、国内での範囲制約はありません*14し、別に法律は対象者を選択などはしてくれません。国民の権利を制約する法律を作ったら、ご本人の権利も制約されるのです。
例えば、表現の自由を制約する改憲を行えば、ご本人の人気が落ち、選挙に落選した際に選挙活動をしたくても、自分が思うとおりの選挙活動ができなくなる可能性*15は普通に出てきます。でも、改憲を主張する議員に、その懸念は見えません。まるで、自身の議員生命は永遠だと信じているかのようです。
こういう不思議な雰囲気は、改憲案を読んでいると随所に出てきます。そこが、とても不思議です。
もしかしたら、自分の感情論が先立っていて、実際の法律が及ぼす影響にまで考えが及んでいない気もしますが、それはあまりに迂闊でしょう。本人が立法機関たる国会に勤務する公務員な訳ですから、まっさきに制約を受けますよ*16
その部分で、何か、自己の改憲案に物凄く楽観的な感情もっているなあ、迂闊だよなあ、という感想です。自分の人気や党の生命が永遠だと思っているかのようです。まあ、自民党の政権自体は短くはないと思いますが、自民党自身が分裂しないとも限りませんし、その多数派であり続ける保障もない訳で。
人間というのはあまり長い寿命を持ってはいませんが、人間が構成する国家はかなり長い寿命を有しますので、その行動を制約する法(憲法)には、長期間の運用に耐えうるかという考察は必要だと思いますが、なんか短期間の考察しかしていなくて、物凄く考えが浅いように見えます。
ですので、こういう勢いにのった改憲の結果の損害を考察するに、今話題の改正条文の改正(96条改正)も必要とは思いません。そもそも、そんな浅学の考えで、今の国民だけではなく、将来に生まれてくる国民にも影響が出続ける憲法を改正する事は、暴論と言ってもいい愚挙だと思います。


さて。もし改憲が通って、憲法が改正された後に、こんな事ができるだろうなあ、と思った事を少し書いておきます。
もし、私が独裁者になりたかったら、こうします*17
ひとまず、中立を装い、安倍さんに自民党改憲案を成立させます。密かに、自己の人気が高くなっていくように工作しつつ、あまり派手に行動する事は避けます。ただし、権力の中核に近くなるように努力を続けます。自分の実績を重ね、自己の野心は押さえ気味に政治活動を続けます。
多分、かなり長い年月が経ち、本当に国家的危機(戦争など非常時)が到来する場合もあるでしょう。
そうしたら、どうするか。自民党草案にもある「第98条(緊急事態の宣言)」*18を行い、権力を掌握します。場合によっては、ここでさらなる改憲*19を行っても良いでしょう。
で、危機的状況を場合によっては長期化し、権力を掌握し続け、独裁政権への道を歩むわけです。多分、改憲の時とは違い、長期の憲法研究もされている筈ですので、条文利用にも十分に研究期間を設けることはできるでしょうね*20
独裁政権下の権力者がどんなに酷い事を行うかは、ヒトラー等の行為を見れば明らかでしょうが、あれは他国民だ、というのであれば戦前の体制翼賛政治*21を思い浮かべるだけで十分です。
エジプトは過去の独裁者に決別*22し、独裁政権状態から何とか新しい政権を形成しようと足掻いています。一方で、今の平和な状態を改悪し、政治的にも劣悪な改憲行為を推し進めようとしている国*23もある。
それが、他ならぬ自国である事は恥ずかしい。
また、この行為を止める事が出来なかったなら、自国民の成熟度にも赤ランプが点ることになるかと思う。あまりにも、幼すぎる...。

*1:参考 改憲バスに乗る前に(江川紹子) - 個人 - Yahoo!ニュース

*2:参考 自民党憲法草案の条文解説 - 全文対照表、改正の概要、法的分析

*3:ただ、解釈次第で現実的な運用が出来るという説もあります。私も、基本的にはそちらの解釈ですので、積極的な改憲派ではありません。

*4:改正には違いないが、アメリカの憲法修正条文のイメージですね。

*5:参考 自民党憲法草案の条文解説 - 全文対照表、改正の概要、法的分析

*6:憲法 96条「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」参考 憲法条文・重要文書 | 日本国憲法の誕生

*7:参考 産経新聞の「国民の憲法」が激しくやらかしている件: ナベテル(非)業務日誌

*8:こういう事情から、つまりは感情論であり、そういう方々は、現実の生活に脅威を感じているわけではないのだと思う。法律による実生活への影響を分析している傾向は、見えない。

*9:芦屋憲法本は一冊所有してます。ので、芦屋憲法説は披露できますが。

*10:自民党憲法草案の条文解説(総論) より、「近代立憲主義憲法は、国家権力を制限し人権を保障する法です。つまり、法律を作るときや、それを運用するときに守らなければならないことを示し、国民が国家に遵守させるという、法律とは逆方向の役割を本質とする法です。時に国家は暴走するという歴史的教訓から生まれた役割」。

*11:米国、イスラエル等もそうですね。

*12:そして、国家賠償法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO125.html も十分にその事態を補償しているとは言えないでしょう。

*13:今出ている改憲案は、国家の制約を緩める方向性の状態になっています。というより、積極的に国民を国家に従わせる内容ですね。

*14:国内の治外法権領域(大使館)は違うが。

*15:国家に制約力を持たせれば、国家権力を握った相手はごく普通にそれを行使するだろう。

*16:憲法改正後に、改正内容に準じて法律を改正し、批准する必要が生じる。それはまさに立法府の仕事ですから。

*17:勿論、しませんけど。

*18:参考 自民党憲法草案の条文解説(92条~) ただし、内閣総理大臣が発するとされているので、本人がその地位に居る必要があり、タイミングは必要でしょうが、国家は長い寿命を持つ訳ですので、該当の憲法条文がある限り、その危険性は存在し続けます。

*19:改正条文が軟性憲法状態であれば、これは容易に行えます。

*20:ちなみに、これとそっくりな事を、STAR WARS銀河帝国皇帝がやってます。銀河英雄伝説も、帝国の成立状況がそうですね。独裁権力者の権力掌握なんてのは、大抵そういうものだと思うのですが、何故か現実の脅威として考える人が少ない。...これも平和ボケか?

*21:参考 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013043002000120.html

*22:参考 エジプト革命 (2011年) - Wikipedia

*23:エジプトの言論制約を論じるときに、日本では自由な言論が行われていて、と発言していた事を考えると、あまりに悲しい。