ロウアーミドルの衝撃

ロウアーミドルの衝撃


アッパークラス・・・・・・年収1000万超
アッパーミドルクラス・・・600〜1000万
ロウアーミドルクラス・・・300〜600万
ロウアークラス・・・・・・300万以下
 

と便宜的に定義すると、近年このロウアーミドルクラスの割合がどんどん増えてきている。「ロウアーミドルの衝撃」はそのクラスの人たちにどのような将来が待ち受けているかを教えてくれる本である。


現在、少数のアッパー及びアッパーミドルクラスと、大多数のロウアーミドルクラス以下による二極化が起こっている。
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、


アッパークラス・・・・・・・・4.9%
アッパーミドルクラス・・・16.2%
ロウアーミドルクラス・・・41.5%
ロウアークラス・・・・・・・・37.4%


であり、アッパー及びアッパーミドルクラスが約20%であるのに対し、ロウアーミドルクラス以下は約80%である。そして、さらにこの二極化は進んでいくと予想される。


今後、アッパークラスおよびアッパーミドルに到達できる人はわずかとなる。いわゆる「格差社会」の到来である。


本書はどうすれば二極化を解決できるかを論じている本ではない。ロウアーミドルはどのようにして生きるべきかを現実的に論じている。今後以前のような総中流社会に戻ることはないから、淡い期待を抱かずに年収に合った暮らしをするべきだという実に厳しい内容である。
しかし、ロウアーミドルの年収でも豊かな暮らしをするにはどういう政治的な対策が必要なのかも論じている。


ロウアーミドルの未来とどのようにして生きていけばいいのかについて、詳しくは「ロウアーミドルの衝撃」を読んでもらうとして、この本を読んで僕が思った感想を記しておきたい。


これからうちの会社の業績はどうなるか?という話をしているとき、決まってみんなは今はちょっと悪いけど、そのうち良くなってくるさと言う。僕もそんな気がするし、でも本当にそうなのかなと漠然とした不安もある。ただ、その楽観とした期待も漠然とした不安も、どちらについても何故そう思うのかを説明することができない。ただそんな気がするだけだからだ。


何故明確に説明できないかというと、僕が社会の成り立ちについて知らなさ過ぎるからだ。税金の問題、政治の問題、株式市場の問題、国際的な金の流れ、そういったものにあまりにも疎い。
「ロウアーミドルの衝撃」を読んでいてなるほどなと思ったとしても、それを他人が理解できるように上手に説明することができない。要するに自分の言葉として理解できていないからだ。他人の頭で考えたことをトレースしただけにすぎない。


さきほど挙げた税金、政治、株式市場、国際金融について理解しようとする気概がないなら、はじめからロウアーミドル以下の年収で生きる術を身につけろというのが本書の教えなのだ。 自分の頭で考えることの出来ない人間は馬鹿と言われて仕方ない。


大前研一には馬鹿は馬鹿らしく倹約して生きろと言われているようで、本当は悔しくてたまらないのだが、それでも彼の言うことは正しいと思う。「金持っているヤツがエライんだよっ!!」とまでは言わないが、それが半分正解なのがこの世の中だ。


誰よりも現実的な大前研一の意見に改めてこの世を生き抜く難しさを思い知らされた。




「ロウアーミドルの衝撃」大前研一
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