戦える強さはあるか〜差別のこと〜
野中 広務、辛 淑玉 著 「差別と日本人」 を読んだ。
部落出身者であり、戦争体験者でもあった政治家、野中広務。
在日としてのアイデンティティを保ちながら、民族、フェミニズムの視点から人権を訴え続ける辛淑玉。
そんな2人が日本が抱える人権問題について対談したもの。
部落問題やハンセン病患者の隔離問題などは言葉は知っていても実感としてはわからない。
人種差別も周囲に外国籍の人がいなければ理解しがたいものもあるだろう。
差別というのは、当事者にならないとどうしても考えにくいものだと思う。
だが間違いなく差別する人がいて、される人がいる。
日本人だけではない、人間の本質として他者との差異を見つけ、区別することをしてしまう。
それは概ね自分の位置を確認するため、次に享楽として、だと思う。
利己的な感情だ。
この作品では2人が実際に受けた差別とそのことにどう向き合ってきたか、喧々諤々語っている。
知らなかったこともあったし、自分なりに裏を取るべき内容もあったが、とても勉強になった。
単純にいじめと同じで、見て見ぬふりをしたら同罪なのだ。
米軍基地に揺れる沖縄、原発で悩む福島、そういった土地に暮らす人々に対して、
しょうがない、で済ますことはもう差別と言っていいのかもしれない。
愛国心というのは土地に根付いたものだと思うが、
私自身のエリアが狭すぎると痛感した。
自宅から、町内会、区、東京都、関東、日本全土と自分のいるエリアを想像しないといけないようだ。
とはいえ当事者意識を持つというのは、言うは易し、である。
さらに自分の中に垣間見える差別意識にヒリヒリしたりもする。
とりあえず、差別の現場に自分がいた場合。
マイノリティの味方になるんだ、という決意はきちんとしなくてはいけないと思った。
そういう強さを育てなければ、と。
それができるか不安ではあるし怖いが、なにかそういうときに人生の意味が変わってくるような気がする。。。
とまぁ、いろいろ考えさせられる本だということはわかってくれただろう。
- 作者: 辛淑玉,野中広務
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/06/10
- メディア: 新書
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