財物の価値あるいは無価値

肛門性格についてフロイトがのべているのは興味深い。身体感覚が観念に投影されてたとえば金銭欲になる。たしかに金銭欲というのは不思議な欲だ。食欲や性欲の場合にそうであるようには、それに対応する身体感覚がないと思われているからだ。あるいはフロイトは、その通念を逆手に取って、金銭欲に対応する身体感覚を探したのではないかとも思う。


食欲や性欲は、しばしば言語を介さない。もちろん料理番組やポルノがあるのだから言語を介しもするのだが。しかし金銭欲は言語を介さないと、増えも減りもしない。タンス預金は盗まれさえしなければ、そのままだ。


貯めてることを知っているのは当人だけ。腹が減れば胃が鳴るし、性欲は顔に出たりする(まあ徴はいたるところにある)。これも金銭欲の不思議な特徴だ。だから他人の資産にはみんな興味津々なのだ。

○○自慢

東某とか宮台某とか、自分の娘をアイコンにしている人気持ち悪い(アニメキャラの方がはるかにマシ)。思想云々以前に人間として信頼できない。まぁだから何?って言われても困るけどね!
http://twitter.com/jakonamazu/status/11239130027


ふと思いついったーのだが、ようするに彼らは生殖能力を見せびらかしている、と。で、生殖能力を自慢したくて男性器を見せてしまうと、それはまちがっているわけだ。それは生殖力の可能性でしかないから。だから露出狂は間違っている(すいませんねこんなことばかり口走っていて。フロイトにかぶれるとこうなるのです)。


まあほかに自慢するものがないからやってるんですよ。はじめて市場でないところからゲットしたアイテムに有頂天になっているんですよ。

「性欲のある風景」

族譜・李朝残影 (岩波現代文庫)

族譜・李朝残影 (岩波現代文庫)

タイトルに惹かれて手にとった。鮮烈。少年航空兵のくだりなど粛然とする。


ただ不思議なのが、「僕」の動員先だった「S滑空機製作所」と実家とが4キロの距離にあって、その中間に高さ1000メートルの大硯山が邪魔をしていて直進できない、できないから、四角形ABCDのA点が製作所でD点が実家だとする場合、毎日動員先まで三辺DC,CB,BA上を通過して通っていったらしいのだが(本文にはコの字型とある)、満員電車で1時間もゆられたとあるのだ。遅すぎないか。ソウル中央からナムサン公園とハンガン(漢江)をはさんで4キロのあたりに、山の麓なんてないんだが…。牛眠山までは10キロちかくありそうだし、その牛眠山の標高が290メートルだというのだから、この大硯山って何だろうと思うのだ。ノリャンジン駅はトンジャク区にあるというのだから、製作所はトンジャク区とソチョ区とのさかいあたりにあったのだろうか。


新詳高等地図 (Teikoku’s Atlas)

新詳高等地図 (Teikoku’s Atlas)


 昭和13年ごろ、梶山家はソウル郊外の山を切り開いた造成地に、家を新築して移りました。 その家は日本家屋ですがオンドルがあったそうです。最初は2,3軒しか家がなかったが、終戦のころは1OO軒ぐらいになっており、 周りには現地の朝鮮人の集落もあったそうです。
http://www002.upp.so-net.ne.jp/kenha/kajiyama13.html


その「ソウル郊外」がソギョドンやハプチョンドンあたりだったら、すんなり納得がいくのだが(キョンイン線がまさにコの字に走っているのだ)。小説のナムサン公園は、現実にはヨイ島だったのではないかと。


実際の梶山少年はインチョンに通っていたそうだから、たしかに列車で1時間くらいはかかっただろう。車中でキョンイン線が(自分にとって)無駄な迂回をしているのが腹立たしくもあったのだろう。とはいえ虚構構築のさいの手間を惜しんだせいで、なんだか妙なことになってしまったというのが真相、というところか。


なぜ梶山の記述にひっかかったか。だって底辺2対高さ1(の直角三角形をふたつあわせて二等辺三角形にした)山なんてそうとうな急峻ですよ、角度45/2°もあるんだから。そんなんが川のそばにぼーんとあるわけないじゃない。こういうところにちゃんと疑問をもつのが、ようするに常識というもの。