たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

自分が輝くのではなくて。「プリキュア5第30話」

まあ、ミルクが登場してから、必ずなにかの役にはたつのだろうな、とは予想はしていました、誰もが。
たとえば擬人化して6人目のプリキュアになるとか。
しかしまさか、こんな役立ち方になるとは思いもしませんでした。

なんてことだ…。
これでミルク擬人化フラグは30%減ですか…。ものすごいツンなツインテールっ子になると信じていたのに!いやなる!なった(脳内補完
 
そんな回でした。以前出た5人の合体超必殺技といい、お約束な部分でものすごい突拍子もないところにいくのがプリキュア5の面白いところだと思います。
はて、以前から「のぞみの夢ってぶっちゃけどうよ?」という話を書いてきましたが、前回の話で間接的に肯定の方向へとひっぱられていきました。
人をつなぐ架け橋になる人って、大切なんだよね。「プリキュア5第29話」
今まで全部見ていないとわからない部分多いので、簡単におさらい。

1、なんの取り得もないのぞみがプリキュアに。
  ↓
2、とりあえず夢はないけど、ココ達の王国のためにがんばる!
  ↓
3、まわりの子、プリキュアと自分の夢を並列して努力に励む。のぞみ何も出来ない。
  ↓
4、ポジティブな彼女に劣等感。
  ↓
5、カワリーノトラウマで人間関係激変。のぞみ、自分のペースと信じるもの確認。
  ↓
6、うららのライブ+時代劇の補佐で、自分は特に何も出来ないけれど他のメンツにお願いして、信頼される裏方に徹する。

とりえのないヒロイン、というのは割りとよく繰り返されるシチュエーションですが、今回は特にその部分の輪郭が際立っています。
その点がなぜくっきりするかというと、プリキュア5の影の主役、ナイトメアの会社との比較によって、かなーり明確化されているからです。
それは子供が見て分かりやすくなるためでもあるのですが、大人が見ると真剣に「これでいいんだろうか」と悩まされることに。同時に「のぞみこそ主人公だな」と思わせるパワーに満ち溢れているのです。
 

●大人社会で一番大切なこと?●

さて、これを覚えているでしょうか。

恐怖の黒紙。別名、自我の崩壊宣告。
追悼・ギリンマへ。平社員の憂鬱と哀しみに敬礼
自我を完全に失うかわりに絶大な力を得る、という恐怖のアイテムです。敵が味方に使うならまだしも、それを敵の内部同士で使うという設定がなんとも恐ろしさを感じさせます。
ギリンマの時は、なかば強制でした。
「忠誠を誓うか、会社をやめるか。」
会社やめればいいじゃん、と思う自分はギリンマの本当の苦しみに気づけなかったのかもしれません。それが悲しくてならない。
しかし今回は、アラクネアは自らこの恐怖の黒紙を欲するわけです。
そもそも、彼女はこの会社では「エリート社員」でした。相当過去にはよい働きをしたのでしょう。今までも営業成績(?)を気にしつづける、プライドが高い女性でした。

11話より。右肩上がりがプリキュアで下がっているのがナイトメア。
いやはや、何を数値化しているのかわからないけどすさまじい説得力。もっともナイトメアも会社で給料性なので、数値は非常に大事なのですが、アラクネアにとって一番のストレスは自分のプライドを傷つけられることでした。

直属の上司ブンビーさんも「上司として」ある程度彼女を追い詰める発言はしていましたが、彼女が自分の自我を崩壊させたのは、彼女自身のエリートとしてのプライドに他ならないのです。
そりゃまあ、「勝てない」というのはこの会社にとって致命的な打撃です。商品の売れない企業みたいなものです。確かに追い詰められるけどそれほどじゃないでしょう、仕事なんだから?と思いたいところですが、彼女の視野は極端なまでに狭くなっていました。
会社から離れて自分リゾートでもしていればこんなことにならかったのかもしれないのにね…会社での価値=自分の価値と勘違いしてしまったのが運のつき。
 

●上司は、時には冷たいことも言うけれど●

ここで面白いのが、今まで皮肉と冗談ばかりでお茶を濁していたブンビーさんの行動。
ギリンマの時に恐怖の黒紙を渡したのはまぎれもなく彼なのです。あれはちょっとうらんだね。
が、今回それの真意が明らかになりました。

アラクネアが黒紙で自我を失い、特攻しようとしたときに止めに入ったのです。
これ、冷静に考えると反逆行為なわけですよ。自ら選んで忠誠を誓ったものを自己判断で止めるわけです。
なかなかギョっとするやりとりがなされていたので、抜粋。

アラクネア「ブンビーさんだってギリンマに渡していたじゃありませんか」
ブンビー「それは危険すぎる。君はカワリーノさんにいいように使われているだけなんだ…。」
アラクネア「どうせ自分の部署が危うくなるから止めにきたんでしょ?」
ブンビー「いや、それはある…いや、そんなことはもうどうでもいい、私は君のことが心配なんだ!」

ブンビーさんは、いつも正直に大人社会を吐露してくれるから大好きです。
あくまでも仕事で視野が狭くなってしまっているアラクネアと、上司から一人の人に戻って警告するブンビーさん。言っていることはブンビーさんのが断然正しいのですが、プライドに押しつぶされたアラクネアにはなーんにも見えなくなっちゃってるんですヨ。

ブンビーさんの苦悩は、上司の地位と人情の板ばさみにあいつつも、会社のセリフを言わなければいけないこと。彼が今後さらに苦悩を一手に背負うことになるだろうことは間違いなし。意図的に大人に愛されるキャラになっていますし。
しかし、ここまで行き詰って夢とかを見違えてしまっているアラクネア+ブンビーを見ていると切なくて辛くなります。すべては「人生の目的ってなんだ?」という部分の方向性のブレ。一概にこいつらが間違いじゃない気がするから、なおのこと重い。
 

●のぞみの悟り。●

さすがにここで終わってしまうと、大人的には面白いのですが子供的にはよろしくありません。
ちゃんと、プリキュア側の視点をはめこんでいます。それがちょっと普通のヒロイン物の「努力と根性」とは別路線なのが面白いです。
ちょっとのぞみとかれんとミルクにスポットを当ててみます。

発端はミルクが売り言葉に買い言葉で「のぞみなんてプリキュアの資格がない」とい言ったことから。もちろん本心ではありません。まあ、ツンデレというには幼すぎるワガママ。しかし言う言葉は割りと真実。
「それはみんなの夢ミル、のぞみ個人の夢じゃないミル!」
そうなんです。のぞみの夢は、自分が描いた夢じゃなくて、他の人の夢に乗っかっている感じなのです
だけど、今回はそこに焦点が定まります。それって本当にダメなことなの?他の人の夢に便乗してがんばるのはムダなの?自分だけの夢をもたないといけないの?
 

それに対してかれんが、「私も夢が見つかっていない」というのを謙遜に語ったのが結構びっくり。いやね、今までプライドが高かった時期もあったし、「私はがんばっている」的な時期も初期にはあったのです。
そのへんを全部氷解させたのは、まぎれもなくのぞみさんだったのを思い出します。

18話より。
この回でじいやさんも認めるほど、かれんは変わったのですよね。それを、ミルクという幼い存在に、はっきりとした言葉で伝えたのはとても印象的でした。
ミルクはある意味、ねじまがった場合ののぞみと似ていますが、同時にかつて虚勢をはっていたかれんにも似ていたのかもしれません。
 
のぞみさんはその後、「何も出来ない」ことを認めた上で、そして「他の人をサポートするのも夢」と悟りを開きます。

こうなったら人間強いよね。
自らが夢を切り開くのはそれは非常に大切なこと。しかしサポート役や、人の架け橋になる人のほうが実は大事なのが現実だったりします。
自分が思い出したのは、「おジャ魔女どれみ」のどれみさん。彼女も何もできないし特技もないし夢もないんだけど、人の信頼を勝ち得て、人をつなぐには最高の人材でした。登校拒否の子とかおんぷちゃんとか、どれみがいないと救われなかったでしょうしね。
 
「人を輝かせるために存在するための人」。かなり謙遜さと、人を信じる力のいる、難しい立ち位置です。アラクネアさんのようにプライド高い人にはできないですよね。自分も前に出たがりだから、難しいなあ・・・。
こういう補助タイプの主人公を、はっきりとした言葉で肯定的に提示して際立ってきたプリキュア5のテーマ「夢」。先頭に立つだけが主役じゃない!
これはちょっと今後、どういう方向にこれを発展させるか楽しみですヨ。
 
余談ですが、ブンビーさんも実は汚れ役を買って出ているものの、のぞみと同じ位置にあると思います。
彼が捨て駒にならず、もうちょっと踏ん張ってくれますように…。というか退社して、近所のいいおじさんになってください…。
 

●アラクネアさんお疲れ様。●

今回のみどころいろいろ。
 
その1

そんなわけでアラクネアさんは消滅してしまいました。なむさん。
ギリンマのときは幼児のように号泣したものですが、今回はあまり感慨がありませんでした。自主的に暴走しちゃったせいもありますし、ブンビーさんの制止も聞かなかったので自業自得な感じたっぷり。
でも、ひょっとしてブンビーさんアラクネアさん好きだったんじゃ?とは思いました。
そしてなにより。
ドリームコレット手に入れたら、さっさと帰りなさいよほんと>アラクネアさん。
 
その2

アラクネアさんは元がクモなので糸を自由にあやつるのですが、その見せ方が今回はかなり面白かったです。雲ひいてとんでいってるのではなくて、これはカベに5人をたたきつけているところ。かわった動きでステキ。糸の上を走るってのも、爽快感あふれています。
 
その3

すっかり息のあったコンビになったかれんとりんちゃん。
いやあもう、ミルクvsのぞみさんは、昔の二人みたいでしたヨ。
しかしこうしてみると、一番空気を読んでネタふるのがうまいつわものはうらら確定かしら。
 
その4

ミルクとのぞみのいざこざは今後も続きそうなのですが、ほんと周囲の4人のミルクへのやさしさは異常。もっと厳しくしかろうよ!と思うのですが、精神年齢5歳くらいなのかなあ。
でももうちょっとしかってあげないと、ミルクのためにならん気がします。今回はかれんがやさしく諭したのは正解。ナッツあたりにびしっと怒ってもらいたいトコロ。
 
その5

次回予告が色々すごいのですが、あえてこれだけはってみたらどう見えるかしら。
 
Yes!プリキュア5 ボーカルアルバム1~青春乙女LOVE&DREAM~
ボーカルCDですが、5人の歌が入っているのでお得気分。OP+ED+うららのデビュー曲もばっちり。
残念ながら…ココナツソングは、なし!
Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険! もふもふぬいぐるみ ココYes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険! もふもふぬいぐるみ ナッツYes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険! もふもふぬいぐるみ ミルク
はやいなあ。劇場版ぬいぐるみ。うん、ぬいぐるみだとミルクはかわいい。ココ微妙。
Yes!プリキュア5 ミルクキャリー
・・・へ?
あ、そうか。これでコミケにいくんだね!
 
  
以下、過去記事
 
   
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