とある介入主義者の悲壮な戦い

時流に逆らおうとするひとのお話。


マケイン米議員、シリアへの軍事介入の可能性を示唆 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
わーマケインさん相変わらずです。まぁ彼のポジション的にはそう言うしかありませんよね。

 米上院軍事委員会(Senate Armed Services Committee)共和党筆頭理事のマケイン氏は、ヨルダンで開かれた世界経済フォーラム(World Economic Forum)で「リビアでの軍事作戦が終了しつつある今、シリアの民間人の生命を保護するために、どのような実際的な軍事作戦が検討されるべきかについて、新たに焦点が当たることになるだろう」と語った。

 マケイン氏は「反体制派からも、外国の軍事介入を求める声が高まっている。支援を求める声が聞こえてくる。われわれは(反体制派の)シリア国民評議会(Syrian National Council)と対話し、話を聞いている」と述べ、シリアのバッシャール・アサドBashar al-Assad)大統領の「政権は、大量虐殺についてこのまま逃げ切れると思わない方がよい」と語った。

マケイン米議員、シリアへの軍事介入の可能性を示唆 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

つまり彼のこうした発言を届けたい本当の相手とは、別にシリアに対する脅しでも、あるいはその他周辺国に対する圧力というわけでもなくて、それは『アメリカ国民』に対してであります。現実にはそうなりそうにないからこそ、こうして「私たち(アメリカ)はシリアを見捨てていいのか、いやよくない」と必死に主張しているのです。
だからまぁわざわざこんなことを(メディアに載る形で)言うということは、むしろ逆説的にオバマさんのやる気のなさの証明でもあるんですよね。そしてそのオバマさんの「やる気のなさ」はアメリカ国民世論にも適っている。そんな中で彼はリビアの時から一貫して似たようなことを言っているのです*1。「私たちは彼らを軍事的に支援するべきだ」と。なので彼の発言は介入主義的な強気な所から出たわけでは決してなくて、むしろアメリカの国際主義の後退や孤立主義への回帰といった、現在のアメリカに生まれつつある流れに逆らおうとする防衛的な反応と言った方が正解に近いのでしょう。だからこそ彼はこうした発言にまで至っていて、あるいは追い詰められている。
前略ましてや帝国ですらない - maukitiの日記
以前も書いたようにやっぱりアメリカは、引きこもることこそが、本来のあり方なのだから。自分の国以外のことなどどうでもいい。ニート国家アメリカ。そしてアメリカという国家はそれを地政学的に許される位置にあるわけで。南北を友好国に、東西を防御的な海に。私たち日本からするとなんてうらやましいお話なんでしょう。日本の位置ではそんな贅沢とても許されないのに。


ということで、実際にリビアでも結局アメリカは前面に出ることなく終わったように、おそらくシリアやイエメンでもそれは同様でしょう。何らかの安保理決議なしに積極的にオバマさんのアメリカが動くとは思えない。で、そうした決議が出ることも中露の反対を見る限り当面ありそうにないわけで。おそらく今以上の死者が一気に出ない限りは。生贄が足りないというと身も蓋もありませんけど。
生贄が多数捧げられるまで動かないのと、単独行動でも動こうとすること。どちらが正しいかなんて僕にはとても答えられません。
そんな本来あるべき(孤立主義回帰な)流れに逆らおうとするひとのお話でした。