初期値鋭敏性……なのか?

Excelを使った面白い遊び、いろいろあります。え?VBAで作ったゲーム?……まぁそれは確かに別の意味で面白いんだけれども、今回はINTERESTINGな遊びをしようじゃありませんか。
以前はリサージュ曲線を動かしたり数式で星形を作ったりして遊んでいましたが今回は複素数列とカオスのお話です。元々カオスとは混沌という意味ですがカオス理論におけるカオスはちょっと値をいじっただけでエラいことになってしもた的な初期値鋭敏性を含んでいるもののことです。ちょっと値いじっただけで形がメッチャ変わるんですよこれ。


今回の複素数列で扱うのはマンデルブロ集合でおなじみの漸化式zn+1=zn2+cです。コイツをExcelのセルでnの値が自然数を変化する場合において計算してもらい、それが複素平面上でnの値と共にどのように動くのかプロットしてもらいます。え?Excel複素数に対応してない?そこは己の数学力およびExcel能力でカバーしましょう。
動かす対象の複素数z=x+yiとすれば、二つの複素数は実部と虚部に分かれます。さらに、複素数同士を掛け合わせる場合、実際には偏角の実数倍と絶対値の積となるので、角度を扱うため複素数をサインとコサインを用いて表します。偏角θ=tan-1(y/x)とすれば、z=√x2+y2(cosθ+sinθi)と表せるので、z2=(x2+y2)(cos2θ+sin2θi)となり、これを元にc=a+biとすると、xn+1=(xn2+yn2)cos2θ+a, yn+1=(xn2+yn2)sin2θ+bという二つの漸化式に分裂させることができます。実部と虚部で独立した数列にしてしまえばあとはExcel先生におまかせ!nの値を定めながらセルの下の方にある黒ポチを引き延ばしてn=1000までの複素数列が移動した点を線で結び、複素平面上にプロットしてみます。ほんの一例ですが。

なんじゃこりゃ!
なんらかの規則的な振る舞いをするような形もあれば、ある点からある種ふっきれてしまったようにデタラメな振る舞いをした挙げ句無限遠点にふっとんでしまったものも。中にはこんな単純な数式だけで描けるものか!と思うような図形も。まさにカオス。これぞ数学の美しさ。
ホントはVBAマクロを作ってcの値を変化させた時の軌跡をプロットしてみるとひじょーに面白いのですが、再計算+キャプチャなんて過酷な仕事を俺のパソコンにやらせたらとても録画できたもんじゃない。というわけで興味がある方はご自分で動かしてみてちょ。無責任な。


正直上の図形を見せたかっただけですすみません