柳 そしてお能

 



春雨に 萌えし楊(やなぎ)か 梅の花 友に後(おく)れぬ 常の物かも


 大伴書持 万葉集 巻17−3903



春雨に促がされて早く芽生えた柳でしょうか。
それとも梅の花という友達に遅れずに芽をふいたいつもの普通の柳でしょうか。






目黒川の芽吹き柳がとても綺麗でしたので写してみました。
残念ながらイメージ通りに撮れませんでしたが、ビルの谷間の春萌えです。
この辺り、目黒川沿いの桜並木はお花見の名所で、桜まつりの準備も進んでいるようでしたが 桜の蕾は未だ咲く気がなさそうでした。


                   

 

3月25日、久しぶりに目黒の喜多能楽堂
お能を観てまいりました。
能三番に狂言、仕舞で、とても全部は観られないかもと思いつつ、結局全てしっかり観てしまったのでした(*^。^*)





今回の番組のうち、初めて観たのは 狂言『鐘の音』 能『国栖』です。
『鐘の音』は、息子の元服に黄金造りの太刀を差させようと思った主人が太郎冠者に
鎌倉ヘ行って「金の値(かねのね)」を聞いてくるよう命じます。
それを「鐘の音」と勘違いした太郎冠者は、鎌倉の寺々で鐘をつき
音色を聞き比べて廻り主人に叱られる、というお話です。
五大堂、寿福寺極楽寺建長寺とお馴染みのお寺の鐘が登場して楽しい狂言でした。


『国栖』は後場、美しく愛らしい天女が現れ優雅に舞います。
続いて蔵王権現が颯爽と登場し世を寿ぐ舞を舞うのも素晴らしく
囃子、地謡の音楽も耳に心地よくてお舞台に引き込まれ、幸せな時を過ごしました。
物語の舞台は吉野、折りしも頃は桜の季節。蔵王堂のご本尊も特別御開帳とか。
十数年ぶりに吉野へ行ってみようかと考えたりする今日この頃です。