新潮45

毎月、図書館から4,5冊の月刊誌を借りている。論壇誌文芸春秋中央公論新潮45、文芸誌の群像、新潮、文学界などだ。もちろんお気に入りの連載数本と、ざっと目次をながめて、気になる記事を拾って読んでいるのみだが。
現在それらの雑誌の中で一番面白く読んでいるのは新潮45である。
必読の連載は、反・幸福論/佐伯啓思、日本のビョーキ/里見清一、連載コラム/小田島隆の3本、他にも江藤淳は甦える/平山周吉、水戸学の世界地図/片山杜秀、鳥類学者の優雅で過酷な日々/川上和人なども面白い。
私の贔屓筋の論客や作家は、内田樹高橋源一郎養老孟司大澤真幸島田雅彦池澤夏樹などであるが、度々当誌に寄稿するのでうれしい。当誌はリベラル系と保守系がいい感じにバランスされている。世界は、あれかこれかの2項対立ではなく、あれでもなくこれでもなく諸要因が複雑に絡み合う混沌とした世界だ。
さて、当誌の巻頭エッセイは、曽野綾子である。なんで、元お嬢さんで右翼ばりばりおばさんなんだとは最初の印象。
時に暴論もどきの直言を含むその辛口のエッセイが面白いかったので、多く著わしている新書の幾冊かを読んでみた。彼女のベースのひとつは、誰もその行いを見ていなくとも神にいつも見守られているとした、カトリック教徒としての神への敬虔な信仰心である。もうひとつは、NGOや10年間会長職を務めた日本財団で続けていた途上国支援で実体験したアフリカの極貧の現状である。その現状認識や提言には、共感するところも多い。しかし、日本にはアフリカに見られる絶対的な貧困や格差などないとした認識や、戦後の民主主義教育を否定したりなどのウルトラライトな考え方はついていけない部分だ。
雑誌の巻頭エッセイといえば、一時養老孟司内田樹中央公論に連載していて、それを契機に彼らのかなりの著書を読み、すっかり魅了されたものだ。
雑誌の場合、今月はどんな特集を組み、その記事は誰に依頼するのか、或いは連載は誰にするのかによって雑誌の方向性や売れ行きが決まるだろう。特に後者において、新潮45の編集力(目利き力)は素晴らしい。