錦野あきら事件




※今回の【錦野あきら事件】はパソコンでの観賞をお勧めします






前回「ウケるエントリーシートの書き方」を書いているとき


大学4年に起きた出来事を思い出しました。


これはみなさんにとってたいした事件ではないかもしれません。


ただ、僕自身にとって、すごく大きな出来事だったので


ここに書かせて頂きたいと思います。



就職活動でほぼすべての企業を二次面接で落ちた僕は、


大学の卒業式に出席するかどうか迷っていました。


同期の人たちはみんな一流企業に内定を決めていたので


そんな場所に行ったところで楽しくないのではないかと思ったからです。


しかし、やはり青春の最後を飾る卒業式を経験したいという気持ちと


色んな人から


「ウチの大学の卒業式はすごいから出ておいた方がいい」


と聞かされていたので


迷った末、出席することにしました。




卒業式当日。



大きな花束を一つ買いました。




卒業式と言えばやはり


「告白」


です。


4年間のキャンパスライフで伝えられなかった想いをこの日に伝える。


「告白」こそが卒業式の醍醐味だと言えるでしょう。


ただ、僕に関して言えば、告白するような相手は一人もいませんでした。


めぼしい女性には、大学1年の時に告白し、ことごとくフラれた経験を経て


大学内は競争率の激しすぎるレッドオーシャンだと位置づけ


すぐさま学外のブルーオーシャンへと旅立っていたからです。


ただ、卒業式で告白したいけど一歩踏み出せない人がいたら、


ぜひこの花束を使ってもらおうと思いましたし


とにかく卒業式は色んな事件が起きるだろうから


小道具があるにこしたことはないと考えました。


逆に、卒業式に出るかどうかぎりぎりまで迷っていたので


この程度の準備しかできない自分を悔しくも思いました。



こうして僕は花束を片手に卒業式の会場に向かったのですが



電車に揺られながら、どんどん気持ちが昂ぶってくるのが分かりました。



大学の卒業式というのは一体どんなことが起きるのだろう。



みんな、全裸になったりするのだろうか?



全裸になって頭から酒を浴びたりして



そのまま地面をごろごろ転がったりして



ミス・キャンパスの女生徒に体当たりをしたりするのだろうか?



いや、そんなレベルではない、



僕の想像を絶するようなことが起きるかもしれません。



そんな期待で胸を膨らませた僕は、卒業式会場の横浜アリーナに到着しました。






***




2時間後―――。



横浜アリーナの片隅で一人、


花束の横に腰を降ろし、


うつろな表情で地面を見つめている僕がいました。




僕が想像していた卒業式のイベントは何一つ行われていませんでした。



目の前で開催されていたのは、








ビンゴでした。







司会者がマイクに向かって


「一等の景品は……車です!」


とか言うと、会場からは大歓声が上がっていました。




その光景に、僕は何度も目を疑いました。




これは、卒業式なのです。



青春が、終わる日なのです。



そんな大事な記念を飾るイベントが「ビンゴ」て。



しかも、こんなクソみたいな卒業式を、誰もが無批判に受け入れているのです。



告白するわけでもなく、



奇声を発するわけでもなく、



殴り合うわけでもなく、



全裸になってアナルを押し広げるでもなく、



男はスーツやタキシードを着て



女はドレスや着物を着て



シャンパングラス片手に優雅に話してるんですよ。





しかもね、




ぶっちゃけた話、僕、このとき留年が決まってたんですよ。



就職留年とかじゃなくて、普通に単位が取れなくて、留年してたんです。



だから横浜アリーナに着くや否や、クラスメイトたちから





「お前、なんでいるの?」




「お前、卒業できてねえじゃん」





とか散々バカにされたんですよ。



そうなるの分かってたから、卒業式出ようかどうか迷ってたわけ。





でも来た。



俺、来たよ。



つか、来年来たところで、知ってるやつがほとんどいないから


そんなの、青春の最後の一ページでも何でもないからね。


だから


卒業式に出席する資格がなくても、


肩身の狭い思いをすることが分かっていても


恥を忍んで、奥歯を噛みしめながら、卒業式来たわけですよ。




そんな断腸の思いで参加してるのに、



目の前にあるのは、



青春最後の祭典を、ビンゴで飾ろうとする学生。



そして、それを良しとする空気。



もう、腹が立って腹が立ってどうしようもありませんでした。



しかし、だからと言って、5000人もの卒業生が参加するこの場所で



何ができるわけでもなく、



僕は、会場の片隅で一人ビールを飲み続けていたんです。




こうしてビンゴ大会は終わり、卒業式はいよいよ終盤に近付いていきました。



司会者がマイクを持って言いました。



「それでは今から、スペシャルゲストライブを行います! スペシャルゲストは……」



そして、司会者がマイクに向かって叫びました。




「錦野あきらさんです!」




するとステージの緞帳が上がり、キラキラ光る豪華な衣装をまとった錦野あきらが登場したのです。



と同時に、会場の学生たちがめちゃくちゃに盛り上がり始め


「錦野あきらー!」「あきら最高ー!」


と叫びながらみんな一斉にステージの方に駆け出したのです。



(いやいやいやいやいや……)



僕は思いました。



確かに、当時、錦野あきらはとんねるずの「生でダラダラいかせて」に登場し



「スター・錦野」といういじられ方をして人気になっていました。




でも、




青春を謳歌するのに、ビンゴの車の景品とか、錦野あきらって必要ですかね?





そもそも卒業式なんて




わざわざ横浜アリーナなんかでやる必要ない。




大学のキャンパスで良い、




なんなら、ただの空き地で良い。




自分たちで面白いこと見つけて、




自分たちでバカやって騒いで



面白おかしく盛り上げていく




それが青春だろう!



それが青春の卒業式だろうが!





―――気づいたとき、僕は、花束を片手に持って、ステージに向かって走り出していました。



僕がやろうとしたことは、



本当に、たいしたことではありません。



このとき僕が考えたのは、




「ステージ上の錦野あきらに、花束を渡す」




ことでした。




よく、テレビで演歌歌手とかが、



ステージの合間に、観客たちから花束をもらうじゃないですか。



そしてもらった花束を手に持ったまま歌うじゃないですか。



あれをパロディしようと思ったのです。



本当に些細な、演出です。



でも、これは僕にとって、大きな意味がありました。




何のリスクを犯すことなく、ただ、与えられた卒業式を「お客さん」として消費する人間ではなく



自らの手で何かを生み出す人間でありたい



右手に強く握られた花束は、



僕のそんな想いが込められた象徴でありました。




僕は、人だかりになったステージをかきわけて、




ステージの最前列までやってきました。




しかし、そこで見た光景に、僕は戸惑いました。




ステージの前には柵が立てられていて、


ステージと柵の間には、警備の学生たちが立っていたのです。




↓こんな状況でした。







     錦野

―――――――――― 


◎  ◎  ◎  ◎  ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





― ステージの端

◎ 警備の学生

〜 柵






柵は僕の首あたりの高さでしたから1m50センチくらいでしょうか。


柵の向こうには、警備の学生たちが1m間隔くらいで配置されていました。


そして柵からステージまでの距離が2mくらいありました。



(どうすればいいんだ……)



僕は悩みました。悩み続けました。



花束を渡すには、柵からステージまでジャンプしなければなりません。


しかも、この2mという距離がやっかいで


足場の悪い柵の上からステージまで飛び移ることができるかどうか分かりませんでした。




しかし、僕には分かっていました。



ここで飛ばなければ、僕は大事なものを失ってしまう。



その「大事なもの」が何であるか、



具体的に言葉で説明するのは難しいけれども、



でも、分かっているのは、それが僕にとって「一番大事なもの」だということ。



錦野あきらの歌は、ラストに近づき、その日一番の盛り上がりを見せていました。



錦野あきらの熱唱が横浜アリーナ全体に響き渡りました。





「空に、太陽があるかぎり〜」





僕は――自分の立っていた場所から、1mほど後ろに下がりました。



そして、曲が間奏に入ったのを見計らって、思い切りダッシュしました。




まず、柵の上に手をかけ、一気に柵の上によじのぼり、




そして柵の上からジャンプしながら叫びました。






「錦野さん! 錦野さん!」





そして、右手に持った花束を、錦野あきらに向かって思い切り伸ばしたのです。





――あのとき僕の視界に映った映像は今だ鮮明に覚えています。



まるでスローモーションのように、



視線を僕に向けた錦野あきらが、僕の視界からゆっくりと遠ざかっていきました。



僕の決死のダイブはステージまで到達せず、



監視員に足を掴まれた僕は、地面引きずりおろされたのです。




すると、その瞬間、左右から警備の学生たちが猛スピードで近づいてきて僕を取り囲みました。




↓このような状況になりました。










     錦野

―――――――――――
     ◎◎◎
     ◎水野◎
      ◎◎  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 









それから僕は、


頭を掴まれて、地面に叩きつけられました。


さらに、背中、脇腹にエルボーを何発も食らいました。


それから、無数の手で全身を地面に抑えつけられ、這いつくばった状態のまま、


ステージ右側の方へずるずると引きずられて行きました。









     錦野

――――――――――――― 
             ◎◎◎
            ◎水野◎
             ◎◎  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






さらに、そのまま20mくらいずるずると引きずられていきました。











     錦野

――――――――――――――――――――――――――― 
                                    ◎◎◎
                                   ◎水野◎
                                    ◎◎  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜            








そして、一番端まで引きずられ、そこから外に出された僕は、


首根っこを引っ張り上げられて


タメ年であろう学生からこう言われました。







「テメエ、2度とこんなことするんじゃねえぞ」






僕は「すみませんでした……」と涙目で謝りました。




僕の右手には、ぼろぼろになった花束が握られたままでした。








―――僕は、今でも、仕事で行き詰った時、そして、生き方に迷った時




あの日のことを思い出します。




今の俺は、飛べているだろうか―――。




錦野あきらに向かって、ジャンプできているだろうか―――。




好きでもない、ファンでもない、錦野あきらに向かって




「錦野さん! 錦野さん!」




と叫びながら、全力で花束を差し出せているだろうか―――。







そして、僕は



願わくば、



結果的に、取りおさえられ、ひきずられ、ほおりだされることになろうとも、



あの柵の上から、ステージに向かってジャンプする人間であり続けたいと思っています。










空に、太陽が、ある限り。










ウケるエントリーシートの書き方





先日、ツイッター


「ウケるES(エントリーシート)の書き方を教えてほしい」


という質問がありました。



(ちなみに、エントリーシートというのは企業が新入社員を募集するときに使う応募用紙で、志望動機とか自己PRなどを書くやつです)




で、今、就職氷河期なんて言われてますけど、


僕が就職活動をした年は1999年。


まさに、未曾有の「就職氷河期」だと言われていた時代なんですよ。


その時代において、


僕のエントリーシートは、自分で言うのもなんですけど、バカウケでした。



エントリーシートのみならず、面接も、毎回爆笑の嵐でした。



一度、僕と一緒に面接受けにいった人から



「お前の部屋の笑い声、こっちまで響いてきたよ」



と言われたこともありました(実話です)。



だから、今回ツイッターで僕にこの質問をぶつけてきたのは



正直、正しい選択でしたよね。




で、ちなみに、僕のエントリーシートは↓の内容でした。



【自己PR】


中学高校時代を男子校でゲームオタクとして過ごした私は、まったく女性にモテませんでした。
そこで大学入学を境に「大学デビュー」を決意し、大学生活でのプライオリティはすべて「女性にモテる」に置きました。
そして、世の中にある恋愛マニュアル本を片っ端から読み、片っ端から実践していったのですが、
結果、まったくモテるようになりませんでした。
というわけで、大学時代何を学んできたのかと問われれば「限りなくゼロに近いです」とお答えすることしかできませんが、どれだけ失敗しても立ち上がる「起き上がりこぼし」的な力を御社で活かしていきたいと思います。



で、

このエントリーシートを見た面接官がすでにクスクス来てるんですよ。




面接官 「なるほど……。君、大学時代は、恋愛マニュアル本を読んできたんだね」


水野  「はい」


面接官 「ちなみに、どれくらい読んだの?」


水野  「正確な数字は分からないんですけど、

     心理学や、脳科学まで含めたら100冊は
     軽く越すと思います。

     ……そういえばこの前、新宿の紀伊国屋行きましたら

     恋愛フェアというのをやっていまして、

     『ラブワゴン』と書かれたワゴンに

     恋愛マニュアル本がずらりと並んでいたんですけど、

     『ラブワゴン』に入ってた本、僕、全部持ってたんですよね」



面接官  「それはすごいね(笑)」



水野   「逆に、持ってない本があったらその場で速効で買いましたので、結局はコンプリートすることになったと思います」




面接官  「(笑)で、マニュアル本を片っ端から実践したって書いてあるんだけど、具体的にはどんなことを試したの?」




水野   「はい。

      たとえば 『旅先から手紙を送ると非日常感が演出できてモテる』ということが書いてありましたので

      旅に出ました」



面接官   「それは、手紙を出すために?」



水野    「はい。女の子に手紙出すことをだけを目的とした旅でした」



面接官   「(笑)」



水野    「で、旅先から手紙を6通送ったんですけど」



面接官   「どうなったの?」



水野    「ちょっと気味悪がられましたね」



面接官   「それは、実行する前に気付かなかったのかな?」



水野    「ええ。一応は頭によぎったんですよね。

       『こんなことしても気味悪がられるんじゃないかなー』って。

       でも、

       僕が読んだ他の本に

       『考える前に行動しろ』

       って書いてあったんですよ」



面接官   「そこもマニュアル通りなわけだ」



水野    「はい」



面接官   「君、大学時代は他に何かしてたことはないの?」



水野    「特に無いですね。

       自分は優先順位を大事にするタイプなので。

       だから、

       恋愛マニュアル本を読んで、実践して、読んで、実践して……

       気づいたら、この席に座っていたという感じです」



面接官   「君、面白いね」



水野    「ありがとうございます」






こんな感じの面接がもう毎回バカウケで



僕も毎回



「これは確実に通ったなー」



と思ってほくほくしながら家に帰ったんですけど、













ほぼすべての企業、二次面接で落ちました。










今だにはっきりとした理由が分からないのですけど、




僕のやり方は



なぜか二次面接以降、一切通用しなくなるんですよ。




当時、僕はこれを







二次の壁







と呼んでました。



そして、当時、僕はみんなから









一次の水野









と呼ばれていました。






というわけで、



「ウケるエントリーシートの書き方を教えて欲しい」と質問してくれた学生の方は



二次面接以降をどうすればいいのか教えてくれるOBの方を見つけて




その人のやり方と、僕のやり方をうまいこと組み合わせれば、確実に内定が取れると思います。




応援してますので頑張ってください。






ちなみに、二次面接以降どうすれば通るのか分かったら














一応、info@mizunooffice.com宛にメールもらっていいですか?











僕も来年以降どうなってるか分からないんでね。















アメブロ削除事件


※「ウケる日記」は最初アメーバブログで開設しました。この記事はアメブロで書いていた頃のものです。





昨日(2月13日)の夜、


なぜかブログの最初のエントリー記事である「オナニー事件」が跡形もなく消えていました。


このことをツイッターでつぶやいてみたところ



■「オナニー」という卑猥な単語がタイトルに入っていたから削除されたのではないか



と言われました。


それを聞いて僕は



「これは大問題になるぞ……」



と冷汗が止まりませんでした。




いや、確かに、アメーバブログさんの判断は間違っていないと思います。


日本最大のブログサービスと提供しているわけですから、


健全なイメージを守らなければなりません。


卑猥な表現やアダルト関係を取り締まるのは大事だと思うんです。



ただ、


「オナニー事件」


は、アップされるや否やネットユーザーの皆さまから




クソワロタw




および





クッソワロタw





の称号をいただいた、



ブログの歴史に新たなる金字塔を打ち立てたエントリーだと思うんです。



いや、こんなことを言うと



「何を自画自賛してんの?」



という声が聞こえてきそうですが、




僕自身も、あの記事を書いていたときの記憶がありませんからね。




白目むいて、口からよだれ垂れ流して




朦朧とする意識の中で、遠くに聞こえる神の声を書き写していただけですから。





だから、今回の件は

そういった事情を知らないアメーバ事務局の方が
既存のルールに従ってしたことなのでしょうけど、




サイバーエージェント藤田晋社長には申し訳ないことをしたなと思いましたね。




まあ彼とはほとんど面識がありませんけど、




笑いの分かる人だと聞いてますんでね、




偽物と本物の違いが分かる男だと聞いていますんでね、




↓こんなメールが確実に送られてくることになるだろうなと思いました。






件名:藤田晋です



水野さんへ。


このたびの、「オナニー事件」を誤って削除してしまった件に対して深くお詫び申し上げます。


今朝の朝礼で、私は、アメーバブログ管理局の社員全員の前で怒号をあげました。


いつもは「物静か」「クール」「イケメン」で通っている私が、
気づいたときには大声で叫んでしまいました。


「オナニー事件を削除したやつはどこのどいつだ!」と。


それから、小1時間、私は渋谷の街全体に響くような声で、社員たちを怒鳴りつけました。


「みんな、よく聞いて欲しい。

 確かに、我がアメーバブログは「健全」で「クリーン」なイメージを守ることを大切にしてきた。
 
 それゆえに、今、日本で最大級のブログサービスの地位を得ることができたと言えるだろう。

 しかし!

 だからと言って、いつ、私が、新しい挑戦、新しいサービスを妨害するようなことをして良いと言ったんだ!?

 私はいつも言っているだろう!










藤田晋の 晋 は 普通の 普 とは違うんだ!









 私は、いつも君たちに言ってきた。

 我がサイバーエージェントは何世紀先にも残る「普遍的」な会社を目指していると。

 しかし、

 だからこそ、「普通」のことだけをしていてはならない。


 常に新しい挑戦をし、新しいサービスを生み出さなければ


 ビジョナリー・カンパニーとして生き残ることはできないんだよ!


 そして、私たちにとっての新しい挑戦こそが、


 水野敬也先生の「オナニー事件」だったのではないのかね?!


 あのエントリーはまさにビジョナリーだよ。


 何世紀にもわたって語り継がれることになる、ビジョナリー・エントリーだ!



 ああ、確かにあんな記事を放置しておいたら、お客様からのクレームは来るだろう。


 「アメブロはいつから下品な下ネタブログになったんですか?」と言われるだろう。


 毎日のように言われるだろう。


 しかし、だからと言って「オナニー事件」を削除するのではなく、



 お客様に対して、


 「あの記事は、単なる下ネタブログではありません。いわば芸術なんです」


 「村上隆とかと、同じジャンルです」


 「マジで」


 このように懇切丁寧に説明してお客様にご理解いただくこと、


 それこそが日本の未来を作る私たちに課された使命なんじゃないのか!? 」



 ―――最後、私は涙目になっていました。


 ―――そして、マークシティの社員全員の瞳にも涙が溢れていました。


 それから、私は社員たちと抱き合い、肩を叩きあい


 「オナニー万歳! オナニー万歳!」


 と互いに称え合って今朝の朝礼を終えたのです。



 そのあと、社長室でオナニーしそうになりました(笑)。



 ……というわけで、今回のことは水に流して頂き、


 決して他のサイトでブログを開設することなく


 当社のアメーバブログにて


 水野先生の自由で楽しく笑えるブログを

 
 末永く書いていただけたらと思います。



 藤田拝







件名:ミクシィの笠原です。



水野先生、お初にお目にかかります。


ミクシィ代表取締役の笠原と申します。


水野先生のブログの「オナニー事件」がアメブロで削除された件、おうかがいしました。


正直、開いた口がふさがりませんでした。


何を考えているんだアメブロはと。


どこがアメーバかと。何の柔軟性もないじゃないかと。


思わず、マークシティに乗り込んで藤田社長に直訴しそうになったところを


副社長を始めミクシィ取締役陣に抑えつけられ、


「まずは水野先生にメールを」


と説得され、こうしてメールを書かせて頂いている次第です。


今回メールを差し上げたのは


水野先生もすでにお察しのことでしょうが、


これを機会に、ミクシィでブログを開設いただきたいと思ったからです。


もちろんブログを始めて頂けた暁には、

ミクシィ全社を挙げて先生のブログをバックアップさせていただく所存でございます。



……とは言いましても、


水野先生は、一説によると


1文字1万円


と呼ばれるほどの価値の高い文章を書かれると言われ


しかも、ブログに関しては


「お金とかそういうんじゃなくて、なんつーか、世界を笑顔にしたいんだよね」


という高い志を持たれて書かれているとおうかがいしました。


ただ、私は水野先生の大ファンでございまして


「夢をかなえるゾウ」


だけではなく、それ以外の著作もすべて読ませていただいております。


そして特に


「『美女と野獣』の野獣になる方法」


では感銘を受けました。


あの内容によると


水野先生は


イケメンが大の嫌いであり、


イケメンを倒すことをすべてのモチベーションとして努力を重ね、


今の地位を築いたということを知りました。



そこでこちらをごらんください。







私、イケメンではございません。




この、イケメンでは無い私に免じて
なんとかミクシィでブログを開設していただくことはできないでしょうか!?


ご検討のほどよろしくお願い致します。






件名:三木谷です。


楽天の三木谷です。


水野先生の「オナニー・アクシデント」(現在楽天では英語が公用語なので社内ではこの呼び名で通っています)

アメブロで削除されたとき、感動で震えが止まりませんでした。

私はこう思ったのです。


「これで、水野先生が楽天日記に戻って来てくれるかもしれない」と。


水野先生が長年に渡る沈黙を破り、


突然アメブロでブログを再開し、その文章を読んだ時、私は悔しさのあまり涙を流しました。


それは、「なぜ水野先生は楽天を選んでくれなかったのか」という思いもありましたが


それより、なにより、


一番最初のエントリーの「オナニー・アクシデント」があまりにも素晴らしかったからです。


思い起こせば7年前、


一陣の風のように楽天に舞い降りた先生の「ウケる日記」は、
その年の「楽天オブザイヤー」に輝きました。


当時のブログも本当に素晴らしかったのですが、


今回の「オナニー・アクシデント」を読んで、私は確信しました。



現在の水野先生の「ウケる日記」は、



そのクオリティの高さ、世間からの注目度、影響力、すべての点において









TBS以上の価値があります。








単刀直入に言います。


私は――いや楽天は、


「ウケる日記」が欲しい。


どんな手段を使ってでも、「ウケる日記」が欲しいのです。



ぶっちゃけた話、いくら用意すればよろしいでしょうか?



最悪、


マーくんと岩隈を放出することになっても構いません。



背番号18番も差し上げます。



星野監督も差し上げます。



ぜひ、もう一度楽天に戻ってきてください。



そして一緒に、日本に笑顔を取り戻しましょう!














……と、こんな感じで


日本を代表するIT企業各社の代表の人たちから続々とメールが届くことになるんじゃないかと想像し、


布団に入ってからも


「明日は大変なことになるな……」


と興奮でなかなか寝つけなかったのですが、


2月14日の今朝、僕の受信メールボックスに入っていたのは↓のメール1通だけでした。








クックパッド編集部』

 ■ ━ ■ ━ ■ ━ ■ ━ ■ ━ ■ ━ ■ ━ ■ ━ ■

       れぴまが - 2011年02月14日 月曜日

   夕食後に渡すチョコを隠して ソワソワしながら夕食作り 

 ■ ━ ■ ━ ■ ━ ■ ━ ■ ━ ■ ━ ■ ━ ■ ━ ■







PS.


サイバーエージェント藤田様
ミクシィ笠原様
楽天三木谷様
(登場順)



今回の記事は、

経済不況・就職氷河期・政治不信を始め、暗いニュースに満ちた日本を笑いで明るくしたい一心で書かせていただきました。


もちろん、誹謗中傷を意図したものではありませんし、


もっと言うと、僕はみなさんを心から尊敬していますし、


この3人の大社長がいれば日本は安泰だと考えていますし、


この3人になら抱かれてもいい、ぜひ抱いて欲しい(特に笠原社長に)と思っています。


本当に申し訳ありませんでした。
(土下座しながら)







エクセルシオール事件


いやね、中には良い人もいると思うんです。いると思うんですけど、


もう、白人の傲慢さにはハラワタ煮えくり返ることがあるんですよね。


先日、エクセルシオールカフェに行きまして、


アイスカフェラテが出てくるのを待っていたんですけど
こういうときってカウンターにへばりついてカフェラテ待たないじゃないですか。
ちょっとスペース開けて待ちますよね。

だから↓の感じで待ってたんですけど、













※ 〜 がカウンターでコーヒーが出てくる場所です。
  □ が空間(空いてるスペース)を表します。



でね、

↓の状況になったわけです。









僕 ←白人






これ僕の背中側のスペース空いてるんで、全然通れるんですよ。

いや、確かにそのまままっすぐには通れなかったかもしれませんよ。

でも、ちょっとね、ほんのちょっと体を傾けたら絶対通れるんですよ。

しかも、この白人、別に飲み物とか持ってたわけじゃないんですよ。

完全に手ぶらなんですよ。完ぶらですよ。



でも、こいつがね。


僕に対して、


とんでもないことやらかしてきたんですよ。



なんと、



……いや、これ文章で書くのはやめますわ。



文章だけだとこの白人の愚の骨頂ぶりがちゃんと伝わらないかもしれないんで、



このときの白人の行動を、忠実に再現した写真を撮りました。



↓こちらをご覧ください。













※モデル……山本くん(事務所の社長です)







ちなみに、これ全然大げさじゃないですからね。

個人的には口のあたりをもっとひん曲げてもらいたかったんですけど

山本が「これ以上は無理だわ」と言ってきたんで

妥協せざるを得なかったんですけど

この白人はね、

僕の目の前でマジでこんな顔して、手広げて


「お前がそこにいたら通れなくね?」


っていうジェスチャーかましてきたんですよ。



もう、空いた口がふさがらなかったです。




お前は何様だと。



ベトナム戦争で何を学んできたんだと。



このアングロサクソン野郎がと。




ただ、結論を言うと、




すぐに道譲りましたよね。




アルカイックスマイル(微笑)しながらね。





だって文句言おうにも、英語で何て言ったらいいか分からんかったからね。



でも、


こういうこと書くと




「おいおい水野、日和(ひよ)ってんじゃねーぞ」



って言ってくる人いるんですよ。



つか、あんた、今、そう思ってない?




この際言っときますけど



私、人生で一度も日和ったことありませんから。



中学時代にも、校内で誰も歯向かえなかった番長の岡(色黒)に、ゲーセン仲間集めて

「あんなやつ黒豚じゃん。いつでもやってやるけど」

と陰口を言って、その陰口が高橋経由で岡にバレてシメられそうになりましたからね。

(これはウチの学年では「黒豚事件」として知る人ぞ知る事件なので
 どこかでお伝えする機会があるかもしれません)



というわけで、



水野がこの事件をこのまま放置するはずがないんでね、



すでに反撃するための準備を始めているわけです。



で、


実は、ウチの父親、高校の英語教師なんですわ。



2年後に定年なんですけど、英検一級と通訳の免許持ってて



英語力は相当なものがあるんです。



だから、この事件があったあと、



速効で、父親にメール送りましたよね。





 敬也です


 お願いがあるんだけど、
 ちょっと仕事で使うので
 文章英訳しといてもらえますか?



それでこの後に、
僕がエクセルシオールカフェで白人に言うべきセリフを書いておきました。
言うまでもなく「ちょっと仕事で使うので」というのはウソです。
父親には仕事で何度か英訳を頼んでいるので
そう言った方がスムーズに事が運ぶのです。



そしたら父親からすぐに返信が来ましたので

ここに掲載させていただきます。




 敬也へ


 エクセルシオールベローチェの英語は分からなかったので
 カタカナ表記のままにしておいた。
 blogger のスペルも新しい言葉で辞書になかったので、
 100%正しいかどうかわからない。
 あとは問題ないだろう。


(以下英訳)

 







「 No, the space behind here , it's entirely blank ! 」


「いやいや、ここの後ろのスペース全然空いてるし!」







「 You find there is a space here, don't you ? Look ! Can't you see ? How is your eyesight ? Shall we go to ophthalmology togeher ? 」


「ここ隙間あるでしょ? ほら、ここ見えない? 君、視力いくつ? 一緒に眼科行こうか?」







「 Will you remove me from this place or will you die here ? There is only one choice for you. 」    


「俺をこの場所からどかすのか、お前がこの場所で死ぬのか、2つに1つだ」







「 In Japan I'm so-so famous blogger! 」

「俺は日本じゃ、そこそこ名の知れたブロガーだぞ!?」







「 Go away from me right now ! Otherwise,

「俺の目の前からすぐに消えな。でないと……



it will end in the signboard of エクセルシオール turning into the color of ベローチェ.


エクセルシオールの看板が、ベローチェ色に染まることになる」











ゴッホの耳切り事件


前回のブログのエントリーが「オナニー事件」でしたので


「こいつ、下ネタ以外書けねえんじゃねえの?」


と思った方も大勢いらっしゃると思いますので


今回はもっと高尚な話といいますか、


ゴッホの耳切り事件」


を取り上げていきたいと思います。



ゴッホの耳切り事件」とは、ゴッホが南フランスのアルルでゴーギャン
共同アトリエ生活を始めたのですがうまくいかず、
最後はゴーギャンとケンカをして自らの耳を切り落としてしまったという事件です。
このことをきっかけにゴッホは精神病院に入ることになってしまいました。


ただ、当時、芸術家は貧しかったので、ゴッホ
「共同生活をすることで生活は楽になるし、芸術文化も向上する」
という志を持って共同生活を始めたのでした。


僕はこのゴッホの考えに非常に共感していまして、というのも
ゴッホと自分を比べるのもおこがましい話ですが)僕は大学を卒業してから
ずっとお金がなくて、24歳の頃から色んな人たちと共同生活をしてきたからです
(現在も山本くんと同居しています)。


そこで、去年、


国立新美術館で「ゴッホ展」が開催されていたので行ってきたんですよ。


そこでゴッホゴーギャンが共同生活をしていたアトリエの見取り図が
公開されていたんですけど、


それを見て衝撃を受けました。


ゴッホゴーギャンの部屋の位置関係がこうなってたんです。








この間取りは揉めるわ。




正直、ゴッホは相当アホですよ。




だって、ゴーギャンが深夜にトイレ行くとき、ゴッホ起きますからね。
ゴーギャンゴーギャン
「今、トイレ行ったらゴッホ起きちゃうかな……」
とか気遣いますし。

こんな間取りで共同生活がうまくいくわけないんです。




ただ、そんなことはどうでもよくて





この間取りから察するに、















ゴッホゴーギャンにオナニー見られたんじゃないかな。









オナニー事件

 


突然ですが、


ブログを再開させて頂くことにしました。


というのも、


つい先ほど、どうしてもブログに書かねばならないような出来事が起きてしまったのです。



―――思い起こせば、7年前。



楽天でブログを始めた日のことを思い出します。



あのとき僕がブログを書くきっかけになったのも


 


「自宅に帰ったら椅子の上に巨大なウンコあった」

 



という出来事でした。(実話です)


(もしこのブログが続くようであれば、あの出来事についてはもう一度詳しくお伝えすることもあるでしょう)


あの椅子にこんもりと盛られた巨大なウンコを見たとき

 


「この出来事を誰かに伝えなければならない」

 


そんな使命感に駆り立てられ


無我夢中でキーボードを叩きました。



そして今、


僕はまさにあのときのような使命感に駆りたてられながら、キーボードを叩いています。

 
 


事の発端は、



僕がアマゾンで本を買ったことにありました。



今回、僕はブッダ関連の本を数冊買ったのですが、



その本と一緒に



エロ漫画を買ってしまったんですね。



いや、これも僕が悪いというより100%アマゾンが悪いんですけど、



水野敬也さんにお勧めの本があります!」



とか勧めてくるんですよね。



さらに



「この本を買った人はこんな本も買ってます!」



とか勧められると、ついついそっちも見ちゃうんですよね。



で、僕の趣味はエロ漫画収集なわけじゃないですか。



むしろ本業はそっちみたいなとこあるじゃないですか。



分かる人にしか分からないと思うんですけど



「ANGEL世代」のど真ん中じゃないですか。



それで中学生の当時からずっと今に至るまで



世のエロ漫画というものに目を光らせてきている僕は



もう、分かるんですよ。



タイトル、装丁を含めた作品全体から発せられるオーラで



そのエロ漫画がどれくらいのクオリティなのか。



具体的に言うと、どれくらい抜ける代物なのか、



つまりは、



 
 
 


「抜ける」かどうか「見抜ける」男なんです。

 
 
 




で、今回買ったエロ漫画なんですけど、



ある作家の、初の単行本で



その作家については知りませんでした。



つまり、予備知識がほぼない状態で、



そのエロ漫画を買えるか、買うに値するか。



ちなみに、エロ漫画好きって言いましても、



やたらめったら買うわけじゃないんでね。



「エロ漫画ソムリエ」としてのプライドがありますから。



「外す」という行為はお金だけの問題じゃない。



僕の審美眼に関わる「心の死活問題」なんですよ。



そこで、1つだけあったアマゾンのレビューを食い入るように読んで
(4回ほど読みました)



そのレビューが内輪の人の書いたものなのか、そうでないのか



感情的になりすぎていないか、マニアックになっていないか



レビューをしている自分への陶酔はないか



それらの情報を整理分析した結果、


 
 
 


「GOだ」

 
 
 



と判断して、買ったわけですよ。




そんなにまでして買ったエロ漫画を差し置いて



誰がブッダ読めるんだって話じゃないですか。



それができたらもう悟り開けてるよって話じゃないですか。



だから速効でアマゾンのダンボール開いて



エロ漫画にまっしぐらに向かいましたよね。



そしたら、まあ、


 


「さすが、俺」

 


でした。

 


「見事、俺」

 


でした。


ちょっと早めの

 



「俺、オブ・ザ・イヤー」


 


でした。



まあ、完璧な当たり作品だったんですよ。



ただこういうことを書くと


「お前、タイトル教えろよ」って言われるんですけど


それは言えません。言えるかボケ。


こっちは良いエロ漫画にたどり着くまでにどれだけの金額と労力使ってるんだって話なんですよ。


エロ漫画ソムリエとして有料メールマガジン発行したいくらいの勢いなんですよ。



(※ただこういうこと書くと「水野の本の印税は全部エロ漫画に消えてる」みたいなこと言う人がいるんですけど、僕は車とかも持ってませんし、趣味も全くありませんし、寄付もしてるし、エロ漫画は基本中古品なんで、ってなんで俺がわざわざここで言いわけせんといかんの? いいじゃない、水野頑張ってんだから! エロ漫画くらい買わせてあげなよ!)


 
 



ま、というわけで漫画のタイトルは教えられませんが、



著者の方には直筆の手紙を送ろうと思ってます(マジで)。



こういうの大事なんですよ。


エロ漫画っていうのは、



はっきり言って、消費者の質も良くないですから。



アマゾンのレビューとか見てると、



分けわからんところホメたり、



良いところをけなしたりしてますから。



著者はそういうの見てますからね。



ダメな客に潰されたエロ漫画家何人も見てきてるんですよ、こっちは。



だからちゃんと直筆で



「主人公の男性が最初インポであるという設定にしたことによって、ここでの女性の行動にリアリティが出ていて素晴らしい」

「ここですぐに女性が感じ始めず、ぎりぎりまで抵抗したのは素晴らしい」



などと書くのです。


たぶん、通常のエロ漫画家の消費者たちはここまでやらんと思うからね。




良質なエロ漫画市場は、今後も水野が支えていきますよ。


 



まあ、というわけで



アマゾンのダンボールを開いて2分後にはズボンを降ろしていましたよね。



そしたら事務所の僕の部屋がノックされて、



Hっていう名前のアシスタントが入ってきて



僕は必死にズボンを引き上げたのですが



まあ、作品が素晴らしかっただけに、



その世界に没入していた僕は



完全にタイミングが遅れまして、



そしたらHもおどおどしながら


「今日飯僕作りますんで」


とか言って僕もズボン上げながら


「た、頼みます」


とか言ったんですけど、



もう空気がピリピリ来てるんですよ。



つーか、エロ漫画がそのまま机の上に出しっぱなしになってるんですよ。



僕はこのとき直感しました。



「あ、これは完全に見られたな」と。




 
 
 




―――僕、今年で35歳なんですよ。


 
 
 



しかも、見られた相手、親じゃないですよ。

 


アシスタントですよ。

 


事務所でオナニーするような男のアシストを、誰がしたいんだって話じゃないですか。

 


最初は




■ オナニーを見たHを口止めする




ということも考えました。



しかし、これは大きな危険が伴うということが分かりました。



というのも、秘密というのはゆくゆくはバレるものですし、



なによりこの口止めという行為を含めてバレてしまったら




「水野は部屋でオナニーをしていて、さらにその事実を隠蔽しようとした」




という、巨大な恥の上にさらに巨大な恥を塗り重ねる、もう、恥のスカイツリーですよ。



しかし、



しばらくすると



僕は、この問題が単なる恥ずかしさだけにとどまらないことに気づいたのです。



現在事務所では、今、僕だけ個室を割り当てられており、



他のスタッフたちは全員大部屋にいます。



そして僕たちは
「心地良いスパルタ」
をスローガンに


できるだけ長時間頑張ることを目標に仕事を続けてきました。




そして、




「部屋でオナニーする」という行為は



この信念に完全に反することになります。





すると、事務所の士気が下がり、




みんなが仕事をしなくなり



ゆくゆくは事務所が経営できなくなっていくということも



全然起こり得るのです。




オナニー倒産です。





僕は―――考えました。




その事態を防ぐために、



考えに考え抜きました。



 
 



まだ抜いてないのに、考え抜きました。


 
 



そして、一つの結論に達しました。




それは、過去の偉大な人たちすべてがこの選択をしたであろうと思われますが、



それは、



 
 


「正直に話して謝罪する」


 
 


ことでした。


変に取り繕おうとせず、間違っていたことを認めて謝罪する。


これしかないと考えたのです。



そして、それはHが他の人に言う前に、


自分の口から言わなければならないと考えました。



そこで僕はすぐに

 


「みんな集まってほしい。今から大事な話がある」

 


と事務所のスタッフ全員を集めました。



今までこんな風に皆を集めたことはありませんでしたので



事務所には緊迫した空気が漂いました。



1年以上事務所に来ているOが泣きそうな顔で言いました。



「もしかして、事務所、閉鎖とかですか?」



僕は言いました。






「それを防ぐために、みんなに集まってもらったんだ―――」





そして、僕はみんなの前で正座をし、拳を膝の上で握りしめました。


どうしてこんな年になってまで、



こんな恥ずかしい思いをしなければならないのか。



こういう思いをしたくなくて



俺は、ひたすらに頑張ってきたのではなかったか。



しかし、どれだけ小さくても、悪の火種は摘み取っておかねばならない。


それが、永続的に繁栄するための唯一無二の方法なのだ―――。



僕は自分にそう言い聞かせながら、震える声で言いました。




 
 
 
 




「実は……先ほど……部屋でオナニーしてました。すみませんでした――」



 
 
 





するとHが言いました。


 



「あー、そうだったんですか?」



 




―――え?




 



「いや、俺、水野さんの部屋入るの初めてだったんで、どこに座ってるかも分からなくて」



 



―――は?



 



「言われなきゃ分かんなかったですー(笑)」




 
 




茫然自失となった僕は、


ふらふらとした足取りで部屋に戻り、


椅子に座って頭を抱えました。




 
 
 




一体、これ、何?



 
 
 





一体、この出来事は何だったのか。



意味の無い逡巡。



そして、意味の無い告白。



神は一体、何の意図があって僕にこんなことをさせたのか。



ひたすら考え続けました。




すると、そのとき、頭の中で声が聞こえてきたのです。







「ブログ、書きなさいよ」






声は続きました。





「どうせスタッフ全員にバレちゃったんだから、みんなにバラしちゃいなさいよ。
 そしたら、いつか、君もこう思えるかもしれないよ。
『ああ、あのときオナニー見られたって勘違いして良かったな』って」




このとき、姿は見えませんでしたが、





僕にはこの声の主が誰なのかはっきりと分かりました。





 
 
 





ブッダです。



 
 
 




まだ1行も本を読んでませんが、



というかブッダの本は現在もアマゾンのダンボールの中に置き去りにされたままですが




あれは、間違いなく、ブッダからのメッセージでした。




そんな神の啓示を受けたこの日を記念して、




ブログを再開させていただこうと思います。




今後ともよろしくお願い致します。