《批評誌》アラザル2009年12月6日




  アラザル vol.3』



  


 アラザル3・掲載論文




 拙著「現代小説解読講義:柴崎友香『その街の今は』」



 執筆のプロセス


 12 月21日から店頭販売開始 !!!!!



 ジュンク堂書店新宿店でも販売しています。



 






アラザル同志の西田博至さんが文フリで配布したFP用に著者インタビューをしてくださいました。このインタビュー記事は私自身もすごく気に入っているので転載させて頂きます。


   阪根さんはもともと建築をやっておられた。小説もあまり読まなかったそうですが、柴崎さんの小説は、最初に読んだときから、バチッときました?


はい。たしか『フルタイムライフ』を初めて読んだんですよ。古谷利裕さんのブログで知って。いわゆる物語らしい物語がなく、淡々とした日常が淡々と書かれていると言われていました。読んでみて確かにそうなんですけどね、ちゃんと世界が立ち上がってくるというか、きちんと伝わってきました。



   柴崎さんの小説に於ける世界の立ち上がりかた、と云うのは、それまで親しんでこられた建築書や哲学書では、まるで感じられなかったもの?


書物としてはあまり経験なかったのですが、自分が作ろうと思っていた建築のイメージにすごく近かったんです。僕が学生のときは、まだ自分で手が動かないし、もともと美大の人みたいにデッサンとか訓練してませんから、自分でデザインを立ち上げるのはすごく時間がかかるし、その時間に耐えられない。だから作品集を見て、これがカッコイイと飛びつく訳です。


初めは月並みですが安藤忠雄でした。でも東京の学生にはあまり人気がなかったんです。はやっていたのは妹島和世伊東豊雄です。海外だとレム・コールハースヘルツォーク&ド・ムーロン。だいたいこのあたりをネタ元にみんな一丁前につくる訳です(笑)。


で、ぼくも一度課題で妹島さんっぽいのを作ったんです。全面ガラスで細い柱があってという感じで。空間構成は結構面白くできたと思います。でもね、生理的に合わないんですよ(笑)。これには住めない、住みたくないって(笑)。 それからコールハースっぽいのもやって、これはアーバナートでスポンサー賞獲ったんですよー。結構コテコテ作りこんだし、それでOKなんで生理的にはよかったです。 ただこの頃は学生の勢いでちょっとアートっぽくなりすぎてインスタレーションになって、建築から離れちゃったんです。で、しばらくは作らずに、学校出る頃になって、自分がどういう建築を作りたいのかをもう一度考えたんです。それで興味を持ったのがルイス・カーンで。


もともと僕は手が動かなくて頭で作ってたから、だったら本当に哲学で作ってる人いないかなって思って引っかかったんです。伊東さんや妹島さんはやはりデザインが面白いけど、思考というか、哲学レベルの思考がめちゃくちゃ面白いのがカーンで。それで頭から入ったのだけど、カーンのつくる住宅はすごくいいんです。この家住みたい!って思った(笑)。で、渡辺明さんの事務所へ勤める頃には、奇抜なデザインとか、新しさだけを求める気持ちはほとんど冷めていて、ほんと基本に戻って、ちゃんと図面引いて、ディテール書いて、それで住みたいって思える建築を作りたいっていう、かなり保守的なところにおさまっていたんです。


それでこの話はまとめに入るけど、デザイン的に奇抜だとか、新しいとか、アルゴリズムがどうだとか、その方面はもうタッチする気持ちはなく、僕は「ああ、ここに住んで気持ちいい」っていう感覚を追求しようと思った。建築では失敗したけど、その気持ちは今でも持続していて、すごく分かりやすい話になっちゃったけど、それで読み始めたのが、柴崎友香さんだったり、保坂和志さんだったりで、現在もこのラインが軸です。それで、柴崎さんの小説もなんでもないように書かれているけど、ちょっと深読みしたり分析して考えると、けっこうすごいことやってるんですよ。これは僕が建築していたときの実感にすごく近くて、出来あがった建物って、デザインが奇抜でもない限りホント存在感ないっていうか、せいぜい「なかなか綺麗な建物やなー」って思われるぐらい。でもすごい図面書き込んでいるし、実際に住んでもいいって思える建築って、才能と技術がある人じゃないとやっぱりできないんです。今回の柴崎さんの論考は、そういうところを書きたかったし、今後ほかの作家を論じる際も同様だと思います。ま、あまり「どうだ!すごいだろ!」って言い過ぎるのも逆効果なので、そのあたりはうまいことやりますけどね(笑)。

その街の今は (新潮文庫)

その街の今は (新潮文庫)










  《其の一》

 アラザル vol.3』





 12 月 6 日(日) ON SALE !!!!!



 @《第9回文学フリマ




  《其の二》

 アラザルブースはここだ!!!!!




 




  《其の三》

 アラザルvol.3の全貌???



 アラザル3・コンテンツ!!!!!


 アラザル3・発売前速報レビュー!!!!!




  《其の四》


 《小説》も同時発売!!!!!


  黒川直樹




『ALTAのミラーと、夜のマネキンを361体ください。エクステンションはMPEGで。』


  



    限定500部 release !!!!!





 ジュンク堂書店新宿店でも販売しています。