まみ めも

つむじまがりといわれます

中島敦(ちくま日本文学12)

38年あまりの人生でかつてないほどメイク熱があがっているわけは、松井力のYouTube動画と@yesyesyoungのツイッターに感化されているからなのだけれど、資生堂のカウンターコスメよりもキャンメイクのプチプラコスメにときめいてしまうのはやっぱり身の丈の問題なのかもしれない。ドラッグストア通いがたのしく珍しく毎日のようにお化粧をしている。ちょっとだけ鏡の中の自分の顔が華やかになるのはちょっとした魔法。鏡の中の顔が疲れていないとほっとする。くたびれることがたくさんありすぎる。
なぜ蝉はぼろぼろ死ぬのこんなにもスギ薬局のあふれる町で 岡野大嗣
スギ薬局のポイントでなにをもらえばいいのか最適解をだれか教えてほしい。

中島敦 (ちくま日本文学 12)

中島敦 (ちくま日本文学 12)

ト。

名人伝
山月記
弟子
李陵
狐憑
木乃伊
文字禍
幸福
夫婦

マリヤン
盈虚
牛人
巡査の居る風景
かめれおん日記
悟浄出世
悟浄歎異
和歌でない歌
河馬

中島敦欲もさすがにかなり満たされた。こんなにも知性にあふれ成熟しているようで、かめれおん日記では鬱々とした心情を吐露している。
「実際、近頃の自分の生き方の、みじめさ、情なさ。うじうじと、内攻し、くすぶり、我と我が身を噛み、いじけ果て、それでなお、うすっぺらな犬儒主義だけは残している。こんなはずではなかったのだが、一体、どうして、また、いつ頃から、こんな風になってしまったのだろう?とにかく、気が付いた時には、既にこんなヘンなものになってしまっていたのだ。いい、悪い、ではない。強いて云えば困るのである。ともかくも、自分は周囲の健康な人々と同じでない。もちろん、矜恃をもっていうのではない。その反対だ。不安と焦躁とをもっていうのである。ものの感じ方、心の向い方が、どうも違う。みんなは現実の中に生きている。俺はそうじゃない。かえるの卵のように寒天の中にくるまっている。現実と自分との間を、寒天質の視力を屈折させるものが隔てている。直接そとのものに触れ感じることが出来ない。」
いじけた心のうちを表現する筆致にまったくいじけたところがなくて、この突き抜け感はおそらく誰とも共有できないさみしさをはらんでいたのだろうな。俺のいたはじっこの世界の片鱗が覗かれるような洗練された世界。