トランジスタティーセット〜電気街路図〜 2巻

街に歴史あり、人にも歴史あり。


生まれも育ちも秋葉原、電子部品屋を営む現役女子高生の見る秋葉原の歴史。
新旧色んな形で描かれる秋葉原と言う街の魅力に溢れた本作。
待望の2巻が発売&ドラマCD化が決定です。
いやー、秋葉原って本当にいいものですねー。
これまで自分が見てきた部分、これから見るであろう部分、
どこを取っても氷山の一角なんだと気付かされるほどに奥が深いです。
足繁く通う街でも知らないことだらけで、
恐らく全てを知るのは一生無理なんだろうなぁ・・・
日々変化し続けてますし。
変化を象徴するように新キャラも二人登場して、

ロボコンものに進んでしまうのか!?なんて思わせてくれたりもしました。
この二人の拠点が南千住ってことらしいけど、
ちょうど初登場の回を読んでた時点で南千住を通ったのは何と言う因果でしょうか。


舞台が秋葉原と言う、萌えの発祥地とも言える場所でありながら、
本作で語られる姿はその要素をあまり感じさせず、
文字通りの電気街であり、闇市から成長した姿であることを今回も感じさせてくれます。
今現在、アキハバラデパートがあった駅も再開発工事が進み、
老舗喫茶店の古炉奈が閉店したりと、
ラジオセンターとかガード下に見る古き良き景観は大分少なくなりましたが、
それでも一歩奥へ踏み出せばこんな異世界のような世界が広がってるんですね。
1巻では旧交通博物館万世橋駅だった頃の話なんかもありました。
今回は駅前がバスケとスケボーに興じる若者に溢れていた頃の話もありました。

街って生きてるんだ。
自分が知ってる10年あまりでも相当変わりましたよ。
そしてこれからも変わっていくんです。
作中エピソードでは世間からはオタクの街としてしか見られていないことを示唆するところもあるけれど、

紛れもない一つの姿であり、『今』そのものなんだなぁと。
最近ではダイビルUDXのようなオフィスビルが建ち、
紳士服のアオキも中央通沿いに進出してきました。
10年後、この街は
一体どんな姿を見せてくれることになるんでしょうね。


街だけではない、この街に住む人たちも一癖も二癖もあります。
そもそも主人公のすずからして、現役女子高生でありながら
店も営むようになった細かい経緯って不透明な部分がありましたからね。
中学時代のエピソードで一部が明らかになりますが、
親と交わした約束って一体何なんだろう・・・
今後登場するかもしれないすずの父親絡みで重要な要素に思えますが。
と言うか、微妙にスレてた中学時代に驚きです。

サバサバした媚びてない性格って昔からだったんだなぁ。
同じく謎が多いと言う点ではすず以上であるみどり。
海外にいた10年余りの間に何があったんでしょうね。
何かしらのビジネスを学んで成功した風を吹かせてますけど。
実は世界的な投資家兼社長なんでしょうかねぇ。
キリコとエミ太に提示した時給額は一体いくらだったんでしょうか。
まさか1000円ってことはないだろうし、最低でも2000、もしかすると5桁かも・・・
未だ詳細が不明な謎の女性が1巻で初登場したときに言った『ご主人様』って台詞、

皮肉じゃなくてガチだった?


色々な側面から見ることができる街の姿など、
ノスタルジーに浸れる一方、しっかりと押さえるべきところは押さえてます。
はんだ付けをしながらはんだが溶けて液化・昇華する匂いにエクスタシーを感じたり、

メイドにコブラツイストをかける小学生って何てマニアックな・・・