Hatena::ブログ(Diary)

青空学園だより

2016-06-24 イギリスのEU離脱 このエントリーを含むブックマーク

イギリスの国民投票でEU離脱への投票が過半数を超えた.今後,EUと現イギリス政府との間でどのようなやりとりになるかはわからないが,欧州の統合という方向が崩れることはまちがいない.また,スコットランドはもういちどイギリスからの独立をすすめ,スコットランドとしてEUに残ろうとするだろう.北アイルランドでもイギリスからの独立を求める声がこれまで以上に深まるだろう.こうして大英帝国は解体してゆく.

EUとはドイツの独占的な金融資本が,フランスなどの資本と組んで欧州を自らの小帝国として支配し,資本主義を少しでも延命しようとするものである.今のEUは実質的に,独仏英伊などの有力諸国の首脳の間の非公式協議で,重要政策が正式提案の前に決まってしまう非民主体制である.あるブログで教えられたのだが,EUの前身であるEC(欧州共同体)について堀田善衛はその「幹部たちのほとんどは旧貴族です。つまり、旧貴族の子弟たちが、今ではECをすべて取り仕切っているということになります。」(堀田善衛著『めぐりあいし人びと』集英社、1993年)と書いているそうだ.このEUの支配層をさらに産軍複合体が裏であやつる.このようなEUに,イギリス国民が怒ったというのが,ことの半面である.

もう一つの面は,いわゆる難民問題とそれを受け入れる余裕がなくなっているという経済の現実である.昨年2015年になって,西洋世界の難民問題が一気に表に現れた.個別の政府の対応という問題をひとまず置いて,難民問題の根本の原因を考えると,それは,800年におよぶ西洋の非西洋に対する収奪の結果として社会的な基盤が崩れた地域からの,生きるための大移動であることがわかる.奴隷貿易とその後の植民地支配によってアフリカ各地の社会基盤は大きく崩れ,それは今も続いている.また,第1次世界大戦後,欧州の支配者は中近東に各地域の複雑な民族の分布を無視して直線的な国境を引いた.分断支配が彼らの基本である.いずれもが,欧州世界の利益のためになされてきたが,その結果として,今日,難民問題が広がっている.

かつて,紀元300年の頃,ゲルマン民族の大移動があった.北方のゲルマン民族が地中海世界に進出したのである.そしてそれはさまざまの経過をたどったが,ローマ帝国の崩壊と古代世界の解体をもたらした.難民の大移動は現代のゲルマン民族大移動である.この大移動は,西洋資本主義世界の何らかの解体をもたらさざるを得ない.

このように,イギリスのEU離脱の背景には,資本主義の終焉という歴史の避けがたい趨勢がある.資本主義とは中心部が周辺部を収奪しながら拡大するシステムそのものであり,拡大・成長は資本主義の存在条件である.ところが地球は有限である.もはや現実に拡大する余地はない.したがって,拡大のシステムとしての資本主義は終焉する.

このとき,まず起こるのは民族主義,排外主義の台頭なのである.拡大し得ない以上,ものを分けあい循環させてゆくしかないのであるが,その前にまず取り合いが起こる.それが現在の民族主義,排外主義である.イギリスの今回の決定もこの排外主義が基調にある.アメリカではそれがトランプ人気になって現れている.イギリスの離脱派のある指導者と,アメリカ大統領候補トランプとなんとよく似ていることか.

移民反対の排外主義と,強欲なドイツなどの資本に利用される現在のEUへの怒り,この両面があわさって今回の離脱決定となった.

前にも書いたが,今日,唯一拡大しうる分野は兵器産業である.資本主義は戦争で儲けるしかなく,紛争をあおりファシズムに走る.現代世界の紛争はこのファシズムが作りだしたものである.現代資本主義の中核はアメリカ産軍複合体である.彼らは,東アジアにも緊張を生みだし,日本の防衛大綱も改定させた.尖閣問題もこの産軍複合体の手の上でのことである.しかしこの紛争をあおる方法は,さらなる難民を生みだし,西洋世界の解体を加速させる.

客観的な事実として,またどれだけの時間がかかるかは別にして,帝国アメリカは終焉に近づきつつある.今回のイギリスのEU離脱は,実は帝国アメリカ崩壊の現実過程の序章となるだろう.

日本の安倍政府は,一見民族主義の装いを取りながら,その実,国民の金融資産を株式市場などにつぎ込み,そこを通して産軍複合体に売り渡し,政治的にも彼らのおこす紛争を小間使い的に引きうけようとする売国政府である.参院選がどのようになるかはわからないが,アベノミクスはIMFからさえ,その破綻を指摘されている.IMFアベノミクスの目標「達成困難」…報告書日本は「アベノミクス」を放棄するべきだ―IMF日本ではほとんど報道されないが,これが事実であり,この経済政策の破綻が広まれば広まるほど,逆に改憲を推し進めて権力を維持しようとするだろう.しかし,このままでは,日本自体がアメリカに先立って崩れてゆく.

歴史は大きく動いている.われわれの側からする歴史の趨勢は,経済第一から人間第一への転換である.民族主義や排外主義を乗りこえ,ものを分けあい循環させながら万物が共生する世を生みだしてゆく.破壊のなかから建設されるべきものは,固有性と普遍性が統一された人間の生きる場である.人間原理にもとづく新しい世が,崩壊する帝国のもたらす混乱と混迷からの活路である.

2016-06-05 市民と野党の共同アピール このエントリーを含むブックマーク

f:id:nankai:20160605113603j:image:w260:right3日金曜日,夕方,西宮北口からすぐの広場であった,「市民と野党(5党)の共同アピール集会に行ってきた.この集会の案内そのもは5月3日にもらっていた。このような野党や関連する人々の取り組みが,日本の各地で行われているのだろう.ここには新社会党緑の党まで主催者になり,知りあいの緑の党の市会議員もスタッフの腕章をしていた.

この集会の詳しい様子は,うえにリンクしたIWJの録画を観てほしい.100人に満たない集会であったが,地元の関西学院の学生もふくめて,多くの人が語っていた.行ってみると,地元の知りあいの共産党系の夫婦,解放教育運動の昔の教員時代の知りあいの元教師,また別の西宮の市会議員などなど,昔なら同じ所にいるはずのない人らが集まっていて,やあやあとあいさつをかわす.こういう時代になってきたのだと思う.

日本の安倍政府は,福島の核惨事をまさに利用して,資本主義のゆきづまりをアメリカの指示のもと,ファシズムでのりこえようとしてきた.発売中のサンデー毎日6月12日号には,スノーデンの独占インタビューが掲載されていることを天木さんのブログで知った.その中で,スノーデンは「日本で近年成立した特定秘密保護法は、実は米国がデザインしたものです」と語っている.まさにアメリカの指示である.

それでも根底にあるのは,アメリカが,崩壊しつつある今日のローマ帝国という,避けることの出来ない客観的事実である.そして崩壊しつつあるこの帝国アメリカに従属し尽くすことしか他に道のない日本の支配層,それに操られた安倍政府である.これに対し,日本の若者から老人まで世代や社会的位置をこえた,反ファシズムの運動が,大きく立ち現れてきた.今はその渦中である.この運動はもとより多くの課題をもち,また選挙を主眼にしていても議会主義の枠の中では収まらないものであるが,しかしまた一歩一歩段階を追わねばならないこともまちがいない.必要な歴史段階を観念で飛ばすことは出来ない.それで,このような新しい運動にには,4月以来何かと多忙であるが,出来るだけ出かけるところへは出て,昔の知りあいたちと議論をするようにしている.

f:id:nankai:20160607131921j:image:w160:leftf:id:nankai:20160607131917j:image:w160:right追記:2冊の本を読んだ.一つは,矢部 宏治著の『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』である.もう一つは,植草一秀岩上安身川内博史・木村朗著の『米国が隠す日本の真実〜戦後日本の知られざる暗部を明かす』である.いずれもが,日本の現実を通して今日の世界の実際を暴くものである.5月3日に「今日,唯一拡大しうる分野は兵器産業である.強欲資本主義は戦争で儲けるしかなく,紛争をあおりファシズムに走る.現代世界の紛争はこのファシズムが作りだしたものである.」と書いたが,安倍政治がまさにそのもとでアメリカの最後のあがきに従属追随しようとしていることが事実で以て書かれている.

客観的な事実として,またどれだけの時間がかかるかは別にして,帝国アメリカは終焉に近づきつつある.帝国は戦争によって解体する.ベトナム戦争,イラク戦争,アフガン戦争,この戦争が帝国アメリカの崩壊のはじまりであった.さらに経済戦争である.政治力,軍事力を背景に基軸通貨としての優位性を最大限に用いて,新自由主義の弱肉強食拝金主義経済を進めてきたアメリカの方法は,実はそれしかなかったのである.しかし土台において国内産業は衰退の一途をたどり,いまや軍需産業と情報産業しか優位性はない.

帝国アメリカは現代のローマ帝国,崩壊過程に入ったローマ帝国である.アメリカとの関係は,崩壊しつつある帝国との関係をどのようにするのかという問題である.帝国アメリカを率いてきた産軍複合体の力は今しばらく強大である.東アジアにも緊張を生みだし,日本に戦争法も作らせた.

自民党は,かつての自民党ではない.アメリカのもとで軍を世界に展開しようとするファシズムの党である.もとよりマスコミもこの本質を伝えない.かつて自民党に投票してきた層が同じ考えのまま変質した自民党に投票する.搾取・収奪のためのあらゆる合法的方法がなくなったとき,資本主義はその維持のためファシズムを登場させる.それが9.11以降の世界である.そのことも詳しく述べられている.

広島・長崎・福島を経た我々にとっては,アメリカから独立するかどうかの問題に終わってはならない.アメリカ問題は人類全体の問題である.原発の問題もまた,原発に依存しないエネルギーを開発して原発を止めると言うだけの問題はない.アメリカの核戦略に対して核兵器の本当の廃絶という問題である.つまり,日本において顕在化した諸問題の根拠を遡ると,アメリカの存在や核兵器の存在をそのままにして,日本だけが脱原発しアメリカから独立するという問題ではないことがわかる.

八〇〇年の経済を第一とする西洋の時代のその行きついた果てが,帝国アメリカである.人間原理にもとづく新しい世が,崩壊する帝国のもたらす混乱と混迷からの活路である.これ以外にない.新しい世をどのように生みだすのか.ここに人類がかかえる最大の問題としてのアメリカ問題がある.ここにまたアメリカからの独立という問題の真の意味がある.原爆と核惨事を経験したわれわれは,アメリカ問題の当事者である.この立場と観点をしっかりもって,深く掘り下げることが必要だ.それなくして対米自立もまたありえない.等々考えさせられる本であった.

umryuyanagi104umryuyanagi104 2016/06/07 17:22 こんにちは〜♪
公私共にとてもお忙しいご様子、お体の具合はいかがですか?
回復は順調ですか?

nankainankai 2016/06/07 22:59 ありがとうございます.

体の方は,年相応に疲れを感じるときもありますが,何とかなっています.年に一度の健康診断で,昨年も再検診の項目がありましたが,それもクリアーしました.

昼間は地域にいるので,暇人と思われていますが,あいかわらず夜3日授業をしています.気分転換をかねて問題づくりもやっていますが,なかなか切替が難しいです.

大きく変わりつつある住宅街の自治会の代表をしていて,なかなか気の休まるときがありません.

しかしまあ,いろいろすることがあるのもそれでいいではないかと,やっています.

umryuyanagi104 さんもどうかお元気にやってください.金沢に行く時間が出来そうにありません.

numapynumapy 2016/06/10 11:43 おはようございます。
お元気そうで何よりです。
それにしても世界はどこへ行くんでしょう?日本は?
参院選で、改憲組は3分の2を超えるかもしれない。
それが何を意味するのか、改憲支持の人たちは
イマジネーションが欠落してますね。

nankainankai 2016/06/11 09:24 世界は大きな混沌をくぐらなければならないのか,とも思います.

欧州の難民問題は現代版ゲルマン民族大移動ですね.昔のゲルマン民族大移動がローマ帝国を崩壊させたように,難民問題は西洋世界を大きく変えるのではないでしょうか.

その中で日本は非西洋で最初に資本主義になったところです.その経験を踏まえれば,もっと独自の役割を担えるのですが,逆にこの西洋世界に従属して,あるいはその先頭に立たされて,最初に崩壊しかねない現状です.

今の日本は,学校も地方議会も行政も、もちろん国家官僚も,大きく土台のところで腐っています.ファシズムか否かの分かれ目が迫っているようです.それぞれの立場で,やつらを通すなと,やってゆきたいです.

2016-05-04 兵庫憲法集会 このエントリーを含むブックマーク

f:id:nankai:20160504094049j:image:w260:right昨日は「戦争させない、9条壊すな!5・3兵庫憲法集会」にいってきた.主催は「戦争させない、9条壊すな!5・3総がかり行動兵庫県実行委員会」である.尼崎で活動しているHさんが誘ってくれた.2時過ぎに三宮の東遊園地に行くと,舞台で中川五郎さんが歌っている.懐かしい名前である.昔,京都のベ平連にいた頃よく名前を聞いた.歌も聞いたような気がする.その声をもういちどここで聞くとは.

昨年まで,5月3日の兵庫の集会は,社会党系と共産党系が別々にやっていた.今年初めて一緒にやった.参加者は11000人.神戸集会としては多い.それで参院選にでる民進党と共産党の候補があいさつしていた.それから前広島市長の秋葉忠利さんが話をした.それからSEALDs関西の関西学院の学生が話した.

f:id:nankai:20160504094040j:image:w260:left最後に安保関連法案に反対するママと有志の会@兵庫の人が話した.この日の話しのなかで,唯一心に響くものであった.二歳の子がいる.生まれたとき,子どもは母親を無条件に信頼している.それを実感した.大人を信頼する子どもを裏切ってはいけないと思った.しかし今世界では,どれだけ多くの子どもが戦火の下にあるか.そして昨年の集団的自衛権と戦争法の問題が起こった.いても立ってもいられなかった.このようなことを話した.集会が全体としては参院選に集約されてゆくなかで,この人の話しは,自分の生活と存在に深く根差したかたちで闘いを展開しようとしていることがわかった.

自分自身の経験を踏まえて自分の言葉で語ろうとしていていた.その声は、民主主義とか立憲主義とかのいわば資本主義の発展期の理念を述べながら,その実,それを遙かに超えて,資本主義の人間性否定を告発するものであった.この数百年、奴隷貿易から植民地支配,そして産業革命から近代資本主義の時代,さらにその資本の論理が徹底された新自由主義の時代,人間は経済のための資源とされてきた.1970年代,日本の教育分野でも「人的資源の開発」という思想が浸透し,それは日本社会そのものの支配的な思想となった.しかしでは資本主義はさらにこのまま展開しうるのか.そうではない.地球は有限である.資本主義は拡大し続けなければ存在しえない.よってそれは終焉を迎えざるを得ない.

f:id:nankai:20160504094027j:image:w260:right今日,唯一拡大しうる分野は兵器産業である.強欲資本主義は戦争で儲けるしかなく,紛争をあおりファシズムに走る.現代世界の紛争はこのファシズムが作りだしたものである.しかし軍需産業以外にもはや拡大する分野をもたないこと自体が,資本主義の終焉を指し示している.ママの会は昨年9月14日、国会前スピーチで「武器輸出を国家戦略として進めるべきだと経団連は提言しているが、そんな血みどろのやり方でしか経済を持ちこたえさせられないのであれば、そんな経済はいらない!」と発言している.この言葉は,資本が人間を資源として使う段階から人間が経済を方法とする段階への転換の内実を語っている.

参院選が目前の課題となり,運動が選挙に集約されつつある.しかし選挙は一つの方法であって目的ではない.大切なことは,資本主義の終焉期に現れるこのファシズムに,こちらの人間原理で対抗し,それに代わる世のあり方を模索することだ.崩壊する帝国はファシズムをまき散らし,世界に惨禍をもたらす.やつらを通すな!

この四月,仕事と地元の諸々でいろいろ忙しく,あまり外に出られなかった.五月もそうなる.久々に出て,いろいろ考えさせられた次第である.いちど家に戻り,それから授業に出かけた.

hatehei666hatehei666 2016/05/04 23:35 なるほど資本主義の最後の悪あがきが、拡大可能な兵器産業だという事ですね。
その主要な兵器産業トップクラスに不祥事が多発しています。三菱重工業とか東芝。そこに入る受験トップのエリートたちは、殺される弱者の事に想像力を働かせる事がありません。
日本は最適者生存の進化論が幼い時からの教育で幅を利かせており、西欧に比べてもずば抜けてその傾向が強い事を最近知りました。

nankainankai 2016/05/05 08:57 国産初のステルス戦闘機と言ってますが要するに兵器です。またこの秋には「テロ対策特殊装備展」がひらかれるとか。テロ対策特殊装備の日本のセールスマンが世界をまわっています。
http://www.seecat.biz/guideline/
まさに経団連は武器商人になりつつあり、武器輸出がテロ対策を名目に許される。
われわれの側も、そこを踏まえた闘いが必要な時代になりました。

numapynumapy 2016/05/09 08:50 おはようございます。
パフォーマンス仕立ての「プーチン・アベ会談」で語られなかった
北方領土問題を手の届く距離から見れる知床旅行から戻りました。
やはり、粘り強くパフォーマンス政治を監視せにゃならんと、
ブログ、再開しました。

nankainankai 2016/05/10 16:46 知床へ行かれたのですね。
やはり旅は,いろいろなことを考えさせてくれますね。
http://xn--nyqy26a13k.jp/archives/16757
こういう記事を見ると、安倍政治が、日本のなれの果てという感じですね。

Rokusaisha matsuokaRokusaisha matsuoka 2016/05/29 13:45 お元気のようで何よりです。また先日『NO NUKES Voice』8号を出しました(5月25日発売)。そこで、笠井潔さんがブランキについて語っていたことに関連し、かの『季節』について触れました。先日東京の「たんぽぽ舎」での会議で、青森で反原発運動をやっている方が来ておられ、かつて『季節』を購読していたということで打ち解けました。その後も連絡取り合っています。時々『季節』を読んでいた、持っているという人に出会います。

nankainankai 2016/05/29 20:39 松岡様

コメントありがとうございます。
本棚には『季節』4号「社会主義と民族問題」があります。エスエル出版の時代のものですが,世界的に極右民族主義が一定の勢力を持つこの時代に,「資本主義の終焉と民族問題」で語るべきことが多いようにも思われます。

私は,最近は地元の自治会の諸々と自分の仕事が忙しく,このブログもあまり更新できていません。

いつか機会がありましたら,お会いしたいものです。

2016-04-14 春の盛りに このエントリーを含むブックマーク

f:id:nankai:20160414221830j:image:w200:leftドイツから戻って2週間が過ぎた.日本から見れば北国のドイツ中部,そこから一気に春のなかに飛び込んでの2週間だった.春期の授業をすべて4月に回してもらっていたので,それをこなし,また原稿作りも遅れていたのをとりかえすために時間を見つけて考え,そして地元の諸々のことごとが重なり,まったく休みなくほんとうに忙しかった.

この10日の日曜日は地元の公園で自治会の花見会をした.まさに花曇り,寒くなく日照りも強くなくて,散りはじめた桜のもとでの懇親会となった.尺八を吹いてくれる人,昔話を語り聞かせる人などいて,桜の花びらの中,ひとときの風情にひたっていた.

f:id:nankai:20160414221814j:image:w260:rightそして翌日の雨で桜も散り,花海棠(左上)も終わった.射干の花(右上)はまだ当分咲き続ける.藤が芽をふくらませ,またバラも咲き始めている(左下).こうして季節はうつる.土曜日の自治会総会の議案書の作成も終わり,原稿仕事も一式送信して,一段落である.

この2週間,拡大を旨とする資本主義の時代がいよいよ崩れはじめたと考えざるを得ない現象が続いている.アメリカ大統領選挙を通して,アメリカが,立て前としての理念さえ,もう失っていることをさらけ出した.言っていることはトランプ候補の方が現実を踏まえている.共和党茶会派の候補やクリントンは,これまでの世界の警察となることで軍需産業が巨大な利益を得てきた体制に,その現実が崩れているなかで,しがみつこうとしているように見られる.

f:id:nankai:20160415112725j:image:w260:leftそして,それ以上に理念を失っているのが,日本保守政治とその経済政策である.日本の株はもはや市場の原理では動いていない.午前中年金をつぎ込んで株価を上げ,午後売り浴びせられて下落.売ったのは,ファンド,いいかえれば軍産複合体金融部門.言いかえると,日本国民金融資産そのものである年金原資をそっくり軍産複合体に貢ぐ.これが続いている.

現代が大きな歴史の転換期であることを,メルケルもプーチンもあるいはオバマも,それぞれの立場で認識し,そのうえで,どのように進むのか,それぞれが立脚する立場で考えている.この認識がないのが日本首相の安倍である.このままでゆけば,日本が引き金となって再び大きな経済の崩壊の時がこざるを得ない.かつて帝国主義の時代に,非西欧で最初に資本主義を導入し,そして軍国主義帝国として侵略戦争をおこない,そして敗れた日本が,それを教訓とすることができずに,そしてまた,二度の原爆と福島の核惨事を教訓とすることができずに,再びの道を歩みはじめる.今日の条件の下では,いずれそれは崩壊する.それは資本主義の終焉を現実に告げる出来事となるだろう.

f:id:nankai:20160328211151j:image:w260:right私は,この転換期の意味は,経済を第一とする段階から人間を第一とする段階への転換と考えている.経済は,人間が尊厳をもって生きるための方法であり手段であって,それ自体が目的となることはあってはならない.資本主義は終焉する.その意味は,人間が資本主義を手段として使うということである.資本主義を使う人間の登場,それが南欧の人々の闘いであり,99%を標榜する占拠運動の人々であり,日本の新しい若者の運動である.彼らにまだその自覚と目的意志はないにせよ,客観的にはそれが歴史の求めることである.

昔のように,党がありそのもとで労働者が闘いという時代はもう終わっている.一人一人が,自分は何者かを問いながら,その場でなし得ることをする.そして現代の情報技術を駆使して,それが横につながり,世を動かす.日本もドイツもそういう時代に入っている.

ドイツにいる間に,ギーセンという町にある数学博物館(右下)に行った.数学の裏付けのある子供むけの遊具が各階にあるということであるが,それを見ていて,いろいろ考えさせられた.それもあって,青空学園のいくつかの制作物を増訂したい.そう考えるようになっている.何とか規則正しい生活を取りもどして,毎日少しづつ積みあげたい.そう考えながらなかなかできないのであるが,やはりこのように数学という普遍性を日本に根づかせようとしてきた人間,この自己の土台に立ちかえって,これからもやってゆきたい.

numapynumapy 2016/04/15 05:03 おはようございます。
お帰りなさい!確かに資本主義は行き詰ってますね。
世界一貧乏な大統領「ムヒカ」の言葉が身に沁みます。

nankainankai 2016/04/15 11:34 ムヒカの言葉は,経済に縛られるな.「富に執着するあまり絶望に駆られる人生を送ってほしくない」ということで,まさに,経済第一の時代に,「ささいなことではあっても人間にとって本当に重要なもの」を大切に,と言っています.ほんとうに身に沁む言葉です.

hatehei666hatehei666 2016/04/16 21:47 内田樹さんは、安倍政権が「金儲けのための国家」を目指していると言っていましたが(『街場の憂国会議』)、そんな国は長続きする筈がありませんね。

nankainankai 2016/04/20 14:33 「金をアメリカに貢ぐ国家」ですね.年金資金で株価を押し上げ,そこで国際金融資本が株を売って,その金をもってゆく.この間どれだけの年金資金が流出したか.
これは長続きしないし,一日も早く終わらせることが,それだけ犠牲を少なくすることだと思います.

2016-03-28 ドイツ滞在・下 このエントリーを含むブックマーク

f:id:nankai:20160328080028j:image:w200:leftf:id:nankai:20160328080029j:image:w120:rightケルンのライン川沿いの店で昼食をとったときに,スペアリブを注文すると,このように皿いっぱいのフライポテトと大きなスペアリブが2個,ぼんと出てきた.これとビールで昼飯とすれば,確かに,食べ過ぎである,野菜炒めも量が多い.これが普通の店で出る量だとすると,ドイツ人は日本よりもカロリーの取り過ぎではないか.

ワインも安い.写真はいずれも2ユーロ,240円ほどの白ワイン.ワインの味のわからない私には、十分うまい.ビールとワインは日本よりずいぶん安いように思う.

そういうつもりで町ゆく人を見れば,お腹が出ている人が多い.女性も,若い人でも,大きな人が多い.それと,たばこを吸う人が多い.吸い殻は道に棄てる.日本のように基本的に禁煙で,喫煙は定められたところで,とはなっていない.禁煙駅と表示のあるその目の前のホーム上のベンチの下は吸い殻だらけ.

f:id:nankai:20160328080026j:image:w200:leftf:id:nankai:20160328080027j:image:w360:rightビールとたばこと,これについて,もう少し摂生しようという風潮はまだ一般的ではないようだ.その一方で,先週の木曜日にマインツの町にいったが,そこで開かれてる青空市場は.じつに多くの野菜や蜂蜜と果物である.スペインなどからも運んでくるようだが,週に3日開かれる市場は有名である.どの町にも自然食品や有機野菜の店がある.これまで通りの食生活が多数を占めるなかで,それとは違う食べ物を求める人も出てきているのは.日本と同じである.

2016年は3月27日がイースター,つまりは復活祭.土曜日に買い物をしておかないと日曜・月曜と,ほとんどの店が閉まる.27日に隣のニーレンベルグの町を歩いたが,ほんとうにどこも開いていない.唯一,駅の向かいの,中華料理・ベトナム料理・モンゴル料理のアジア料理店だけがイースターは関係ないと開けていた.そしてそこは結構大きな店なのだが.ほとんど満席であった.ということは,イースターは自宅で,ともなっていないのだ.

f:id:nankai:20160326221323j:image:w360:left自動車道路沿いを歩くと,包装紙や空きカン,ポリの容器などが結構棄てたままになっている.地元のものが片付けるということはないのか,と考えてしまう.教会を軸とする地域の集まりはあるのだろうか.町内会のような仕組みはあるのだろうか.ドイツ社会の基盤の所がどのようになっているのか.それはわからなかった.日本の自治会も「自治」は名ばかりであるが,ドイツ社会ではどのようになっているのだろう.これは宿題だ.

この10日ばかりの間,気温は低くほとんど曇りか雨であった.ドイツ中西部はこの時期こういう気候である.先週の金曜日,1日だけ晴れた.そのときの丘の上からの町のながめ.このようななだらかな丘と平地が続いている.

numapynumapy 2016/03/28 15:57 ドイツはとても規律的な国だと思ってましたが…
やはり、人間には大差がないんですかねぇ・・。

nankainankai 2016/03/28 16:26 昔,小田実さんが言っていましたが「人間みなちょぼちょぼ」です.それを実感しました.

umryuyanagi104umryuyanagi104 2016/03/30 19:55 料理とワインの写真〜…一瞬違う方のブログに来たのかとビックリしました。(笑)
素敵な気分転換になり良かったですね。羨ましい♪

nankainankai 2016/03/31 18:29 今朝もどりました.
その後は地元の用事で,先ほどまで出ていました.
いつもと違う視点で考えることがで来ました.おいおい深めたと思います.

hatehei666hatehei666 2016/04/08 00:00 先日いわきや原発中心、京都などをドイツの若いカップルが、通っている教会も訪問してくれました。その時の質問では、ドイツ人は信徒であってもよくビールを飲むという答えが返って来ました。聖書もルター訳の難しいものから随分世俗化されたと言っていました。この記事を閲覧してからいろいろ考えさせられました。

nankainankai 2016/04/09 00:05 この街にプレスリーが1958年から1960年、滞在していたのですが、その家が残っていてそこには銅像もあります。新しい花も置かれていました。ドイツ人同士で「ハロー」というので、聞いてみると英語の「Hello」がドイツ語化されて「Hallo」となって入っています。このように、旧西ドイツはアメリカ文化の影響を大きく受けています。アメリカ軍基地もドイツ統一までは各地にありました。
しかしドイツ統一の後、緑の党があのようなそれなりの広がりをもち、脱原発を基本の政策とすることなどに、新しい本来のドイツが基盤の所で育っていることも感じました。
ここに至るには、ドイツは第1次、第2次と二度の世界大戦の敗北という教訓を経なければなりませんでした。日本もまたほんとうは原爆と核惨事という2度の経験をしているのですが、これを塗り隠そうとする力がまだまだ支配的で、日本の方がやはり社会全体としては表層のところで動いているように思います。