とある機関の大学職員 第0話 はじめに

この連載では、大学職員になりたいと思っている方に向けて、採用制度に関することや仕事内容について解説していきます。さらに、採用プロセス等が少々特殊であまり広く世に知られていない「国立大学法人等職員」に関する基礎知識から採用に至るプロセスについて解説していこうと思います。特に、

  • 説明会に行きたいけど遠くて行けない
  • 説明会に行きたいけど日程があわなくて行けない

といった方がお読みになることを想定して執筆しています。


なお、この連載には独自研究を多く含んでいますのでご注意ください。また、最新の情報でない可能性もありますので、エントリー時には必ずご自身の目で最新の採用情報をご確認ください。


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次の記事:第1話 大学職員になるには 〜採用制度の違い〜

とある機関の大学職員 第1話 大学職員になるには 〜採用制度の違い〜

さて、今回は導入ということで国公私立を比較してみようと思います。
「大学で職員として働きたい!」という場合、考えられる進路は、

  「国立大学の職員」
  「公立大学の職員」
  「私立大学の職員」

の3種類に(概ね)分けられますが、まずはこれらの職員を、採用制度の違いにスポットを当てて見てみましょう。


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1.国立大学の職員
従来は公務員であったので、国家公務員2種もしくは3種などの公務員試験で採用されていましたが、国立大学は平成16年4月に法人化し、国立大学法人となりましたので、それ以降は、一部関係機関と合同で「国立大学法人等職員採用試験」が毎年実施されています。詳細は別途述べますので割愛しますが、概ね以下の流れになります。

  • 第1次試験(筆記試験)を地区ごとに実施
  • 第2次試験(面接等)を各国立大学法人等で実施(第2次試験の内容は各国立大学法人等で独自に決定)

この第2次試験に合格すれば、内定の連絡が来る(=採用が決まる)ようです。最終合格イコール内定(採用)、という辺りが国家公務員時代とは違うところでしょうか。

また、非公務員となったことで独自の採用を行っている機関が増えているようです。
  (例)東京大学 福井大学 など
各機関のホームページ、もしくは新卒向け就職情報サイトなどで募集を行っているようです。

 ※文中の「2種」「3種」の正式な表記はローマ数字です。


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2.公立大学の職員
法人化された公立大学とそうでない(県立などのままである)大学があります。

公立大学法人の場合、各法人ごとに採用試験を実施しています。民間企業の就職活動や、公務員試験では市役所等を想像すると近いかもしれません。例えば平成21年度の首都大学東京の採用を例に挙げると、以下の通りでした。

申込受付期間:平成21年5月1日(金)から29日(金)まで【当日必着】
資格審査合格発表日:平成21年6月12日(金)
第1次試験日<筆記試験>:平成21年6月28日(日)
第1次試験合格発表日:平成21年7月21日(火)
第2次試験日<第1次面接試験>:平成21年7月26日(日)
第2次試験合格発表日:平成21年7月29日(水)
第3次試験日<第2次面接試験>:平成21年8月2日(日)
最終合格発表日:平成21年8月14日(金)

『平成21年度公立大学法人首都大学東京 正規職員採用試験実施要綱』より

他の公立大学職員の採用についても調べてみましたが、軒並み筆記+面接2回〜、という実施形態が主流のようです。首都大学東京の場合は、最終合格しても名簿に登載されるだけで、全員が採用されるわけではない、という辺りは公務員試験に近いかもしれません。最終合格が即採用か否かは法人によって異なるようです。また、一言に筆記試験、面接試験と言っても大学ごとに試験内容もマチマチのようです。まずは幾多の公立大学の中から、ご自身が採用を希望する大学を選び、情報を仕入れる必要がありますね。


ちなみに法人化されていない公立大学の場合、基本的に公務員試験によって採用されます。例えば県立大学の職員は県の職員です。県の人事異動の一環として大学の勤務があるので、3年程度でまた大学以外の勤務になってしまうものと思われます。大学職員になる、というより、大学職員の仕事も経験できる、といった程度でしょう。


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3.私立大学の職員
私立大学においても公立大学同様、各大学法人ごとに採用試験を実施しています。中には採用が「学内限定」の大学もあったり、募集期間がまちまちであったりで、情報がなかなか集まらないようです。個人サイトで採用情報を収集されているサイトはあるようです。

(参考)大学職員への道:http://www5a.biglobe.ne.jp/~mochikin/

就職サイト等でも一部情報が掲載されています。試しに検索してみたところ、学校法人立命館の求人情報が掲載されていました。平成22年度の学校法人立命館の採用プロセスは以下のようになっていました。

【ステップ1】   リクナビ2011よりエントリー

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【ステップ2】   応募書類一式提出
             2010年3月1日(月)  受付開始
             2010年3月26日(金)  応募締切【必着】
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【ステップ3】   書類選考
           一次選考          2010年4月初旬(予定)
           二次選考          2010年4月中旬(予定)
           三次選考・最終選考    2010年4月下旬(予定)

http://job.rikunabi.com/2011/company/top/r212700069/

  
国立大学や公立大学が一部公務員試験風な要素を含むのに対し、こちらは完全に民間企業の採用プロセスといったところ。まあ、当然といえば当然ですが。筆記に挑む前に書類で落とされる、なんてこともあるかも?


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このように、一口に大学職員といっても採用プロセスは様々。各法人の採用プロセスや求人情報を知っておかなければそもそもスタートラインにも立てません。それらの情報が向こうからやってくる可能性は限りなく低いと思います。本気で大学職員になろうと思うなら「いかにして情報を集めるか」がひとつのポイントになるのかもしれません。


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