一汁一菜絵日記帳 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2015-03-16

[][][]嘉門達夫アルバムレビュー(ビクター編)その3

コロムビア編」「ビクター編その1」「その2」の続きです。

今回は「娯楽の殿堂」から、ビクターラストアルバム「The Very Best Of KAEUTAMEDLEY」までの3枚です。


娯楽の殿堂

マンスリーCDリリース計画ラストアルバム…なのですが

これまで1年の間に9枚のCDをリリースしており、それでネタ切れになってしまったというのがよくわかります。

「これまで自分は作曲面に弱かったので、今回はそこにこだわりました。」という宣伝文句

何かネタ切れゆえの苦し紛れにしか思えないんですよね。

まぁ結局「音楽面にチカラを入れた」の言うのは「井上大輔さんに作曲をお願いする」という事だったのですが

一つは嘉門達夫が歌う必然性がこれっぽっちもない、何の面白味もないCMソング「何かいい事起こりそう」

もう1曲は以前日記に書いた嘉門達夫の「一般人への黒い思い」を描いた問題作「芸能人に気を付けな!」

(実はこの曲の問題は歌詞の黒さではなくて、流石にそれを全面的に出すとマズいと思ったのか

全体的にボカしすぎて、一体何を言いたかったのかよくわからない歌になってるの所

で、ぶっちゃけ2曲とも見事に「井上大輔の無駄遣い」になってしまっていて

もうちょっと嘉門達夫の調子のいい時に井上大輔さんと何か作って欲しかったなぁと。

そこが非常に残念でなりません。

他に工藤隆作曲の「H系」(ライブでは上記の二つと続けて歌われたので、恐らくその3曲がアルバムの柱になんだと思う)

ですが、嘉門達夫恒例の「流行りそうな言葉に目をつけ歌にしたものの、思ったほど流行らなかった」という

「流行の読み違い」(今回のは「FUTAMATA」シングルバージョンに近い)を犯しております。


シングル曲も何曲か入ってますが「アイしてりんこスキりんこ」や「ススメ」のような

CMのために無理矢理作った曲が2曲も入っており

シングル曲ってアルバムの柱になりうるポジションでもあるのでこの辺しんどい。

また、マンスリーCDの第1弾「スモーキンブギ・レディース」の第2弾として

「賣物ブギ」の替え歌で「ときめきのワイドショー」が収録されていますが

「スモーキンブギ」同様、オリジナルより劣るという歌詞改変で微妙な出来。

替え歌がそれではアカンやろと思うんですが)

第2弾、第5弾に続く「マーフィーの法則」の新シリーズ「究極のマーフィーの法則」が新録で入ってます。

これラジオ番組でやってた「法則のコーナー」のネタを集めたものなのですが

「語尾を変な言い回しにする」という「ラジオと言う閉鎖的な空間で生まれた、外に持ち出すとサブい」

ネタがそのまま収録されており、おいおいと。

(これなら営業でよくやってた「マーフィー」と「続マーフィー」を

ミックスしたverを入れた方が良かったのでは?と思う)


とまぁここまで書いてて、正直ネタ切れと勘違いが生み出した奇作になっており

正直とても人にオススメできるような作品ではございません。

(でも一時、このアルバムから中心に曲を選ばれたサービスエリアのみで売られてた

ベストアルバムとかあるんですよね)


そんな中ですが個人的にはカバー曲ではあるものの、楽しいあのねのねメドレー

ネコニャンニャンニャン(達夫&伸郎バージョン)」

露骨な下ネタと時期的に腐ったネタを差し替えた

サザン替え唄大メドレー(アルバムバージョン)」

あと、ショートソング勢が、「いつもの嘉門達夫」を堪能でき非常に安心して聴けます。

新曲では「シャワー浴びてくる」が、ネタ的にも今までにない嘉門達夫のパターンで

今回のアルバムテーマ「80年代のディスコサウンド」が唯一上手くハマったパターンかな?と。

まぁこれだけやって1曲だけかいって話なんですが。

新しい事にチャレンジすればええっちゅーもんちゃうでというエエ見本ですな。


伝家の宝刀

さて「マンスリーCDリリース計画」でネタをカラカラになるまで搾り出した後遺症

ここで完全に出てしまいます。

前回のアルバムから丸1年かかりました。

そして中身を見てみると、とにかくショートソングがやたら増え倒しています。

まだ「ショートソングのみのアルバムをを作るつもりで、1曲1曲こだわって作りました」

ならいいんですが、「メイン曲とメイン曲の間の繋ぎポジション」というのは変わっておらず

それなのに曲数が激増し、それゆえにアレンジとかも増えた分おざなりになる

(ギターでメドレー形式でかき鳴らす)ので、

本当につなぎをかさ増ししたゆるゆるのアルバムになってしまっています。

(まぁ、それのお陰で僕の考えた歌もいくつか入ったのですが)


メイン曲の布陣も「ハンバーガーショップ」「ほっといてくれよ!」「怒りのグルーヴ」

という過去に発表した曲の焼き直しばかり。

なんか「そんなにネタがないなら無理してアルバム出さんでも」って思わせてしまう内容です。

いや本当に「かもかもかものすけ」と「笑顔を見せて」の両メイン曲でシングル出したらええやんと。


まぁそんなゆるゆるかすかすなアルバムの中で新曲「妄想」は前にも書きました

ギター1本のみでパワフルに歌い上げた名作。

また長い年月を経てようやくCDに入った「ハードボイルド劇場」も歌ではないのですが、面白いです。

(ただバックのアレンジがライブ盤のようなジャズではなく、

あなたの知らない世界」みたいな恐怖をあおるようなのになってるのは残念)


あと個人的な想いとしてこのアルバムにはかつてヤンタンの人気コーナーだった

「もうええやろキミ!」がようやく歌になって入っています。

実はこれ僕が嘉門さんにずっと「この曲をアルバムに入れたい。僕に歌詞の改良をさせて欲しい」と

ネタのファックスをもらって、上手く歌になるように改変をして送り直すと作業をやって

ようやく入った作品だったのです。

…なのですが、僕がこの歌と言うかコーナーに執着したのは

嘉門達夫の作詞クレジットを見ると「ヤンタンオールスターズ」の名前が

「ラジごめオールスターズ」に比べて少なく、ヤンタンの常連リスナーだった僕は

それが凄く悔しくて、どうにか作詞クレジットに「ヤンタンオールスターズ」の名前を

増やそうと頑張ってたんですが、このアルバムが出来る遥か前

シングル「ススメ」のカップリング曲で、ヤンタンの「あったらコワイ」から派生した

大名行列」が入る際、「ヤンタンオールスターズ」の名前がなく

そのことを嘉門さんに訊いた所「もう今更エエやろ」という答えが返って来て

僕の「ヤンタンの名前をクレジットで増やす作戦」は儚く散ったわけです。


あと、これの最初にカレーのくだりが入ってたんですが

これちょっと前に関西ローカルの客入れする番組で「もうエエやろキミ!」をやった時に

ほぼダダズベリだった中で唯一ウケたのがこのカレーの奴なんです。

ただあの時ウケたやつは「入れた残った入れた残った」という動詞の繰り返しで

それが何度もご飯とカレーを入れ直してる絵が浮かんできて面白かったのに

CDでレコーディングされたのは「ご飯カレーご飯カレー」と名詞の繰り返しで

「それやと動きが頭に浮かんでこえへんがな!」と思った記憶があります。

そういう意味では色々悔いが残る作品になりました。


「The Very Best Of KAEUTAMEDLEY」

シングル「TK替え唄メドレー」がちょっと売れた記念に出したビクター最後のアルバム。

というか結局「替え唄メドレー」便りなのねと。

ただ一番売れた1,2,3,4はもう既に過去のアルバムに収録されており(つまり被ってる)

新録がそれ以降のデュエット、サザンのシングルver、TK、TK2と

正直アルバムを買わせるのには微妙すぎるラインナップだなぁと。


さっきアルバム「伝家の宝刀」の所で書きましたが、あの時に無理にアルバム出さずに

TK替え唄メドレーヒットの後にアルバム作っていれば、もうちょっと完成度の高いアルバムが

作れたのではないか?と思うと残念でなりません。

ちなみにあれだけ一世を風靡した「替え唄メドレー」のアルバムなのに

オリコン初登場98位、1週で消えてしまいました。アカンやん!w


総括

ビクター最後のアルバムレビューですが、最後3枚はどれも微妙な出来のアルバムになってしまいました。

それに比例して僕のネタが採用される率が上がったので、非常に複雑な想いではあるんですが(^_^;

さて、「替え唄メドレー」のアルバムを最後に替え唄メドレーからしばらく距離を置くのかと思ったら…。

次回「嘉門達夫アルバムレビュー(DAIPRO-X編)」お楽しみにってやるのか!?

2015-02-22

[][][]嘉門達夫アルバムレビュー(ビクター編)その2

タイトル通り嘉門達夫のアルバムレビューです。

「コロムビア編」「ビクター編その1」はこちら。


天賦の才能

もう完全に「替え唄メドレー」がヒットしたから、今のうちにアルバム作って売ってまえ!っていうのが見え見えですね。

ただ肝心の嘉門達夫本人がアルバムを作れるまで、ネタのストックが溜まってなかったせいで、内容がスカスカです。

なのでとにかく「ラジごめでやってたコーナーをそのまま歌にしました」みたいなので埋め尽くされていまして、

嘉門達夫が「自身の番組から集まったネタを歌にしている」というのは周知の事実であったりはしたんですが

今ままでアルバム内でもせいぜい2曲ぐらい。あくまでメインは「ストーリーのある歌」だったんですよ。

(今回ストーリーがある歌って「鼻から牛乳」とあのねのねのカバー曲「つくばねの唄」ぐらい)

どうしても番組で募集したネタを集めたタイプの曲って「一つのテーマに基づいて該当するネタをひたすら挙げて行く」

形式になってしまうので、アルバムでそういう曲ばっかりなってしまうと、聴きごたえに欠ける上にすぐに飽きてしまうんですよね。

だからこのアルバムって凄い売れたけど、一時ブックオフでよく見る事になってしまったんだと思います。

もう一つアルバムを飽きさせないポイントとして「音楽性が高い曲」が多いと事なのですが

今回いわゆる「音遊び」に徹した曲って一曲目の「アカペラな夜」ぐらい。

それ以外は歌どころかほぼ喋ってる感じで、これもブームが過ぎた後ブックオフに売り飛ばされた原因の一つなんじゃないかと。

作詞クレジットに「ヤンタンオールスターズ」や「ラジごめオールスターズ」のように

「出所をちゃんと載せるようになった」というのは、もちろん良い事ではあるんですが

それが反面「俺はこれメインでええねや」って変な開き直りにつながってしまったようなそんな感じに見えて仕方ないんですよね。


あと今回、真面目な歌第二弾として「ブルーバレンタイン」という曲が収録されているのですが

これが「思春期の女の子の切ない恋」を歌った歌なのですが

例えばこれが堀江淳みたいに「中性的でキレイな高い声」を持った人ならともかく

あのガラガラ声で「恋占い大嫌い」って歌われても、どないせーっちゅーねん!とw

まだ「宴」の「バイバイスクールデイズ」は嘉門達夫の青春時代の事を歌ったんだろうなってのが

想像付くのでまだ納得できるんですが(曲の善し悪しは置いといて)、

当時あれを聴いた嘉門達夫ファンがみんな「どうした!?嘉門達夫」ってなりました。


怒濤の達人

初の2枚組アルバム(コロムビアが勝手に出したベストアルバム的なのを除いて)。

この辺嘉門達夫が「脂が乗りきってる」のを象徴できる、中身の充実したアルバムです。

ようやくこのタイミングで「アルバムに出来るだけのストックが溜まった」って感じですね。

今回の目玉はやはり超大作である「家族の食卓」でしょうね。

嘉門達夫が持ってる「音楽性の広さ」を宮川泰とフルオーケストラによって最大限に広がった名作です。


他は10年の時を経てようやく形になった「哀歌〜エレジー〜」や

悲しいクリスマスソングメドレー「ひとりぼっちのクリスマス」、

嘉門達夫大阪描写、最初で最後の集大成「関西キッズ」、

リゾート計画収録の「映画の窓」の新作、

他に人気シリーズの「鼻から牛乳」や「替え唄メドレー」の新作

(この頃はまだ新作が面白かった)もあり、聞きごたえ充分。


今回も相変わらず番組のネタから形にしたものも多いのですが

前回「んなアホな!」や「この中にひとり」など

一つのコンセプトに対してネタ数が多すぎるという問題があった楽曲も

それぞれ「ワッチャー&ひねりなさい」「ネタのワンダーランド」と

ネタを二階建て、三階建てにし、ネタを厳選でき、それぞれ上手く上位互換となりました。

(ただ、個人的に「ワッチャー&ひねりなさい」は

「ワッチャー少なすぎ、ひねりなさい多すぎ」、

「ネタのワンダーランド」はライブ録音でもないのに、

ライブの演出そのままやってて、「バルセロナ」でも書いた

「CDならではの演出をやって欲しかった」という部分で不満はあるのですが)

あと「学校の先生」は「感動できるCメロ」を付けるという工夫も見られます。

やっぱりこれぐらいの嘉門達夫による味付けは欲しいですよね。


と非常に充実した内容ではあるんですが、このアルバムも

「ほとんどの曲が嘉門達夫の語り」で構成されています。

「歌」と言えるのは「怒涛編」は「ショートソング・メドレー」と「家族の食卓」、

「達人編は」「帰って来た替え唄メドレー4」「ひとりぼっちのクリスマス」「コンサート」

といわゆる「特別仕様」の楽曲ばかりなんですよね。

もうちょっとメロディを聴かせないとやはり飽きてしまう原因になってしまうのではないかと。


他に不満点と言えば「男の気持ち」という曲があって、僕はこの曲嘉門達夫草食系男子な部分が

全面的に出て好きなのですが、ラストの言葉がライブでやったver.と変わってしまって

ちょっと男の事を自分で褒め過ぎちゃうか?と。

僕はライブでやった「男ってそりゃあいやらしい事をいろいろ考えたりもするけど

いざとなったら『腕組もうぜ』そんな一言すらも言えない生き物なのですから」

ぐらいで丁度いいと思うんですよね。


そして「宴」以降、アルバム名物(?)となってる真面目な歌ですが

今回の「コンサート」は今までの「安易な青春ラブソング」と違って

嘉門達夫の「コンサート」への思いが詰まってて、僕は嘉門達夫の「真面目な歌」の中で

1,2を争う出来だと思います。

つかライブツアー「怒涛の達人」で、なんでこれじゃなくて「バイバイスクールデイズ」を歌ったのかと。

武道館でコンサート出来たんだから歌うのはこれでしょうと。

そして、この曲じゃないのになんで歌いながら泣いているのかとw


NIPPONの楽しみ

前々回の反省なのか、替え唄メドレーブームが過ぎてゆっくり出来たのか

今回はちゃんと「ネタがしっかり溜まってから」のリリース

そして、前回前々回を反省したのか今回は「歌」になってる曲が多いです。

「替え唄メドレー」や「鼻から牛乳」ほどの大ヒットとはいかなかったものの

「Go!Go!スクールメイツ」と「NIPPONのサザエさん」という2枚のシングルを受けたお陰もあったんでしょうね。


ただそのせっかくの先行シングルも「NIPPONのサザエさん」はほぼそのままなのでいいとして

「Go!Go!スクールメイツ」は歌のコンセプトそのものがガラッと変わりすぎて

せっかく学校あるあるの楽しい歌だったのに、なんか歌詞が凄い説教臭くなって

僕は嘉門達夫のそういう所が良くない所だと思ってるので、この歌はシングルのまま入れて欲しかったなぁと。


他にもこのアルバムは「怒りのグルーヴ」「フニクリフニクラ」「なんなんだブギ」「娘の事情」など

いいテンポで聴かせてくれる歌が多いので、それだけで心地よく

前回の「怒涛の達人」に比べると濃度は薄くなったものの、反復性はこっちの方があると思います。

細かい事を言うと「怒りのグルーヴ」が短すぎ、「なんなんだブギ」長すぎとか

ちょこちょこ不満はあると言えばあるのですが。

特に「怒りのグルーヴ」の「南極2号」のくだりはオチに持って来ないとしっくり来ないんですよね。

(ツアー「怒涛の達人」で歌ったverはもうちょっと長くて、南極2号の出てくるくだりはこれがオチだった)


あと今回は真面目な歌が2曲入ってるんですが、2曲もいらんやろと。

地下鉄」の方は作詞作曲が当時のマネージャーだった、ミュージシャン風呂哲で

彼の詞の世界観が結構嘉門達夫にマッチしてて良かったんですが

問題は嘉門達夫作詞の「恋愛初期」、なぜ彼はあのガラガラ声で

乙女心を歌おうとするのか、僕にはさっぱり理解できません。


THE BEST OF KAMONTATSUO II

マンスリーCDリリース計画の間に発売されたビクター版のベストアルバム第2弾。

なのですが、今ままで嘉門達夫のベストアルバムって「エエトコドリ!」にしろ

「THE BEST OF KAMONTATSUO」にしろ結構いい出来だったのに

ここに来て「え?これがベスト?」という感じの中身になりました。


原因は今回のベスト、シングル曲多いんですよ。

で、以前僕はビクターのシングルコレクションの時に書きましたけど

シングル曲って「どこに向けて発信してんねん!?」って曲が多くて

それを集めるとどうしても、アルバムも「どこに向けて発信してんねん!?」ってなりますよね。

せっかく「怒涛の達人」や「NIPPONの楽しみ」という良作のアルバムをリリースしてて

そこから曲を集めたら凄く楽しいベストアルバム出来そうだったのに。

特につい一ヶ月、二ヶ月前に出したシングル曲が入ってて

流石にそれはシングル買った人がアホみたいやないかと。


で、今回収録曲を見てるとやたら「タイアップ曲」が多く、

「俺はこんだけCMソング歌いました!」を見せつけるようなコンセプトになっていて

僕が前回「やってミソだけいらん!」って書いたんですけど

むしろ「やってミソ!だらけになってしまった」という感じで

そらそんなベストアルバムおもんないわと。


アルバムからのチョイスも「なんでそんな曲?」ってのばっかりですからね。

なんで「ものまねアワー」とか入れるんだと。

どういう経緯であれを「ベスト」だと思ったのかと。

ただ新曲である「ハンバーガーショップ(国会編)」は超名作です。

このアルバムはこれを聴くためにあると言っても過言ではありません。


というわけで残念な出来になったベストアルバム2で締めさせて頂きました。

次は「娯楽の殿堂」から「The Very Best Of KAEUTAMEDLEY」までの3枚のレビューを書かせて頂きます。

怒濤の達人

怒濤の達人

2015-02-20

[][][]嘉門達夫アルバムレビュー(ビクター編)その1

前回の続きです。

バルセロナ

ビクター移籍後の初アルバム。実はノーマルのアルバムは「日常」以来3年ぶりのリリース。

実は初めて聞いた嘉門達夫のアルバムがこれでした。

内容は恐らく僕が思う「一番オーソドックスなスタイルで、一番各楽曲の出来がよく、非常にまとまりもある

「全アルバムの中では最高傑作と言っても過言ではない」と思います。

(ただし、ベストアルバム等は除く)

たぶん僕が最初に聴いたのがこのアルバムだから、嘉門達夫にハマったとも言えます。

シングル曲(後に形を変えてシングル化したのも含めて)である

「ハンバーガーショップ」「結婚しようよ~彼女はもうすぐ26〜」「FUTAMATA」は完成度高いですし、

ほかの曲もなぜか一発屋ブルースと同じ曲調が変わってしまい、それでも安定した面白さを誇る「帰って来た小市民」、

子供の頃の情景をロカビリーに乗せてテンポ良く歌う「ドッヂボール」、

あったらコワイのお勉強関連ネタをとにかく勢いでまくしたてる「学問」、

タイアップ曲で笑いは少ないものの、食卓の風景を非常に嘉門達夫らしい切り口で描く「ごはんを食べよう(美味でバビデブー)」

などなど、どこを切っても名作揃い。まぁ最後の「ジャージオンマイマインド」だけ若干スベリ気味ではありますが

これも最後の最後で本当に勢いで何とかしようとする感じが面白いです。


そしてこのアルバムのもう一つの目玉と言っていい「ショートソング」。

あのアルバムは「ショートソング」とそうじゃない歌が交互に収録されてるんですが

それが上手くショートソングの「ショートである面白さ」を引き立てています。

ショートソングの面白さって曲が終わった後「いや終わりかい!」とツッコめる所にあると思うんですよね。

どうしても最近のアルバムはショートソングがメドレー形式で収録されており

あれだと「ショートソング」ではなく「サビだらけメドレー」みたいになっちゃってますし。

あと1曲1曲にアレンジが施されており、それがなお各楽曲の世界観を広げ、

より「終わりかい!」にいい意味で繋がって行ってると思うんですよね。

こういうのってCDだからこそ出来る「音遊び」という感じで、せっかくお金出してCD買ったんだから

こういう凝り方みたいなのをして欲しいですね。


リゾート計画

その名の通り「夏のリゾート」をテーマにしたアルバムなのですが

そもそもテーマに無理がないか?と。

変に「縛り」を作ってしまったためにイマイチアルバム全体(楽曲1曲1曲も)に

広がりが無くなった感じがするんですよね。

(テーマにそった曲で面白かったの「温度」ぐらい?)

小休止のように間に入ってる「コミュニケーション」や「怒りのメドレー」の方が

いつもの安定した嘉門達夫が味わえますし、そっちのインパクトの方が残ります。


あと、この頃から「俺はシンガーソングライター(今で言う「ミュージシャン」とか「アーティスト」の意味)と呼ばれたい」

と言い出して楽曲面でもこだわりを見せるのですが、それが嘉門達夫にとって「余計なこだわり」

もっと言うなら「変なイキリ方」をさせてしまって、むしろマイナスに働いたように思えますね。

特に先行シングルの「勝手にシンドバット」がそれを完全に象徴してます。


あと「ペンション2」は肝心のオチ「てな事言うてる女に限ってブス」を入れないと

成立しないと思うのですが、なんで省いたのと。

あと省いたという事で言えば「映画の窓」のOPで「SF映画ラブロマンス、そしてホラー映画の予告を」

言っているのに「ラブロマンス」が入ってないんですよね。

恐らくこの当時にテレビで「映画の窓」をやってて、それを見る限りラブロマンス

「他人丼(どんぶり)」だと思うのですが、あれはカットしないで欲しかった。

あの当時、全国的に「他人丼」が広がってなかったの判断なんでしょうけど

ドッチボールの「三角ベース」の事もあるし、それは「流れ」を大事にして入れて欲しかったなと。


続いてコンセプトアルバムですね。

いろんな豪華ゲストを招いてみたいなアルバムで

当時ヤンタンとかでこのアルバムに付いていろいろ語ってて

凄く期待してして聴いてみたら、思ってた以上にそれほどでもなかったという。

たぶん「豪華ゲストを迎えてみんなでワイワイ楽しい事を」というのが

「WE ARE THE 魚屋のオッサン'91」で完結してしまって

あと嘉門達夫ソロ曲を除いて、全て蛇足と言うか惰性で入れられてるように思えるんですよね。


今回いわゆる「コントトラック」っていうのがCDに初めて入る(前作の「コミュニケーション」みたいなのは別として)

のですが、面白かったのは「未知との遭遇」「朝までアップダウンクイズ」「同時通訳」

この辺は脚本にひねりが利いてて面白いのですが、それ以外がほとんどが

脚本がベタすぎてひねりがなさすぎるというか単純につまらない。


特にコントトラックの目玉となるはずの「ツッコミ・ドレミファドン」のテンポが非常にゆっくりで

あれもっとテンポよくどんどんツッコんで行かないと面白くないと思うんですよね。

昔、嘉門達夫が芸人仲間とやってたコントらしいので、そのメンバーとやった方が

良かったんじゃないかと思うんですよね。というかこのトラック嘉門達夫未登場やし。

パネラー役の原田伸郎さんもチャーリー浜さんも本来ボケ役の上に

前へガツガツ出るタイプの芸風じゃないですからねぇ。


あと憂歌団を演奏、バックコーラスに迎えて共演した「BINGO!」という楽曲が

歌方面の目玉だと思うんですけど、この詞の内容が正直全く憂歌団とマッチしておらず

もうちょっと嘉門達夫×憂歌団だったら大阪の泥臭いものを面白悲しく歌えたやろ

って思うんですが、すごく勿体ない事しちゃってるなと。


そしてコンセプトアルバムでは毎回恒例になってる

「コンセプト関係ない嘉門達夫のソロ曲が面白い」という毎度のパターンを

踏んでおります。今回だと「血液型別ハンバーガーショップ」「オーマイガー!!」「ジミー&ハデー」など。


THE BEST OF KAMON TATSUO

「替え唄メドレー」ヒット祈願で出したビクター版のベストアルバム。

前述のアルバム3枚からほどよく楽曲が収録されており

当時「替え唄メドレー」で嘉門達夫を知った人に聞いてもらうには

いい感じのベストだったんじゃないかな?と。

コロムビア時代にアルバム未収録の「アホが見るブタのケツ2」の録り直しや

同じく未収録の「あったらコワイセレナーデ1」を「2」とのベスト盤として

録り直したりと、単なるベストアルバムじゃない凝り方をしておりますし。


ただ一つなんで「やってミソ!」を入れたのかと。

あれ歌もイマイチやし、タイアップした商品も売れてなかったいわゆる黒歴史なのに。

「俺はカルビーのCMソング歌ったぞ」ってアピールしたいのかなんなのかわからないけど

商品がヒット商品じゃないと意味がないと思うんですね。

それなら、すでに発売されてた「替え唄メドレー2」を入れるべきだったんじゃないかな?」と。


と1枚目のベストアルバムで一旦締めさせて頂きます。

次はヒットアルバム「天賦の才能」から次のベストアルバムまでの4枚のレビューを

していきたいと思います。それではごきげんよう

バルセロナ

バルセロナ

2015-02-18

[][][]嘉門達夫アルバムレビュー(コロムビア編)

せっかくシングル集のレビューをしたので、ここでアルバムのレビューもしてみたいと思います。

とは言え数も多いのでアルバムごとにざっくり書いて行きます。


お調子者で行こう

記念すべきファーストアルバム…なのですがいわくつきで再版するハメになった可哀想なアルバム。

僕はもう既にビクター移籍後にCDでこれを聴いたので、必然的に再発版になるわけですが

完全に「当時(1985年)の楽屋オチというコンセプト」で作られており正直聞いてて

ついて行けない部分もちらほら。特に頭3曲がまさに当時の「ギョーカイ」を歌った2曲

(「業界人間ベム」「涙のモデルはギザギザハート〜いかにも私はモデルです〜」)と

タイトルと歌詞と歌い方のコンセプトがバラバラの「天才でバカボンを」で、

これが良くも悪くもこのアルバムのイメージを決定づけてしまってるかな?と。


まぁメジャーデビュー曲「ゆけ!ゆけ!川口浩」が「水曜スペシャルの『ヤラセ』を歌にする」という

「楽屋オチ」なので、アルバムのコンセプトも必然的にこうなったんでしょうけど

じゃあなんで「ゆけ!ゆけ!川口浩」が入ってないんだって話で

川口浩」と最初に書いた「いわくつき」の1曲である「一発屋ブルース(下記動画)」にミソが付かなくて

この2曲が収録出来たら、まだアルバムとしての統一性は取れたのかな?という気はします。


ただそれに反して「アホが見るブタのケツ」や「あったらコワイセレナーデ2」

差し替え曲ではあるものの「お前らには負けへんで」は「いつもの嘉門達夫」が堪能出来て非常に安心感があります。

あとはベストアルバムにも入ってる「トキメキのオバンチュール」は完成度もピカイチで

バックにワイルドワンズを迎えて歌ってるのになぜこれをシングルで出さなかったのか?と

不思議に思える曲です。

D

日常 〜COM'ON! 超B級娯楽音楽(スーパースラップスティック・ミュージック)〜

2枚目のアルバム。本人曰く「シブいアルバムやでぇ〜」とのことですが

僕はむしろ、これこそが「THE 嘉門達夫」という感じで

嘉門達夫初心者にお勧めの1枚だと思います。


タイトルの通り「日常」を描いており、嘉門達夫楽曲の大きなコンセプトの一つである

あるあるネタ」で構成されているので、前作に比べ非常に聞きやすい。

もちろん当時の時代背景とかは考慮しないといけない部分ってのはあるんですが。


個人的に好きなのがベストアルバムとかには入ってないので

知名度は低いのですが「電光石火のスケベー」という曲で

今でいう「草食系男子肉食系男子の節操のなさをロックに乗せて歌い上げる」という内容で

むしろ今こそこれをみんなに聴いて欲しいですね。

肉食系男子」を「スケベー」と言い現わしたのもいい表現だし

サビの部分もキャッチ―で、僕は「ユカイなモッコリ」よりも

こっちを先行シングルで出すべきだとぐらい思ってるんですが

時代が早すぎたんでしょうかね?

当時はむしろ「女イッとくの男の甲斐性」みたいに言われてましたし。


そしておすすめ曲がもう一つ、これもベストアルバムに入ってないのですが

「三食パックの謎」というタイトルでタイトルで、昔丸美屋が販売してた

「三食パック」という商品についての歌なのですが

「そんな細かい事をそない仰々しく歌わんでも」というコンセプトの代表曲のようなものです。

実は僕が子供の頃には既に「三食パック」は売られておらず、僕はこの商品の存在を知らなかったのですが

それでも三食パックの悲哀が充分すぎるほど伝わってきましたので、この歌はホンモノです。


他にも色々日常の風景を嘉門達夫なりに切り取った曲が満載なので

オススメの1枚なのですが、1曲だけ「シンキウソウホ」という曲がありまして

これは1stアルバムがいろいろいわくつきになってしまった事を受けて

作られた曲なのですが、前回のコンセプトを引き継いでるだけにこれだけが

いわゆる「楽屋オチ」で、この曲だけぽこんと浮いてしまってるんですね。

僕は「ユカイなモッコリ」ぼB面の「アホが見るブタのケツ2」と収録ソフトが逆の方が

良かったんじゃないか?と思うんですけどね。


エエトコドリ!

タイトルの通りベストアルバムです。こういうタイトルの付け方は好きですね。

3枚目にして特にヒットソングもそんなになかったのにベストアルバムが出たわけですが

(1stの赤字回収のため?)1stから5曲、2ndから5曲、アルバム未収録のシングルが5曲の計15曲収録。

非常にバランスよくちりばめられており、特にシングルコレクションが出る前は

「ヤンキーの兄ちゃんの歌」と「ゆけ!ゆけ!川口浩」はこのアルバムが出るまで

聴けなかったので、そういう意味では貴重でした。

ただ今となってはいろんなCDと収録曲がかぶりすぎるので

存在意義がなくなってしまいましたが。


小市民宣言 LIVE

タイトル通りのライブアルバムですね。

ブックレットにもあるんですが、このライブで披露した曲は全て未発表曲。

つまりは「ウケるかどうかはイチかバチか」みたいな部分があって

「反抗期」「ヘビメッタ失礼しました〜デビルズ・ファイヤー〜」「小市民2」などは

お客さんの笑い声も聞こえ、こちら側も素直に面白く聴ける楽曲なのですが

HERO」「何を言うとんねん(ぜいたく言うな)」「お前がせー!ブルース」などは

典型的な「言いたいことはわかるし、たぶん作ってる時にエエ感じになりそうだと踏んだけど

実際歌にしてみたらそうでもなかった」っていう感じの曲で

この辺ちょっと苦戦してるなぁというのが伺えます。

お客さんの笑い声も聞こえてませんし。


まぁ「何を言うとんねん(ぜいたく言うな)」は

後に「理想のタイプ(アルバム「図星でしょ」収録)」

として後ろの曲調をガラリと変えた事により成立したので、

それのプロトタイプだと思って聞くとマニアの方には面白いかもしれません。

他に「リゾート計画」に入ってる「映画の窓」のネタの元になってるトークがあったり

「天賦の才能」に入ってる「この中にひとり」がこの頃からすでにあったりと

そういう意味では楽しめる方がいるかも知れませんね。


あとショートソングも数曲メドレーで入ってますが「素直になーれ」は

数あるショートソングの中でも屈指の名作だと思います。


小市民大全集

小市民」ヒット祈願で出されたミニアルバム

テーマ別に「小市民○○編」と銘打って、アレンジもそれっぽく変えて

(「お酒編」は音頭、「結婚式編」は讃美歌といった具合に)

テーマに沿ったあるあるネタを歌って行くんですが

小市民」という歌の汎用性に驚かされます。

小市民」は今でもネタを変えてニューバージョンを

ずっと歌い続けているんですが、他の曲がどうしてもオリジナルを

越えられないのに対し、この「小市民」だけは毎回安定の完成度を誇りますからね。

ちょっと「小市民」という曲は別格なのかも知れません。

途中に入るドラマ「宇宙人が地球人を観察して結果を報告している」

というのも上手いと思います。


と、このアルバムを最後にビクターに移籍します。

こうやって見るといわゆるオリジナルアルバムは5枚中2枚だけなんですね(^_^;

本編でも書きましたがオススメは2ndアルバムの「日常」

これはゼヒ曲バラバラで聴くより、このアルバムを一つの作品として

聴いてほしいアルバムです。

では、次回「ビクター編」でお会いしましょう。

日常?COM’ON超B級娯楽音楽?

日常?COM’ON超B級娯楽音楽?

2014-12-26

[][][]嘉門達夫BOX~怒涛のビクターシングルスについて多少の追記を

ブックレットを読んでると、まぁ今回対談には出演していないものの、

当時のプロデューサーであった新田一郎の名前も登場していました。、

その中で嘉門達夫は「当時は完全にPに任せていた」ような話を書いてました。


ただね、僕が前のエントリーで「嘉門達夫サラリーマンを見下してる所がある」と書いたんですが

その理由が「会社の意向で自分の意思なく生きていることが情けない」だったんですよね。

しかもそれが「自分の意向より新田一郎意向に従ってた真っただ中」で。

それだったら、そんな理由でサラリーマンを見下したらイカンわと。

後になって「そういう生き方もある」って発言もしてましたけど

ちょっと言い訳っぽいんですよね、自分への。


あと僕は諸事情で今はブレーンから退いてますけど、まだ本人とのやりとりが合った時

アルバムなどで、同じコンセプトを何度も繰り返して「あ、正直聞いててしんどいな」って思ったトラックに

「これ長ないです?一個でいいと思ったんですけど」って軽く感想を投げてみたんですよね。

その時に「でも新田さんの意向で…」みたいに言って来て

新田一郎意向のまま動いてる」ってのを「なんかあった時の言い訳にしてない?」と

その時にふと思ったんですよね。

今回のも「言い訳+欠席裁判」みたいになってないかなぁと。

もちろん彼抜きでビクター時代の話は出来ないとは思うんですけどね。


それで新田一郎って結局、最後は自己破産で事務所及びレーベル解体したわけじゃないですか。

(余談ですが、僕もかなり払われてない印税があります)

つまりは「プロデューサーとして無能」だったわけで、

それはこうやってシングル曲を時系列順に聞いてみてもよくわかるんですよね。

本当に「誰向けやねん?どこ狙ってんねん?」とツッコミどころ満載な

アルバムになってしまってる訳ですからね。

そこに気付いて「新田一郎離れ」が出来なかったという事は

それは最早「嘉門達夫自己責任」じゃないかなぁ。